1話 久しぶりの登校
初めての投稿なのでもし誤字とか違和感、意味が違う言葉、気になることがあったら遠慮なくコメントお願いします。
こうした方がいいよとかアドバイスがあったらぜひ教えてください。
耳をつんざくような爆発音が町中に響き渡った。
モンスターたちが暴れている音だ。
俺は必死に、その少女へ呼びかけた。
声が張り裂けるほどの叫びで。
「やめてくれ!そんなことをしたら!」
「ごめんなさい。
でも……もうみんな死んでしまった。こうするしか道はないんです。あなたならきっと彼を、、
だから……絶対に止めてあげてくださいね」
そう言って彼女は杖を地面に叩きつけた。
その瞬間、俺の意識は闇に飲まれた。
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「慎二! 早く降りてきなさい!
今日は夏休み明けの登校日なんだから、遅刻したらダメでしょ!」
佳苗さんの声で目が覚めた。
眠気が抜けず、できることならずっと夏休みが続けばいいのにと思う。
ベッドを降りてリビングへ向かうと、佳苗さんは出勤の準備をしていた。
「大丈夫? 何か思い出したことはある?」
「すみません、まだ……思い出せそうにないです」
「だから敬語はやめてって言ってるでしょ。家族なんだから。
苦手な野菜抜いといたから全部残さず食べるのよ」
、、野菜別に嫌いじゃないんだけどな。
母さんは今の僕を見てくれない。
ずっと過去の僕として接している。
昔の今の僕は違うっていうのに。
僕はそれがどうしようもなく嫌だ。
僕は椅子に座り、並べられた朝食を口に運ぶ。
テレビにリモコンを向け、面白そうなニュースがないか探してみる。
流れてくるのは、遺跡の発掘や、十年前の未解決事件、地震の話や、の話ばかり。
退屈だな、と思って消そうとしたそのとき、耳に引っかかるニュースが流れた。
「続いてのニュースです。
剣道界に“神童”と称された大雲慎君が、交通事故で亡くなってから今日で1ヶ月が経ちました──」
“神童”か。
こんなに凄ければみんな僕のことをちゃんと見てくれるのかな、、、
なんて思いながらご飯を口に運ぶ。
「どうしたの? その子、見覚えある?」
「いや、なんでもないよ」
僕はそう言ってテレビを消す。
「あ、そうだ。家の戸締り、お願いね」
支度を終えた母は、カバンを手にリビングを出ていった。
僕も食事を済ませて部屋へ戻り、制服に着替え、カバンを背負い、
スマホをポケットに入れて家を出た。
──行きたくないなぁ。
そんなことを思いながら歩いているうちに、学校が見えてきた。
スマホで時間を確認すると、思っていたより早く着いていた。
下駄箱で靴を上履きに履き替え、3年A組へ向かう。
面倒だなと思いつつ扉を開けようとした、その時──
「あっ、慎二くん! おはよ!」
声をかけてきたのは、幼馴染の藤宮渚さんだった。
黒髪の三つ編みが綺麗に整えられていて、女優顔負けの美人だ。
だが──この人と関わっているところを、
“あいつ”に見られたら面倒なことになる。
「……おはよう」
軽く会釈して教室の扉に手をかけたが、
「ていうか、そこ私たちのクラスじゃないよ」
「、、えっ!」
プレートを見ると、確かに“B組”と書かれていた。
「まぁ久しぶりの登校だし、間違えちゃうのも無理ないよ〜」
「ありがとうございます」
少し違和感を覚えたが、早くこの場を離れようとした。
しかし、渚さんとは同じクラス。どうしても距離を取れない。
「先に行ってるね〜」
そう言って東雲晶が先に行く。
「うん、わかった」
渚さんは、僕に再び話しかけてくる。
「夏休みの間、何か思い出した?」
「いや、まだ……」
曖昧に答え、逃げるように教室の扉を開けた。
けれど彼女は体調や勉強のことを心配してくれて、なかなか離れられない。
──そして、最悪のタイミングで扉が開いた。
「あっ、柳くん。おはよう」
赤い髪に狐のような目、金色の瞳。
柳蓮だった。
最悪だ今この場を、あいつに見られた。
柳は渚さんに軽く会釈しながらも、僕を鋭く睨みつけ、自分の席へ向かう。
僕は逃げるように席についた。
始業式が終わり教室に戻ると、柳がこちらへ歩み寄ってきた。
「おい、慎二。ちょっと来い」
生徒会長の樋口くんは、教師の手伝いでいない。
──肝心な時に……
そう悪態をつきながらも、僕は逆らえず、柳たちに人気のない場所へ連れて行かれた。
次の瞬間、柳の拳がみぞおちに突き刺さる。
激痛で息が詰まり、地面に崩れ落ちた。
その様子を見て、仲間たちは笑う。
「おい慎二。なんで渚と話してた?
夏休み前に約束したよな。
“もう渚には話しかけない”って」
痛みに耐えながら、かすれた声で答える。
「ごめん……
でも今回は、渚さんに声をかけられただけだ──」
柳の蹴りが僕の横腹に入る。
「知らねぇよ。
これからは話しかけられても無視しろ。わかったな?」
「柳さん、次は俺にも殴らせてくださいよ〜」
仲間が笑いながら僕を見下ろす。
僕はただ、唇を噛み締めて頷いた。
「そもそもあの事故は、自分がミスって事故ったんだろ?
渚が心配するようなことじゃねぇだろ」
「えっ……!」
しまった、と思ったが遅かった。
柳が睨みを強め、詰め寄ってくる。
「あぁ? なんか言ったか?」
「いや……その……」
黙っていても殴られる。
どうせならと思い、口を開いた。
「事故の原因は……
柳くんが道路に飛び出したのを、僕が助けたって聞いてたから」
その瞬間、柳の蹴りが再び腹に食い込んだ。
死ぬほど痛い、、、
吐き気をこらえながら、地面に倒れこむ。
「記憶を勝手に書き換えるなよ!
あの事故はお前が原っ──」
突然、柳は頭を抱えて膝をついた。
なんで急に柳が倒れた?
仲間が駆け寄るが、「大丈夫だ」と言って、その手を振り払う。
「……今日は、このくらいにしてやる」
柳は仲間と共に去っていった。
柳が去るとき、僕に怯えた視線を向けてきたのは、気のせいだったのだろうか。
僕は、よろよろと教室に戻った。
先生が2学期の行事を説明しやがて下校時間になる。
荷物をまとめていると、渚さんが話しかけてきた。
「ねぇ、今日、途中まで一緒に帰らない?」
──マズい。
そんなことをしたらまた柳に何をされるかわからない。
けれど、渚さんの真剣な眼差しに押され結局、頷いてしまった。
校門を出て、並んで歩き出す。
気まずい沈黙を破るように、僕は前から気になっていたことを尋ねた。
「昔の僕って……どんな感じだったの?」
渚さんは少し考えてから答える。
「うーん……
一番印象に残ってるのは、いざという時なんか身体能力がすごく上がるんだよ。
下手したら大人の人よりも運動能力高かったとおもう」
「……今の僕じゃ、考えられないな」
「そうでもないよ?
今の慎二くんも十分運動神経いいと思うけど?」
「、、ありがとう」
そう呟いたあと、しばし沈黙が流れた。
やっぱり渚さんはいい人だ。
母さんと違って、ちゃんと今の僕を見てくれる。
だがこれ以上、渚さんと関わるのはやめたい。
そう言おうとした瞬間、彼女の方が先に口を開いた。
「あの……始業式の後とか、1学期の昼休みとか、柳くんたちとよくどこか行ってたよね。
あれ、何してたの?」
心臓が大きく跳ねた。
まさか見られていたとは……。
いや、渚さんはずっと僕のことを気にかけてくれていた。
知っていても、不思議ではない。
「え、いや……普通に、ご飯食べたり話してただけだよ」
「それ、嘘だよね?」
「違うって! 本当だよ!」
「だって、柳くんたちに連れて行かれた後、
いつも元気ないし……
服に土とか、顔に傷とかついてるじゃん!」
必死に誤魔化そうとしたが、すぐに見抜かれた。
「いじめられてるなら、話してよ。私、何か力になれるかもしれない。
私から柳くんに──」
「やめてよ!」
気づいたら、僕は怒鳴っていた。
心の奥に溜めていたものが一気に溢れ出した。
「迷惑なんだよ!
僕は1人でいたいのに、渚さんは話しかけてくるし、それを見た柳が、僕をいじめてくるんだ!
柳が今まで僕に何してきたか、知らないくせに……
いじめられるのは、もう嫌なんだよ。
僕のこと心配してくれるのは嬉しいけど、もう、、」
そう言いかけた時の渚さんの表情がこびりついて離れない。
顔を上げると、渚さんは泣いていた。
──あぁ……
「……ごめんね。迷惑だったよね。
言ってくれて、ありがとう。
私が近づかない方が、慎二くんが傷つかないなら……もう話しかけないから安心して」
そう言って、彼女は走り去っていった。
追いかけようとする足が、動かない。
罪悪感に苛まれる自分もいる反面胸の奥で、ほっとしている自分がいることに気づき、どうしようもない怒りを覚えた。
そのまま家へ帰り、誰にも会わずに玄関を開ける。
部屋へ行き、カバンを放り投げ、ベッドに倒れ込み、そのまま眠りに落ちた。
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