天才
暫定王者席で輝幸は、大爆笑の中、舞台を降りる二人をモニターで見ていた。
隣で綾子がつぶやく。
「やられたわね。」
輝幸が綾子の方を向く。
「おそらく、あの”入り”と”捌け”は私たちのツカミを見て入れてきているわね。」
「まさか!あの流れを土壇場で完成させるのは、流石に無理じゃないか?」
戸惑う輝幸に、綾子が首を横に振る。
「いや、圭介ならやりかねない。私たちのツカミは、トップバッターということもあり、強烈なインパクトを生み出した。」
「うん。」
「だから、圭介は、ツカミで勝負するのを止めて、終わった後に、爆笑を攫う戦略を立てたんだと思う。」
「だからって・・・登場の伏線を、捌けで回収するなんて見たことないぞ。」
「うん、これまで誰も思いつかなかった。あれはもう発明ね。」
”天才”
輝幸の頭のなかで、その二文字が浮かんだ。
トップバッターというくじ順とゲストのコメントから、瞬時に秀逸なツカミを生み出した綾子。
綾子のツカミを冷静に分析し、それに対抗する全く新しい戦略を土壇場で生み出した圭介。
二人の天才の攻防を目の前にして、輝幸は鳥肌が止まらなかった。
モニターでは、圭介がスタジオに現れ、ゆっくりヒョコヒョコと、MCの常田の元にたどり着く。
「遅いねん!番組押してるんやから、早よ、来い!」
常田が、笑いながら、圭介にツッコむ。
「良い、ツッコミですね。」
圭介が惚けた顔で応える。
「いや、もう、全部違う意味に聞こえる!」
遊星がツッコむ。
客席から笑いが起きる。
笑いが落ち着くのを見て、常田が進行する。
「それでは、審査員の皆さん。得点をお願いします!」
さて、みなさん、どのコンビが勝つか予想してみてください。
更新は2日お休みをいただきます。
審査員気分を味わってみてくださいね。




