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貴方に恩はありませんので、出奔させていただきます  作者: Hatsuenya


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急に、そんな態度に出られても

 骨折復帰、リハビリ中です。


 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 ミネルバとオルツァーを今後とも、ご贔屓にお願いします。



 私とジルバさんが捕まえた男は、使い物にならなかった。アレグサー教授が男に話を聞こうにも、茫然自失状態で反応がない。

 男は牢に入れられると、ただ、ボーっと焦点の合わない目で空中を見て座り込んでいた。


「このままでは、何が悪いのか、何処を改良すれば良いのか、判断に困る」


 男から証言を取るのを諦めた教授とレガスさんは、のこのこと私の後を付いて来て、私の小屋に入り込み、お茶を飲んでいる。

 時間をあけてから、もう一度、件の男の様子を見てから帰るらしい。


 教授が帰ってくれないというのも、こっちは困るわけで。私は、実際に普通の部屋を実物大模型として作ってみる事を教授に提案した。

 床も天井も四方の壁も、真っ白な箱の部屋に閉じ込められたらどんな気持ちか、教授は一度身をもって知ってみると良いのだ。


 私は、そんな部屋は真っ平ご免ですから。


「そう言えば、その、何だ。ミネルバは、お嫁に行くとか何とかしないのか?」


「いきなり、どうしたんですか?教授」


 教授がお茶を飲みながら私に向かってそう言うと、レガスさんが、ジロリと教授を睨み付けた。


「先日、カウマン教授の姪が結婚したんだ。アレグサーはだな、カウマン教授に『ミネルバは結婚したのか?』と言われて、ハタとお前が大人になっていて結婚適齢期とやらが過ぎているのに気付いたんだよ」


 まあ、過ぎてますね。結婚適齢期とやらは。


 この間まで森に大叔母様と2人で籠って住んでいて、薬の研究が楽しすぎて、結婚なんて、考えた事もなかったので。

 たまに誰かが森の小屋に来ても、砦からのお使いのじい様くらいだったし。


 今でも仲のいい男の人と言えば、オルツァーさんとじい様達くらい?


「で、どうなんだい?そういう相手は、いるのか?」


 畳み掛ける様に教授が前のめりになって、私を問い詰める。

 いきなり、そんな事を言われても、ねえ?


 じい様達は論外だし、オルツァーさんは私の事を自分の子供みたいに思っていて養子(養女)にしたいと言い続けているし。

 大体、私が結婚するのに教授達に何の関係があるのやら。


「いませんけど……念の為にお聞きしますけど、もし、私にそんな相手がいたらどうするんですか?」


「それは勿論、レガスと一緒に、ミネルバの相手の事を裏の裏まで調べ尽くして、ミネルバに相応しいかどうか判断して、駄目な奴だったら闇に葬る。ん?ああ、今回のこの鍵を使えば、簡単に始末できるな」


 結婚相手、いなくてよかった。レガスさんも教授の言葉に頷いてないで……って、止める気がないのか。


「結婚相手は、いませんので。誰も始末しないで下さい」


「アレグサーも俺もな、何て言うか、お前の事は自分の子供みたいに思っているから、ちょっと心配なんだよ」


 お茶を飲みながらレガスさんはしみじみ言うけれど、本当の父親はとんでもない奴だったので、そう言われてもね?

 オルツァーさんと言い、教授やレガスさんと言い、私の周りは父親候補ばかりか。


「ミネっ!大丈夫だったか!?」


 唐突にドアが壊れるかの様に開くと、オルツァーさんが仁王立ちしていた。

 教授とレガスさんはカップを皿の上に置くと、椅子からゆらりと立ち上がり、ジロリとオルツァーさんを睨み付け、教授は首から下げていた鍵に手をやった。


 え、駄目だからね。鍵を開こうとしないで?


「ミネルバ、こいつが君の結婚相手かい?」


 教授の目が座っている。レガスさんは、教授が鍵に伸ばした手を押さえ、教授の一歩前に出た。


「取り敢えず、確保してから尋問するぞ。アレグサー、部屋はいつでも開けれる様に準備しておけよ」


 いやいや、レガスさん。教授を押さえてくれるんじゃないのか。助長して、どうするの。

 オルツァーさんはと言えば、剣に手はやってないものの、何故かドアを開けた瞬間から殺気を帯びてる。

 人の小屋で、突然何を始める気なのか、この人達は。


「初めて見る顔だが、女性の家に上がり込むとは、ミネとはどういう関係だ?」


 いつもより、1オクターブはオルツァーさんの声が低い。これは、臨戦態勢?と言うか、かなり怒っている気がする。


「そう言うお前こそ、いきなり女性の家のドアを開けるとは、私達のミネルバとは、どういう関係だ?」


 いや、私達のミネルバって、教授?言い方、言い方。その言い方は、誤解を招くから。相変わらず、教授は常識がない。

 教授は、私の前にずずいと出て、私を背中に隠そうとする。


「オルツァーさん、待って!待って!教授もレガスさんも私を後ろに隠そうとしないで」


「いや、駄目だ。ミネ。私の腹の虫が、こいつらは排除すべきムシ達だと、訴えている」


「気安く、ミネルバの愛称を呼ぶな。レガス、隙を見て、取り敢えず鍵の先の部屋に放り込む。手伝え」


 いやいやいやいや、教授?私、ここではミネと名乗ってますから。愛称とかじゃないから、それ。

 オルツァーさんのお腹の虫も、何か知らないけれど、誤解だから、誤解だからね。

 





「ミネルバの好みは、筋肉男か!!腹立たしい」


「まあ、研究塔には余り居ないタイプだな」


「女顔の優男と、一見真面目そうで性格悪そうなタイプか。どちらがミネの相手だ」


「何か、誤解が生じてるから。絶対、3人とも何か違うから」




 男達3人は、本能で嫌悪感を感じている様です。がんばれ、ミネルバ。


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