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楽園から続く道  作者: 詠み人知らず


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42/49

強敵

6組目のネタが終わって、MCの常田が進行を始めた頃、出場者待機室では、圭介が、遊星だけに聞こえる声で言った。

「トップ出番にならなかったのはいいが、トリもできれば避けたい。」

「そうだな。そろそろ呼ばれればベストなんだが。」

応える遊星。

「次あたり、来そうな気がする。準備はいいか?」

「あぁ、問題ない。」


6組目の得点が発表される。

833点。

それを出場者控え室のモニターで見て、圭介が言う。

「カリカリ梅さんの作ったいい波は続いている。得点の差は、単にネタの質だ。」

圭介の方を向き、頷く遊星。

「この流れが続くうちに、来い。」

モニターを見つめたまま呟く圭介。

それを聞いて、遊星もモニターに視線を戻したた。


スタジオで、新陽がくじを引く。

常田は、新陽からくじを受け取り、それを見ると、

「7組目は、ハルシネーションです。」

と声を上げた。


遊星は、圭介の言った通りになったことに驚き、圭介の顔を見た。

圭介は、ニヤリと口角を上げる。

その目は、闘志でみなぎっている。

「いくぞ。」

圭介は言った。

「行こう。」

遊星は応えた。


せり上がりが止まり、扉が開く。

「やっと戦えるな。」

と圭介が呟いたが、

その音は出囃子にかき消され、遊星には届かなかった。


扉が開き、二人がステージに現れるが、圭介はヒョコヒョコと歩きづらそうにセンターマイクまでたどり着く。

客席と審査員の顔に疑問符が浮かぶが、それに構わず二人が話し始める。

「はいどーもー。ハルシネーションです。」

「いやね~。最近芸人でもYou Tube始めてるやつ多いじゃないですか。」

圭介が切り出す。

「あぁ、若手はほとんどやってるんじゃないですか?」

遊星が応える。

「そろそろ、僕らもやりませんか?」

「いいですね~」

「でも、大分出遅れているんで、かぶったら嫌なんですよね。」

「あぁ、もうみんな色々やってますからね~。」

「やっぱ、オリジナリティーが大事だと思うんです。」

「それは、間違いないですね。じゃぁ、練習しときますか?」

「お願いします。」


一瞬間をとり、真剣な顔に切り替えて、客席に向かって口を開く圭介。

「みなさん。今、緊急で動画を回しています。」

「いや、ノッケから見たことあるな!」

会場からクスクスと笑いが起きる。



―中盤

「今日は、僕たち二人から大事なお知らせがあります。」

圭介が客席に向かって切り出す。

「え?俺も?聞いてないんだけど。」

遊星が、圭介に問いかける。

客席から、小さく笑いが起きる。

「結論から言うと‥‥」

「はぁ」

「僕たち・・オープンマリッジになりました。」

「絶対違うだろ!」

客席から笑いが起きる!

「皆さんが戸惑うのも分かりますが、結婚には色々な形があっていいと思ってます。」

「いや、みんなそこに戸惑ってるんじゃないから!」

客席の笑いが一段大きくなる。

圭介が、急に怒った表情で、遊星に詰め寄る。

「お前!ずっと一緒にやっていこうって、二人で約束したじゃないか。」

「お笑いをな!え?あれ、そういう意味だったの?」

客席が揺れる。

一拍おいて、遊星が続ける。

「ていうか、そこ行く前に、せめて、”ゼロ日婚”からやれよ!」

客席に爆笑の渦が巻き起こる。



―終盤

「皆さん、僕たち、二人で話し合った結果、離婚することにしました。」

「え?あれだけツッコんだのに結婚してる“てい”で、進んでたんだ。」

「離婚理由は‥‥」

「もう分かりますよ。オープンマリッジで、炎上したからでしょ?」

「“痔”です。」

「やめろ!急に生々しい!」

会場から爆笑が起きる。

「おまえはいいよな‥‥”突っ込む(ツッコむ)”方だから。」

おどけた表情で、たたみかける圭介。

「もう、いいよ!」

遊星が締め、

お辞儀をして、二人がはける。


圭介は、お尻を押さえて、ヒョコヒョコと舞台から捌ける。

“登場したときの動きはこれか!”

観客と審査員が、捌ける二人の背中に大爆笑を浴びせた。

いよいよ、第一章も佳境、

手に汗握る決勝の舞台をお楽しみください!

応援、よろしくお願いいたします。

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