私は犯罪者です
はい…ペースが遅くなって申し訳ありません。読者の皆さんにすべてをより身近に感じていただけるよう、あえてゆっくりとしたペースで進めています。登場人物たちの実際の反応などを捉えようと努めています。
前回の続きとなるシーンですね。ライトノベルとしての緊迫感やテンポの良さを活かしつつ、主人公のコミカルなツッコミや焦りのニュアンスが自然な日本語になるよう翻訳しました。
「起きろ」
目を覚ますと――
大勢の人間が僕を囲んでいた。それも、ただの人間じゃない。全身を鎧で固めた奴らだ。しかも、信じられないくらい大柄だ!
「起きろと言っている!」
僕は本能のままに、ベッドから跳ね起きた。
そいつらは手にとてつもなく長い斧を握りしめていた。姿形はまさに衛兵そのものだ。さらに特徴的なのはその体格で、背が低くて横幅があり、頭からつま先まで金属製の鎧に包まれている。人数は二人だけだ。
「ガフォンの宿に、またしても侵入者か!」
奴らは斧を構え、その刃先をまっすぐ僕に向けてきた。
「ま、待ってくれ! 何なんだよ一体!? 宿ってどういうことだ? 僕はさっきまで自分の部屋に――」
だが、ようやく周囲の光景が目に入ると、言葉が完全に喉に詰まった。
ここは絶対に僕の家じゃない。どう見ても日本の建築様式ではなかった。部屋全体が、分厚く重厚な木材で造られている。
ギィ……
僕が動くと、床板がきしむような音を立てた。この空間にある唯一の光源は、薄暗くチラつくオイルランプだけだ。こんなこと、文字通り現実にあるはずがない。
「ハハハ! 冗談だろ、これ? 夢に決まってる!」
僕は必死になって、自分は正気だと取り繕おうとした。
金属人間の二人は顔を見合わせ、それから再び僕に視線を戻した。
「人間よ。貴様の名と、この宿に忍び込んだ目的を言え」
右側に立つ衛兵が、鋭く問い詰めてくる。
頭からつま先まで分厚い鎧を着込んでいるのに、なぜこの二人が男だと分かるのかって? それは……地を這うような低い声と、僕に対する高圧的な話し方のせいだろう。
「不、法侵入なんかしてない! 僕の名前は東 ゆうすけ!」
「人間族にしては、妙な名前だな」
おいおい。なんだか差別的な言い草だな。
「君たちこそ誰なんだ?」
今度は僕の方が問い返した。だが案の定、奴らは僕が攻撃でも仕掛けてくると思ったのか、警戒して一瞬で斧を突き出してきた。
「動くな! 両手を上げろ!」
僕は慌てて両手を高く突き上げた。
何が起きているのか、相手が何者なのかもさっぱり分からないが、一つだけ火を見るより明らかなことがあった。こいつらは決して、友好的な連中ではない。
「お前は馬鹿か」
左側の衛兵が、右側の衛兵に向かって怒鳴りつけた。
「そいつをさっさと縛れ。もっと早く捕まえるべきだったんだ。今日はもう、こいつみたいな妙な人間に何人も手を焼かされているんだからな」
今、なんて言った……? 僕みたいな人間だって? 妙って、一体どういう意味だ?
「手を出しな。大人しく従うんだな。さもないと、この斧を一振りでお前の命は終わりだ」
僕は即座に降伏した。
そのまま大人しく両手を差し出す。
右側の衛兵がにじり寄り、僕の手首に太い縄を巻き付け始めた。結び目がきつく締め上げられると、皮膚に強烈な痒みとチクチクとした鋭い痛みが走る。
「ついて来い、薄汚い人間め」
奴らは僕の背中を乱暴に押した。
左側の衛兵が後ろから僕を突き飛ばし、右側の衛兵が縄の端を掴んで、僕を部屋の外へと引きずり出す。
これじゃ完全に犯罪者扱いだ。一体全体、何が起きているんだ? 縄が擦れる痛痒さはあまりにもリアルで、とても夢だとは思えない。まさか、友達が仕掛けた大がかりなドッキリか? いや、あり得ない。僕にはこんな手の込んだ真似をしてくれるような、広い交友関係なんてない。
「いくつか質問してもいいかな?」
奴らは答える気すらなさそうだ。
「君たちは『表現の自由』って言葉を知らないのか?」
「知っている。その生意気な舌が繋がっているうちに口を利けることを、ありがたく思うんだな」
ちくしょう。なんて憎まれ口を叩く奴らだ。
本当に、どうなってしまっているんだ?
「貴様、これまで見てきた人間どもとは、ずいぶんと様子が違うな」
突然、衛兵が話しかけてきた。
「へ? どういう意味だよ? 日本人を見たことがないのか?」
「ニホンジン? なんだそれは」
「はぁ!? なんだってどういうことだよ! それに、君たちだってめちゃくちゃ流暢な日本語を話してるじゃないか!」
「ニホンジン……?」
二人は兜越しに、またしても当惑した様子で顔を見合わせた。
「なんなんだよ、一体」
僕は思わず本音を漏らした。
「おい、こいつの股間を蹴り上げてやれ! 衛兵たる我々に向かって、なんという口の利き方だ!」
斧やブーツが飛んでくる前に、僕はパニックになって叫んだ。
「待って! 今のはただの口癖だよ! 感情の表現として言っただけだから!」
「表現だと? 人間というのは、日に日に奇妙な生き物になっていくな」
僕は胸が張り裂けんばかりの、荒い安息の息を吐き出した。危うく大惨事になるところだった。
「さっき、僕みたいな妙な人間が他にも見つかったって言ってたよね?」
奴らは兜のついた重々しい頭を縦に振った。
「そうだ。今日も奇妙な人間が大量に見つかっている。どいつもこいつも貴様と同じように、おかしな服を着て、到底まともとは思えん名前を名乗っている」
僕は怪訝そうに眉をひそめた。
ちょうどその時、僕は部屋から激しく引きずり出され、大廊下へと連行された。
次の瞬間、僕の目は点になった。
「うわぁ……」
目の前に広がる光景が、どうしても信じられなかった。
そこには、何列もの燃え盛るオイルランプに照らされた、広大な受付エリアがあった。そして、その空間を埋め尽くすように、大勢の群衆が取り囲んでいたのだ。
彼らは皆、口々に不平を漏らし、ひそひそと囁き合っている――
「なんてことだ、こんなに人間が集まっているなんて……」
「どこかの組織がここで暗躍しているんじゃないか?」
「あんな連中がいるから、我々まで差別されるんだ」
そこにいる誰も彼もが……言葉を失うほど奇妙だった。厳密には人間なのだろうが、どこか決定的な不気味さを感じさせる。日本人は一人もいない。見たところ、アジア系ですらない。僕と同じ形をした生命体でありながら、同時に、完全に異質な存在だった。
突然、衛兵に強く突き飛ばされ、僕は床に這いつくばった。
「痛っ!」
もう少し優しく着地させてくれたっていいだろうに。
「東くん……?」
ざわめきを切り裂くように、聞き覚えのある女子の声が響いた。
「えっ? 犬塚さん!?」
彼女は僕と全く同じクラスの女子生徒だった。それどころか、親切な性格でいつも誰かを助けている彼女は、全校生徒の間でも抜群の人気を誇っている。フルネームは犬塚 美子。そう、間違いなく彼女だ。
「どうしてここにいるの……?」
彼女は声を震わせながら僕に尋ねた。
鎧をまとった二人の騎士が、僕たちの顔を交互に見つめる。
「貴様ら、知り合いか?」
「まあ……同じクラスで勉強してる。だから、クラスメイトってやつだよ」
と僕は答えた。
彼女の怯えようは、僕なんかよりもずっと深刻に見えた。
その時、最初に僕の命を奪うと脅してきた方の衛兵が、手を伸ばして頭の金属兜を乱暴に剥ぎ取った。
美子は目に見えて怯え、身を引いた。正直に言おう。その下に隠されていた素顔を見て、僕だって恐怖を感じないと言えば真っ赤な嘘になる。
奴の頭は、まるでこんがりと焼けたジャガイモのようだった。分厚く、凹凸のある茶色い肌。さっきから僕を言葉で痛烈にディスってきたあのキレ味は、文字通り頭が"焼き芋"みたいになっているからに違いない。
「俺の名はロフアスだ」
その名を聞いた瞬間、脳裏に電撃が走った。信じられないほど、聞き覚えのある名前だった。
この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!




