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貴方に恩はありませんので、出奔させていただきます  作者: Hatsuenya


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恋愛に、年齢は関係ありません

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 今回は、オルツァー視点です。



         オルツァー side



 今、何故か私の目の前でチビッ子達がイチャイチャしていた。しかも、私の執務室で。

 チビッ子と呼ぶには不敬なんだろうが、とにかくこの国の王太子殿下とその婚約者のベルリーナ嬢が可愛すぎる。2人とも5歳の可愛い盛りだからな。


 ベルリーナ嬢が、もう1人の公爵令嬢のアメリア嬢が王太子殿下と仲が良くて『胸がモヨモヨする』とか、王太子殿下が隣国デザリスタの7歳の王子がベルリーナ嬢を勝手に自分の婚約者候補にしていて腹が立ったから撃退したとか。

 しかも、その撃退方法が5歳にしては徹底的過ぎて頭が痛い。

 おまけにベルリーナ嬢に向かって、『君が何処かに行ってしまったら、私は廃人になってしまう』等と言うセリフを吐く始末。


 本当に5歳なのか?王太子殿下。


「ところで、騎士団長。先ずは、当たって砕けろだぞ」


 2人の話が落ち着いた所で、いきなり殿下が私に向かって言い放った。


「え!?な、何の話ですか」


「はい、そうです。先ずは告白しないと、何も始まりません」


 ベルリーナ嬢までもが私に畳み掛ける。どうして、いきなり矛先がこっちに。

 いや、まあ、確かに先ずは告白だろうな。


「そして、時期も問題だ。魔術師団長と魔道具製作部長が砦から出て行くまで待て。

 絶対に、奴らには勝てないからな」


「そ、それは……そうします」


 話をして落ち着いたのか、一頻り抱き合った後(と言うか、ぎゅっと抱っこし合った後)、やがて2人はアメリア嬢と約束があると言って出て行った。

 何だったのか。とにかく可愛くて癒されたが。


 確かに、魔術師団長も魔道具製作部長も、どちらもこの砦には居ないイケメンだと食堂の手伝いの女性達が、年甲斐もなく姦しく騒いでいた。年齢も、私よりも若いし。


 魔術師団長は剣技は私には及ばないが、魔術を使っての闘いでは、私は負けるだろう。綺麗な顔をしているが、ちょっと荒々しいぞんざいな言い方が、食堂の女性達曰く、たまらないらしい。


 魔道具製作部長は、一見して女の様な外見だが、そこが柔和で婦女子には好まれるらしい。おまけに、ミネとは話が合うらしく仲が良い。2人が話し始めたら止まらない程だ。


 うむ。確かに負けている気がするな。


 いや、だが、そんな女にモテモテの女誑しの様な奴らをミネに近づけて、何かあったらどうするんだ?よし、早々に排除しておくか。うんうん。


「おい、オルツァー。お前、さっきから魔術師団長と魔道具製作部長を排除とか何とか不穏な事を言っているが、お前、ちゃんとミネちゃんと仲良くやってるんだろうな。

 まず、そこからだぞ」


 いつの間にか執務室に湧いて出た叔父上が、呆れた顔で私に言った。一体、いつから居たのやら。


「敵の排除よりも先に、先ずは己を売る事が重要だ。かっ拐いつつ、敵を排除せよ。アルジャーノンは気骨のある男だ。心してかかるんだぞ」


 タンディン様までもが、何故か私の執務室にいる。アルジャーノン……ああ、魔術師団長の名前だったな。あいつ、以前からよく、タンディン様に連れて来られて魔獣退治させられてたよな。


「いつまでも、ミネちゃんを子供扱いしてないで、ちゃんと捕まえておかないと後悔するぞ。このままだと、アレグサー教授もまたやって来て、今度こそミネちゃんを連れて帰ってしまうかも知れん。

 そう言えば、ミネちゃんを連れて町に服を買いに行くんじゃなかったのか?ちゃんと約束通りデートして来い」


「好いた女には、キチンと自分の意思を表明しておかないと、伝わるものも伝わらん。そして、必ず約束は守れ」


 こんな所で2人に何やかやと言われるのも莫迦らしい。ミネに会いに行った方が千倍も良い事があるだろう。


「わかりました。ここは、叔父上とタンディン様にお任せして、私はミネの所へと行ってきます。後は、頼みます」


 有無を言わさず私は2人を部屋に残し、私はミネの小屋へいそいそと足を運んだ。男と顔を合わせてグダグダ言われるよりも、ミネの可愛い顔を見たい。



「え?服を買いに行く?うーん、急ぎの研究があって、しばらく町へ行く暇がないんです。

 へ?欲しい物ですか?あー、そうですね」


 残念ながら、ミネは研究中らしく、心ここに在らず、試験管を振って中の様子を見ながら、私の方も見ずに返事をしてきた。

 だが、フッと宙を見ると、こちらを見てニッコリ笑った。うん。可愛いな。何だ?何が欲しい?直ぐにでも手に入れに行くぞ。


「薔薇が足らないんだった。いや、ローズヒップかな」


 そう言うと、また徐にミネは机に向かって次の試験管を振り、何やらノートに書き込む。


 薔薇か。そうか、薔薇か。今なら、町に行って花屋に駆け込めるな。


 薔薇の花束を両手に持ち、微笑むミネを想いながら私はミネの小屋を急いで後にした。


 これで、魔術師団長、魔道具製作部長、アレグサー教授や他の男共に、先ずは一歩先んじた事になるな。うん。





「あれ?オルツァーさん、何処に行ったのかな」


「ミネちゃん、オルツァーは来たか?」


「あ、オルザインさん。うーん、何か欲しい物がないか聞かれたので、思わずお使いを頼みました。申し訳ないです」






 薔薇はお使い案件?


裏の話は『元魔王な令嬢は、てるてるぼうずを作る』のep.216『元魔王な令嬢は、心がモヨモヨする』をお読み下さいますよう、お願いします。



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