宝の持ち腐れは、厳禁です
読みに来て下さって、ありがとうございます。
オルツァーさんは、相変わらず、ミネにベッタリです。
すいません。オーベンさんの武器が、途中から大鎌からウォーハンマーに変わっていました。前の2話分、ウォーハンマー→大鎌に訂正しました。申し訳ありませんが、ご了承下さい。
ウォーハンマーだと、草、刈れないやんヾ(≧∀≦*)ノ〃
肉食の魔草の息の根をしっかり止めたオーベンさんとフォスターさんは、荷車に縛った魔草を積み上げる。
「これ、どうするの?オーベンさん。まさか、廃棄処分にするんじゃないでしょうね」
「いやいや、まさか。纏めておいて、乾燥させておくと、タンディン様が王城に行く時に持って行かれるそうです」
これを干すの?何処に?
オーベンさんは、大鎌に付いた大きな肉食魔草の緑色の血……植物の汁を水で洗い流すと、サッと拭きながら話を続けた。
「なるべく人が通らない所に干場を作ってあるんで、ご心配いりませんからね。
俺は、前の仕事柄、こう言う処理には慣れてますんで」
「でっかい柵みたいなやつに、足を纏めて、こう、両側に吊るしとくんですよ。オーベンが、魔法薬材料の調達を仕事にしてた時に使っていた方法だそうです。
砦の石塀にぶら下げといても良いんですが、魔鳥が寄ってきて食べてしまいそうなんで止めときました」
ムチャクチャ大きなドライフラワー……。何か可愛くない。
薬草類は私が貰って薬を作るけれど、確かにこの魔草の扱い方を私は知らない。研究用に一本欲しいけれど、確かにこの長い植物をどうやって保存すれば良いのやら。
「もし、この魔草が、ご入り用でしたら、タンディン様に掛け合って下さい。おそらく、許可は下りると思いますよ。ご存知の通り、砦では薬が沢山必要なので、作っていただけると、ありがたいです」
砦は、未だにデザリスタとの最前線。仮面の男爵が捕まったとは言え、大元のデザリスタからは盗賊や密輸団が、そしてそれを追って来たと称して雪崩れ込んでくるデザリスタの騎士団が後を断たない。
砦の騎士団は、デザリスタからの犯罪者達を捕らえ、デザリスタの騎士団を追い返すのに生傷が絶えないのだ。
オーベンさんとフォスターさんは、荷車を押しながら夜道を宿舎に帰って行った。
そして、オルツァーさんは、帰らない……。
帰らないで、2人を見送っていた。
え?オルツァーさんは、宿舎に部屋がある筈よね。
「ほら、ミネも、もう寝るんだ。小屋に入って休めよ」
私は、オルツァーさんに、そっと背中を押されて小屋に入る様に促された。
オルツァーさんは、私と一緒に小屋に入らない。
よしよし、大丈夫。きっと、オルツァーさんは私が小屋に入るのを見届けてから、宿舎に帰るに違いない。
「お休み、ミネ。良い夢を見るんだぞ」
「お休みなさい、オルツァーさん。また明日。気を付けて宿舎に帰って下さいね」
「あ、ああ……そうだな。大丈夫だ。私の事は、心配ない。じゃあな」
オルツァーさんは、私が小屋に入るのを見届けてから宿舎に帰るつもりかしら。相変わらず、律義で心配性よね。
ニコニコと上機嫌で、オルツァーさんは小屋の扉を閉め、私は小屋に『強固反射』の魔術を再度かけ、小屋の隅でマントに包まり眠りに落ちた。
夢の中で、オルツァーさんの上機嫌な鼻歌が聞こえる。何だか、まるでオルツァーさんが側に居る様に安らかな夢を見て、幸せな気分で私は朝を迎えた。
朝になって、小屋の扉の側の壁に凭れて眠るオルツァーさんを見つけるまでは……。
「やあ、ミネ。おはよう。よく眠れたかい」
大欠伸をしながら、オルツァーさんは両腕を天に伸ばして、首と肩を動かしながらゴキゴキ言わせた。
何をやっているのか、この人は。
「ミネは、相変わらず早起きだな。早起きのオーベンも未だ来てないのにな」
いやいや、何故、オルツァーさんは、こんな所で寝ていたのか。
「あれからは、何事もなかったぞ。安心しろ」
いけしゃあしゃあと、そう言う?
「むしろ、オルツァーさんが、ここで眠っていた事が、既に事件です」
「ミネに何かあったらと、心配だったからな」
番犬じゃ、あるまいし。オルツァーさんったら、心配し過ぎでは?
「オーベンがもうすぐ畑に作業に来るから、そうしたら、交代して朝の鍛練に行こうと思ってたんだ」
「心配してくれたのは、ありがたいけれど、身体を壊しますよ。オルツァーさん」
「大丈夫だ。野営には慣れてるからな。これから、毎晩、ここの外で番をしてやるから、心配ないぞ」
いや、心配しかないから。切に、止めて欲しい。
「私、ちゃんと今日は、森の小屋に帰りますよ?」
それを聞いてオルツァーさんは、すっとんきょうな顔になった。うん。髭もうっすら生えてきてるわね。
んふふ。残念なちょいイケメンのオルツァーさんに戻ってる、戻ってる。
私は、何となくちょっと嬉しかった。
「帰るのか!?」
むしろ、何故、私が森に帰らないと思っていたのか。そっちが、知りたい。
「昨日は、作業に熱中して遅くなったので、泊まっただけです。今から、一度小屋に帰って必要な物を取って、ここにまた戻ってきて作業しますが、今日は、夕方には再び森に帰ります」
それを聞いたオルツァーさんは、一緒に森に行って荷物を運ぶのを手伝うから、大人しく待っている様に私に言って、やって来たオーベンさんに挨拶もせず、不機嫌に宿舎に戻って行った。
何だか、変なオルツァーさん。
「おはようございます。オーベンさん。昨夜は、お疲れさまでした。朝早くから大変ですね」
「おはようございます、ミネさん。団長は、一晩中居たんですか?」
「居ました。小屋の外に」
「外に」
「はい。外で寝てましたね」
「中には、入らず?ミネさんが、追い出したのでもなくて?」
「私を小屋の中に入れて、こっそりここで寝てたみたいです」
「いや、俺は、てっきり、団長は小屋の中でミネさんと一夜を明かしたとばかり」
「オルツァーさんは、一歩も小屋に入ってません」
「何をやってるんですかね、団長は。そこは、中に入るでしょう。ヘタレですかね」
「いや、小屋の中に入って眠られても困るんですけど?」
団長ヘタレの噂が、砦の中を闊歩したとか、しなかったとか。




