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楽園から続く道  作者: 詠み人知らず


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39/49

地力

900PV、ありがとうございます。

“まずい。空気に飲まれている”

輝幸は感じたが、それに抗う術が輝幸にはなかった。


「アペリオと申しま~す。よろしくお願いしま~す。」

輝幸は、平静を装って、なんとか口にした。

「‥‥」

綾子の合いの手が入るはずが、入らない。

最悪の事態が頭をよぎり、輝幸が、客席から綾子へと視線を移すと、

綾子はゲスト席の方を見ていた。

そして、

「ねぇ、静流くん。そんなに私たちのネタ見るの待てなかった?」

と、問い詰めるように言う。

輝幸の脳裏に、先ほどの、新陽静流のインタビューがフラッシュバックする。

「早く見たいって言ってたから、俺たちを一番に引いたわけじゃないだろ!」

会場が綾子のボケを理解し、クスクスと笑いが起きる。

続けて綾子がブチ切れる。

「もう二、三組くらい待てただろ!こっちが ”滑り” そうだわ!」

「”氷上の貴公子”にキレてる女子、初めて見たわ!」

会場の笑い声が一段跳ねる。

その笑い声を聞いて、輝幸は冷静さを取り戻した。

会場に漂っていた堅い空気が取れた‥‥


ネタの本線が始まる。

朝の情報番組のお天気キャスターに扮した綾子が、

その爽やかなイメージの裏にある本音を、

独特の視点でシニカルに描き出す漫才コントだ。


――前半

分かりやすく、テンポよく。

屋外にお天気レポートにでた綾子扮するお天気キャスターが、さわやかな笑顔でレポートする。

輝幸は、スタジオにいる番組MCのアナウンサー役として綾子のレポートを受ける。

「アヤコさん。おはようございます。さわやかな朝ですね。そして、まだ、朝6時だというのに、今日も素敵な笑顔ですね。」

輝幸が、朝の情報番組にふさわしい、さわやかな雰囲気を演出する。

「ありがとうございます。朝の3時から、鏡の前で格闘した甲斐がありました。」

綾子が、さわやかな笑みを崩さずに、キャスター口調で返す。

「3時間?!いや、あんま、言わない方が‥‥」

輝幸が、戸惑った表情と声のトーンで、ツッコむ。

「今、”死闘”から帰ってきたばかりです。」

綾子が爽やかな笑顔のまま畳みかける。

「やめろ!」

輝幸が叫ぶ。

「メイク室で生死を掛けて闘うなよ!beforeを見るのが怖いわ!」

客席の笑いが、少しずつ積み上がる。


――中盤

綾子が、加速する。

「今日は、少し風が強いので、お気をつけくださいね〜

‥‥って言っても、皆さん今、局に履かされてるこの短いスカートしか見てないんでしょうけど。」

さわやかな笑顔と声で、毒をまき散らす。

「おおぃ!…いや~、風の音で音声が乱れたようですね。」

輝幸が、慌てて取り繕う。

情報番組のMCと、ツッコミを両立する。

会場から笑いが起こる。

綾子が、さわやかな笑顔をくずさず、畳みかける。

「パンツ見えたって、SNSに書くんでしょ?ねぇ、書くんでしょ?」

「サイコパスかお前は!笑顔のまま、カメラに詰め寄るな!」

会場の笑いのボルテージが上がる。


――行ける

冷静さを取り戻した輝幸が、状況を俯瞰で見て、分析する。


――終盤

ネタは、最後まで崩れなかった。

綾子が爽やかな笑顔のまま中継を締める。

「それでは、皆さん、今日もお仕事がんばってくださいね~♪私はこのあと、局の廊下で粉かけてくるアイドル崩れを、笑顔でスルーする仕事に戻ります。」


「誰かの顔が目に浮かぶなぁ!!」


不謹慎な綾子のボケ。

想像を掻き立てる輝幸のツッコミ。

モラルの境界線上を綱渡りするその危うい表現に、会場が揺れた。

いよいよ、第一章も佳境、

手に汗握る決勝の舞台をお楽しみください!

応援、よろしくお願いいたします。

ブックマーク、★を何卒!!

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