104話 元々
「アンタだけは捕まえてやるよ、伊藤慎二!」
「やってみろよクソ野郎!」
その瞬間、何発か発光する弾が発射される。
切り落として……いやっ──!
刀を抜き、飛んでくる弾を切り落とそうとするが何か違和感があり途中で刀を止め避ける。
「あら……避けるのか?」
「っるせぇ」
何だ、今やばい感じがした。試してみるか……
地面に手をつき操作して壁を複数作る。
あいつの持ってる銃、引き金が付いてなかった。
魔法やら何やらで起動してんだろうがそのおかげでタイミング読みずらい。
その時、感知にその弾が引っかかる。
瞬間目の前に銃弾が迫る。
「チィッ!」
頬を掠めるが何とか避ける。
簡単に全部貫いてきやがった、やっぱなんか仕込んで……
ッ──!
俺は後ろに迫るそれに反応し、左手を振りそれに触れて収納する。
さっき避けたはずの弾、軌道を変えて俺に飛んできた……
軌道を変えて飛んできた弾は触れて収納したが手のひらは傷つき血が出ていた。
あれ何で……
「治らないだろ?」
「ッ──!」
そいつは立てた壁を足場にして跳躍、俺の後ろを取っていた。
二丁……!?
銃口はしっかりと俺を捉えている。
避けるのもダメ、受けるのもダメ、だったら……!
「排出!」
発射されるギリギリで俺は排出。
弾丸はタシテスを捉えて飛んでいく。
タシテスは身を翻し何とか避けるが姿勢は崩した。
瞬間跳躍、タシテスの上を取り刀を振る。
タシテスは二丁の銃で受けるが……
「『焔刃』」
俺は炎と気を混ぜ刀に込めると刀身は燃え上がり爆発した。
勢いで俺とタシテスは反発するように後ろへ飛ぶが、姿勢を立て直し着地する。
先ほどまで両手に握られていた拳銃は先の攻撃で使い物にならなくなっていた。
「さぁ、これで終わり……」
「排出」
タシテスがそんなことを呟くと同時に拳銃が一丁手元に現れた。
俺はその光景に目を見開いて驚く。
あれやっぱり俺のスキル……いや正確に言うなら俺のスキルをベースにして作られた魔法。
ルナさんと一緒に開発した魔法だ、外の人間と繋がってんなら持っててもおかしくない……
「さぁまだ終わってないよ」
その瞬間、マシンガンのように弾がどんどんと連射される。
トリガーないから連射速度に制限ないのか……
なんとか身を翻して避け続けるがそれも時間の問題、いつかはやられる……
だったら……
刀と目、足に気を回して強化する。
刀借りるぞキリサメ、慎……
「『天絶』」
避けながらそれを放つがタシテスは難なくそれを避ける。
だがそのおかげで弾丸は一時的だが治った、いくしか……
熱ッ……!
瞬間、右の太ももに何かが飛んできて貫かれる。
そのせいで力が抜けて膝から崩れ落ちる。
一体、何が……
そしてもう一度見えない何かが飛んできて左肩を貫いた。
傷跡をよく見てみるとそこは黒く焦げていた。
まさか……!
「"概念操作"で火を見えなくした?」
「そっ、やっぱり頭の回転早いね。最下層を生き抜いてきただけあるよ」
さっきの弾丸、気を飛ばしてきた……火飛ばすことくらいできるはず。
こいつのスキルなら不可視にすることくらい簡単にできる。
そしてタシテスは俺の目の前に立ち、銃を構える。
「さぁ終わりだ、傷も治せないだろう?」
神気を使うか……?
前入ってきた"経験"と同じように今回もどこかに消えてった感じがした。
恐らくだが今神気の中には"経験"と"記憶"がある。
使ったとして一体何が起こるか……
だが大体わかった、カマかけてみるか……
「3つだろ、お前のスキルで操作できるのは」
「そんなもの今関係ないだろう、それにどこにそんな確証が……」
「俺が体験したお前の"概念操作"は6つ。貫通、軌道、不可視、不治、不死と斬撃無効。
だがな、俺の頰見てみろよ」
タシテスは俺の頬を確認する。
そこには"何の傷もなかった"、タシテスは困惑の表情を浮かべる。
「最初の攻撃で俺の頰には掠り傷ができて治せないってわかった時から一応治癒回し続けてたんだよ。
タイミングは俺の足がやられた少し前だ、つまりお前は不治を一度やめたんだ。
つまりお前は不可視にするため、一度不治を取りやめた。
それにさっき俺が排出した弾、死なないなら避ける必要がないはず」
「だったら、何が言いたい」
「そうだな結論を言おう、俺が言いたいことは……」
俺は一度深呼吸をする。
「お前今不死身じゃねぇだろ」
その瞬間、俺は刀を手に取り立ち上がりタシテスの首を狙い刀を振る。
正直に言うと俺は3つまでしか操作できない何て思っていない。
タシテスのことながらいつ何時でも死なないように不死にしているかもしれない。
だがもし"概念操作"で死ななくしていても首が切られる。
失血状態で勝てるとは思っていないだろう、絶対に不治をとかなくちゃならない。
なら防ぐために斬撃を無効にするしかない一気に増えた選択肢、処理しきれねぇだろ。
倒せる、あと数センチで……
「"指定移動"」
その瞬間、タシテスは目の前から消える。
後ろから気を感じ振り返ると、既に俺の目の前に銃口があった。
銃口が光り輝き、弾が発射されようとする。
「終わりだよ伊藤慎二」
その状況、だが俺は笑みを浮かべる。
決闘後に目覚めた時に見たステータスウィンドウ、そこにはこう書いてあった。
「"スキルが進化した"……ってな。収納」
その瞬間、射出された弾丸が消え失せた。
スキルの進化、それは"触れたものだけ"じゃなく"視認したもの"を収納できるようになった。
タシテスは予想外のことで戸惑い後ろによろめく。
「終わりだ!」
俺は刀を振り上げ、タシテスの胴を斜めに切った。
タシテスは顔を顰めて膝から崩れ落ちる。
実際にできるかわからなかった、上手くいってよかった……
「ハッ……流石だよアンタ。
やっぱ"元神様"であり"最後の英雄"、一味違うね」
「………は?」
何言って、元神様……最後の英雄……誰が?誰にこいつは言っている?
意味がわからず俺は刀をそいつの喉元へ近づける。
「答えろ、元神様、"最後の英雄"って何だ!
俺がそうだって言いたいのか?!」
「何だアンタ気付いてないのかい。
おかしいと思わなかったのかい?
自分が神気を持っていることに、ライオッドがアンタを生かしたことに、キリサメがアンタを助けたことに」
「な、に言って……」
わからないわからないわからない。
だが思い当たる節が、繋がっていなかった、今まで散りばめられていた全てが繋がっていく。
俺の中に"最後の英雄の経験"があること『布都御魂』がこいつはまだ生きてると言っていたこと。
"悪食"が俺を主人と言った理由、ライオッドが俺をあんななら気にいる理由。
全てがどんどんと繋がっていく。
俺は神とやらの生まれ変わりなのか?だからキリサメは俺を助けたのか?
今まで俺は伊藤慎二として、前の記憶をなくす前の自分より強くなろうと、変わってこようと努力してきた。
だが俺は本当に変わっているのか……?
それを否定したくても、今までの、助けられてきた歴史が物語る。
「あらあら、随分と哀しそうな表情するじゃないか」
「黙れ……」
ダメだ、何かが出てくる。
神気が感情の起伏で……噴き出てくる……
クッソ、飲まれ……
「あぶなーい!」
その瞬間、誰かに俺は蹴り飛ばされて後ろへ飛ぶ。
その勢いで神気が引っ込み、尻餅をついた。
一体……誰が!
そこにいたのは、俺を蹴り飛ばしたやつは……
「やっほ伊藤慎二、数時間ぶり〜」
「"ナマケモノ"……!」
そこに立っていたのは、俺とリリを亜人の街まで連れて行った……ナマケモノだった。
裏話……
実はタシテスは4つまで概念を操作できます。
あの時は貫通、不死、不治、軌道でした。
もし何かしてきたら指定移動で飛ぶって思ってましたが、その後のことまで考えてなかったみたいですね。
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