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マンホール しょうもな度☆3
ひどくはないけどそんなに良くもない
ある時、作業中のマンホールに落ちてしまった青年がいた。その青年は打ち所が悪く、脳に傷を負ったのか口数が少なくなり、マンホールに異常に固執するようになった。町中のマンホールを調べ、なにやらぶつぶつと口ずさみながら夜の町を徘徊している様が何度も目撃された。近所の人間にやれ「あいつは穴に固執してるんだろう」だのやれ「かわいそう」だのとささやかれ、ある時は親が直接言われることもあった。だが親は彼の行動を容認するしかなかった。怪我をして何をするにもままならなくなった我が子の執着を止めることなど、到底できなかったのだ。
そうして数年、数十年が経ち、親は死に、保険金と少しの遺産で彼はつつましく暮らしていた。もちろんマンホールへの執着は消えず、ずっと徘徊していたが、誰にも危害を加えないため、次第に誰も気にしなくなった。
だがある時、事件が起こった。作業中のマンホールに通行人の女性を突き落としたとして彼が逮捕されたのだ。昼間だったが目撃者はいなかったが被害者のシャツに指紋があり、そのまま逮捕され、寂しく死んだ。
彼は「あいつがいた。彼女を救おうとしたのに」と繰り返し言っていたという。




