評価
900PV、ありがとうございます。
舞台を降りた瞬間、輝幸は、深く息を吐いた。
浮き足だった気分が、少し落ち着く。
「……どうだった?」
スタッフに誘導され、MC席に向かって歩きながら、綾子が輝幸に声を掛けた。
輝幸は、少し笑った。
「アヤコ、あの状況で、あのツカミ…よく出たな。」
「いいツカミだったでしょ?」
「トップ出番になって、アヤコも動揺してるように見えたけど…」
「してたよ。でも、スタジオのオープニングトークを聞きながら、あらゆる出番でのツカミを頭の中で想定してた。」
「すげぇな。」
輝幸は、賞賛の声を上げた。
そして、トップ出番に決まり、漫才が始まるまで、ただただ真っ白だった自分と綾子を比べ、
“これが地力の差か。少しツッコミが評価されたといっても、自分はまだまだ芸人としての底力が足りない”
と、心の中でさらなる成長を誓った。
綾子と輝幸が、MC席付近に到着し、常田が、二人を迎える。
「アペリオのお二人でーす。いやートップバッターとは思えない漫才でした。どうでしたか加納さん。」
綾子が、お天気キャスターのさわやかな笑顔のまま、応える。
「ありがとうございます。静流くーん。あとで、二人っきりでお話がありま~す。」
「だから、サイコパスかって!怖いよ、笑顔が。」
それを聞いて、会場にまた笑いが起きる。
会場の笑いが落ち着くのを待って、常田が進行する。
「今のは審査ではノーカウントですからね。それでは、審査に移ります。審査員の皆さん、よろしいでしょうか。アペリオのお二人の得点をどうぞ!」
9人の審査員が、それぞれ100点満点で採点を行う。
一人目、「96点」
会場にどよめきが起きる。一番目の出番としては異例の高得点。
「94点、92点、91点、93点、97点、94点、95点…」
高得点が続く、最後は島本だ。
「95点!」
島本も異例の高得点を付けた。
「合計は、847点。アペリオのお二人の得点は847点です!」
常田が大きな声で宣言する。
トップバッターとしては異例の高得点に会場がざわつく。
得点を見た輝幸は、
「よおぉし!」
といって、ガッツポーズをしたあと、喜びと興奮から無意識に綾子をハグした。
綾子は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにハグを返した。
そして、短いハグのあと、モニターに向き直り、笑顔で、
「よっしゃー!!」
と歓喜の声をあげた。
「では、審査員からコメントをもらいます。島本さん、いかがでしたか?」
「いや~ウケてたね。さっきの僕のコメントのあと、ちょっと会場が固くなったな。しまったな~って思ってたんですけど、みごとなツカミでその空気を一掃してくれましたね。ありがとう。」
「島本さんが、ありがとうと言ってくれてますが、どうですかお二人。」
島本のコメントを受けて、常田が二人にコメントを振る。
「いや、自覚あるなら、むやみにオーラだすの、止めてくださいよ。」
綾子が、大物に切り込む。
常田も客席も笑う。
「いや~、止めたつもりだったんだけど、漏れ出しちゃうのよね~・・・オーラ?」
島本がおどけた表情で言う。
「いや、残尿みたいに言うな!」
輝幸がツッコんだ。
会場に爆笑が起きる。
その頃、盛り上がる会場とは対照的に、出場者控え室は静まり返っていた。
皆が、深刻な表情でモニターを見る中、ひとりだけ、凄絶な笑みを浮かべている男がいた。
――圭介だ。
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いよいよ、第一章も佳境、
手に汗握る決勝の舞台をお楽しみください!
応援、よろしくお願いいたします。
ブックマーク、★、♡を何卒!!
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