訂正するのを、わざと忘れてました
読みに来て下さって、ありがとうございます。
いよいよ、ミネとオルツァー、再会です!
最初の印象が肝心なのよ。
威厳を持って、しっかりと。
こんなに緊張したのは、学園に入学した時以来だわ。
辺境砦の門には、2人の門番が立っていた。1人は線が細くて、おおよそ騎士には見えない感じの騎士。もう1人は、生真面目そうな未だ少年の様な騎士。
荷馬車を引く馬のハリスは賢く、私が指示を出さなくても薬の魔女の小屋からここまで私を連れてきてくれた。
門番は、私の顔を知らなくても、何度も来ているハリスと荷馬車の事は知っている筈だと思っていたけれど、そうではなかったみたいね。
「砦に何の用だ。ここに入るには許可がいる。許可証を見せろ」
「私は『薬の魔女』よ。はい、これが許可証」
少年の様な騎士は、荷馬車から降りてきた私が差し出した許可証を見た。許可証を見ると、続いて私の顔をじっくり見て怪訝な顔をした。
「確かに『薬の魔女』の許可証だ。だが、あんたが本当に『薬の魔女』の後継者かどうかは、上の人間に確認するように言われている。連絡をするから、ちょっと待っていろ」
詰所に繋がる小窓を開けて、少年の様な騎士は何事かを中に向けて話し出した。何か、揉めているみたいね。
「へぇ、君が『薬の魔女』なのか。随分と若くて可愛らしいじゃないか。平民にしては、中々の美人だ」
もう1人の線の細い騎士は、私の髪を1房掬って、馴れ馴れしく身体を近付けた。
ニヤニヤとして不躾に私を上から下まで舐め回す様に見ると、私の肩に振れようとする。
「少し、離れてもらえますか」
私がそう言うと、益々、男は身体を寄せてきて、私の肩に触れて顔を近付けて来た。
「まあ、そう言うなよ。邪険にする声も可愛いねぇ」
煩わしい。邪魔。鬱陶しい。
「ちょっと。ブルースさん、何やってるんですか!」
声が聞こえたのか、小窓を閉めた少年の様な騎士が、慌てて私の方を振り向く。
「ブルース!一体、何をやっている。女性に馴れ馴れしく触るんじゃない」
続いて、砦の門から慌てて出て来た誰かが、私に触れているブルースと呼ばれる男を怒鳴り付ける。
『捕縛転倒』
私のローブの中から縄が飛び出てブルースの身体に巻き付き、彼は地面に倒れた。森の魔獣相手に使う魔術だけれど、まあ、こういう奴相手なら使っても問題ないわよね。
「ミネ……ミネだよな」
オルツァーさん。
オルツァーさんが、そこに立っていた。何故か私があげたクマのぬいぐるみを抱えている。
何故?え?ひょっとして、いつも持ち歩いているとか?
オルツァーさんは、豆鉄砲を食らった鳩の様に大きく目を見開いて私を見、涙を流した。
「お、大きくなったな。髪も随分と伸びて、綺麗になった」
私は、飛びついて抱き締めようとするオルツァーさんを手で押し止めた。ち、ちょっと待ってよ。
「あ、ああ。綺麗になったなんて、男の子に言うべき言葉じゃなかったな。すまない」
「そうじゃなくて、ちょ、ちょっと待ってください!」
バフッと、私は慌てて自分が着ていたローブを脱ぎ捨てた。
「ミネ……ミネだよな」
「そうですよ。オルツァーさん、お久し振りです」
「いや、だって、その。あ!
『薬の魔女』を襲名したからか。だから、ミネは薬の魔女の名の如く、女になってしまったのか!?くそ、魔女め。私の可愛いミネに何て事をしたんだ」
「はぁ?何を言ってるんですか。最初から、私は女なんです」
オルツァーさんは、益々慌ててぎゅっとクマのぬいぐるみを抱き締めた。
「いやいやいやいや。ミネ?え!?本当に?」
「はい。本当です。正真正銘、生まれた時から女でした」
私は、胸を張って、ドヤっと片手を腰に当て、もう片方の手を胸元に持っていった。
「でも、5年前は……うん、確かに立派に育ったな」
一瞬だけ私の顔を見て、そのままオルツァーさんの視線は下に降りて私の胸で止まってしまった。
これだから、男って奴は!
「それにしても、ミネ、大きくなったね~」
「人の胸に向かって、大きくなった発言しないで下さい。セクハラですよ、オルツァーさん」
「うんうん、さあ、オルツァーさんの胸に飛び込んでおいで」
「いえ、飛び込みませんから」
「ああ、大きくなったミネが冷たい」
「いえ、元からこんなものでしたよ」
やっぱりやっぱり、相変わらず、何か残念な感じのオルツァーさんです。




