↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/9

第5話 サイクロプス

ガルドたちと街の門を出て、森の方へ向かう。

そう、俺が目覚めた時にいた森だ


「じゃあカイル、森までは少し距離があるしみんなにモンスターについて説明してやってくれ」

「わかった」


早速説明を求められる


「じゃあ改めて説明する。モンスターの名前はサイクロプス、青白い肌に長い腕の一つ目の巨人だ。6、7メートルはあるな。だからかなりリーチがある、気を付けてくれ」

「後衛の私やシルヴィアは大丈夫だけど、前衛のあんたたちは気を付けなさいよ」

「安心して任せて~」


ルークはやっぱりノリが軽いな、大丈夫だろうか


「ルークよ、今回の相手は普段とは違うんだ。もう少し気を張れ」

「いざとなったら、ロックの後ろに隠れるね~」

「お前なぁ...」


ルークは軽口をたたくムードメーカーってところか


「ハハハ、それでカイル、ソイツの弱点とかは?」

「あぁ、弱点は説明した通りヤツの目だな。一つ目だから、その視界を潰してしまえばいい。だが、そう簡単にはいかないだろうな。リーチもあるし抵抗も激しいはずだ」

「そんな巨体の相手の顔に攻撃を当てるっていうのは苦戦するでしょうね」


さすが冷静という感じのシルヴィアだ、分かっているようだ。


「そうだ、だからまずはヤツの足を鈍らせるのがいい。幸い、ヤツはその巨体のせいでそこまで速くはない。足を鈍らせてしまえばかなり遅くなるはずだ」

「なるほどな。となれば、シルヴィアの魔法が役に立つ。頼めるか」

「えぇ、もちろんよ」

「じゃあ、他のみんなはいつも通りに。シルヴィアの魔法が頼りになるから、ロックはシルヴィアを守ってやる形で頼む。俺とルークでヤツの注意を引く。ティナはいつも通り、援護を頼む」


素早い判断、的確な指示。さすがガルド、ベテランという感じだ

敵を鈍らせる魔法なら俺も使えるが、宿屋の主人が言ってたようにこの世界の剣士は、基本的に魔法を使わないみたいだしわざわざ言わなくていいか。

シルヴィアに任せておけば大丈夫だろ。威力が凄いみたいなこと言ってたし。


「俺から言えるのはこれぐらいしかないんだが、本当に俺が同行する必要があるのか?」

「まぁ、ギルマスがああ言ってたしカイルは腕がいいって事なんだろ。それに、俺もカイルの実力は気になるしな。初日でブランボアを5頭も狩ったんだろ?しかも一人で」

「おいおい、そいつはホントか?」


ロックが驚いて聞いてくる


「あ、あぁ。ギリギリだったんだけどな」

「それでも凄いよ~、新人がアレを5頭も狩るなんて。カイルは将来有望だな~」


ルークまでそんなことを言う


「そうだぞ。新人なら普通は、一体でもキツイからな。カイルはそれを5頭も狩ったんだ、誇っていいと思うぞ」

「あんまり持ち上げないでくれガルド。期待されるのはあまり得意じゃないんだ」

「っと、すまんすまん。長年冒険者やってて、ギルマスの目は確かだって分かってるからな。あのギルマスにあそこまで言わせる新人はそうそう居ないからつい、な」


ガルドがそう言うあのギルマスは、何者なんだろうか


「ギルマスって長いことこの街にいるのか?」

「あぁ、俺が冒険者になって4、5年ぐらいだったか?経った頃に、前のギルマスが異動になったからって入れ替わる形で今のギルマスが来たんだよ」

「あの人が来たのはもう8年くらい前の話ね」


シルヴィアが具体的な数字で答えてくれた

8年前からってことは、結構前からいるんだな


「おぉ、よく覚えてたなシルヴィア」


ロックが驚く


「えぇ、記憶力はいいもの」

「さすがシルヴィアだね」

「ふふ、ありがとうティナ」


この二人仲いいな


「聞いた話だと元々は、王都の方で騎士をやっていたらしいけどね~」


さすがファンタジー、王都や騎士なんてのもやっぱりあるんだな

王都に騎士か... 待てよ?


「王都ってのは?」

「王都は王都だよ、王都ヴァルグラント」


ヴァルグラント?


「すまない、本当に俗世のことに疎くて。この大陸の名前とか王都のことも教えてくれないか」

「おいおいカイル、そこまで疎いと心配になるぜ」


仕方ないじゃん、この世界に来たばかりなんだもの。


「あー、うん。すまない」

「まぁいいよ、まだ距離はあるしね。まず、俺たちが居るこの大陸はドラグニア大陸。んで、ヴァルグラント王国がある大陸が、フェルグラント大陸。フェルグラント大陸はここドラグニア大陸から、少し先にある大陸さ。ヴァルグラント王国は騎士の国って言われてるとこなんだ」


俺が居る大陸はドラグニア大陸っていうのか。これもリバイバルに出てくる場所だな。

そして、フェルグラント大陸と騎士の国というヴァルグラント王国。

間違いない、これはエタクロに出てくる大陸と王国だ

ここでまたしても別ゲー要素が混ざってきたか


「なるほど、大体わかった。ありがとう」

「へへっ、どういたしまして」

「あんたのその知らなさ加減は、心配になるわね」


ですよね、俺もそう思います。

今の情報を整理して考えてみると、俺の居るこのドラグニア大陸がリバイバルで、フェルグラント大陸がエタクロってところか。となると、まだどこかの出てきていない大陸がドラレクのものと考えるべきか。まだ推論でしかないが。


「まぁ、知らないことは覚えていけばいいさ。それよりも、もうすぐ森だ。みんな、装備を確認しておけ」

「おう (了解)」



――森へ到着し、少し足を踏み入れたところでガルドが足を止める。



「カイル、サイクロプスの足跡や痕跡は分かるか?」


なるほど、ガルドたちは初めての相手だから知らないもんな。


「あぁ、分かる。追跡は得意だから任せてくれ。まずは、この周囲を調べてみるべきだろうな」

「頼んだぞ。俺たちもそれらしいものを探してみる」

「せめて、襲われた子たちにどの辺か聞いておけばよかったのに」

「必死だったなら聞いてもどの辺か分からないと言うと思ってな。登録したばかりの新人二人だったしな」

「あ~新人なら分かんないだろうなぁ~」

「まぁ、痕跡探しから始まるのはいつものことだ。やるぞ」


敵の痕跡を探し、追跡し、戦う

どんな相手でもここから始まるんだよな。

さて、サイクロプスの痕跡を探すか

まずはあの辺が良さそうだ


「俺はあっちの方を調べるから、なにか見つけたら呼んでくれ」

「あぁ、分かった。気をつけろよ」


ガルドたちに背を向け、まずはサイクロプスが登れそうな3、4メートルほどの壁になった場所を見に行く。

こういう場所を上っていてくれたら、痕跡も残りやすくて助かるんだが

そのまま壁沿いを歩いて見ていくが、痕跡らしき痕跡は見当たらない。


「やっぱり、そう上手くはいかないか」


ゲームのように、目標ポイント周辺へのマーカーなんかがあるわけじゃないしな。

せめて、あの新人たちが襲われた地点が分かればいいんだが

とにかく、この壁沿いはダメそうだ

切り替えて地面に残る足跡を探す方針にしよう

あの巨体だ、足跡はかなりデカいはずだし分かりやすいはずだ


地面を見て回るが、動物の足跡と思われるものやブランボアらしき足跡などしか見当たらない

ダメか、探す場所が悪いか?

もう少し奥の方へ踏み込んでみるべきか


「おーいカイル、ちょっと来てくれー」


そんなことを考えていると、ガルドが遠くから俺を呼んだ

痕跡を見つけたのか?とにかく、行ってみよう


ガルドの元へ行くと、他の4人も集まって周囲を見ていた


「どうした?痕跡があったのか?」

「あぁ、多分これが件のモンスターの痕跡じゃないかと思ってな。俺はこんなもの見たことが無い」


ガルドが皆が見ている地面を指差す。そこには、大きな足跡らしきものがあった。

一目で分かった。四本の指の跡に、この大きさ。間違いない、サイクロプスの足跡だ。


「それに、ほら。周りの草木もこんなになってる」


足跡を見て考えている俺に向かって、シルヴィアが言った。

シルヴィアの言葉を聞いて周りを見てみると、確かに草花たちは踏み倒され、数本の木が折れて倒れていた。

酷いもんだ。まぁ、馬鹿なサイクロプスらしいといえばらしいが。


「あぁ、間違いないな。ヤツの痕跡だ。ここであの新人たちを襲ったのか、動物でも襲ったのかまでは分からないが、この痕跡を追っていけばヤツと会えるだろうな」


俺の言葉を聞いて、顔つきが冒険者のそれへと変わる五人

さすがガルドのパーティメンバーたちだ。


「じゃあ、この痕跡を追跡するからついてきてくれ」

「了解だ」

「なんかあっても守ってやるから安心しな」


ほんとにこの人たちは頼もしいな

さて、足跡を追いますか。



――足跡を追って歩くこと、数分。



水が貯まった、少し開けた池のような場所に出た。

俺は感覚を研ぎ澄ませ、周囲を観察する。

足跡は池の前まで続いている

ここで水分補給したんだろう、サイクロプスが水を飲む残像が見えてきそうだ

ほんと凄いな、この体。


足跡はそのまま森の奥へ続いている

他に痕跡が無いか池へ近づいてみる

綺麗な池だ。俺が最初に見た川も相当綺麗だったが、この池も同じくらい綺麗に透き通っている。

池の周りも観察してみるが、他には特に痕跡はないようだ。

水分補給をしただけのようだな


「ここで水を飲んで、森の奥へ行ったようだな」

「凄いな、そこまで分かるのか?」


この足跡を見れば一目瞭然じゃないか?


「そりゃ、池の縁のここに足跡があるんだし一目瞭然だろ?」

「私たちには、ここに来る途中のあそこまでくらいしか見えなかったわよ」


ティナが指差す方を見ると、俺たちが通ってきた草木が生えている場所だった。


「カイル、そこに足跡なんてある?」


シルヴィアまで分からないという

この足跡がみんなには見えないのか?


「あぁ、ほらここに。水を飲むために前屈みになったのか、指の跡が他よりハッキリしてるだろ?」


ガルドが近づいてきて、屈んで地面を観察する


「確かに、よく見ないと分からないが足跡があるな」


ガルドの言葉に驚いて、他の四人も近づき観察する


「ほんとだわ...。あんたこんな足跡よく分かったわね」

「こりゃよく見ないと、普通に見落とすレベルだぞ」

「これが見えるとかカイルはすごいな~」

「えぇほんとにね」


どうやら俺が思っている以上に、この体の感覚は鋭いようだ


「ハハハ、追跡が得意ってのは本当みたいだな。このまま頼むぜ」

「あいよ」


ヴオオォア゙ア゙ァ゙ァー!!!

その時、森の奥から雄叫びが聞こえてきた

サイクロプスの足跡が続いている方向だ。

ヤツの可能性が高い


「行こう、おそらくヤツだ」

「わかった、みんな聞いたな。いつでも戦えるようにしろ。カイル、お前は俺たちの後ろから付いてこい」

「了解」


皆が一斉に走り始め、その後を俺も追いかける。


――数百メートル走っただろうか、木々の間からヤツの姿が見えた。

一つ目の巨人、サイクロプスだ。間違いない。

動物を食べるために襲っているようだ


「カイル!お前は少し後ろで待機だ!ここからは俺たちの仕事だ!」

「そうそう!新人君は先輩の戦い方を見てなさいッ!」


そう言うと、ティナは木の上に上り弓矢を放った。

こちらに気付いていない背を向けているヤツの肩に刺さった

グゥアッ!!

ヤツが振り向く。


「シルヴィア!」

「えぇ!――<アイシクル>!!」


ガルドの合図とともに、シルヴィアが<アイシクル>というとサイクロプスの周りの地面が凍り始め、その氷がヤツの足まで伸びていく。

グオアァッ!?

サイクロプスが不意打ちを受けたような声を上げる


「行くぜ~巨人さん~」


ルークが双剣を手にサイクロプスの懐へ入ろうと走り込む。

グゥアッ!

それを阻止しようとサイクロプスが右手をルークへ向けて振る

ガンッ!

その手をロックが止める。


「そうはさせねぇぜ!」

「俺も忘れてもらっちゃ困るなぁッ!」


ガルドがルークとロックに気を取られたサイクロプスの右側から走り込む。

グゥッ!?

懐に入り込ませてしまったサイクロプスが焦ったように声を上げる


「オラアアァッ!!」

「こっちもだ!」


ガルドがサイクロプスの右足を切りつける。

その隙に懐に入り込んだルークも左足を切りつける。

グゥア゙ア゙ァァッ!!!

サイクロプスが耳を塞ぎたくなるような叫びをあげた

同時に、腕を振り回し暴れ始める


バリバリッ

足を拘束していたシルヴィアの氷魔法が崩壊する

氷魔法の拘束から勢いよく足を振りほどいたサイクロプス。

そしてその足に蹴られ吹き飛ぶガルドとルーク。


「ぐあっ!」

「うおぁっ!」


ドガッ

吹き飛ばされ二人とも勢いよく木にぶつかる


「二人とも!!」

「くそっ!ここは俺が注意を引く!シルヴィア!二人に治癒を!」

「え、えぇ!分かった!」


かなり勢いよく吹き飛ばされた。あれはかなりのダメージなはずだ。

シルヴィアがまずガルドに駆け寄り、治癒魔法をかけ始める


「す、すまない。油断した」

「いいえ、私のミスよ。もっと魔力を込めて強固にしておくべきだったわ」

「そしたら魔力が持たないだろ。治癒が無いとさすがにキツイ相手だ。お前は間違っていない」


その通りだ。相手はサイクロプス、治癒が使える魔力は残しておくべきだ。

ガルドを治癒し始めて三十秒ほどだろうか、ガルドがその手を止めさせる


「俺はもう大丈夫だ、ルークを治してやってくれ」

「わかったわ」


剣を持ち立ち上がり、ロックの加勢に向かうガルド

向こう側ではロックが攻撃を受け止め、ティナがサイクロプスに矢を放っている


「ルーク、大丈夫?」

「アハハ、なんとかね。直前に受け身を取ってダメージを緩和させたのが良かったみたいだ」


ルークもかなり勢いよく飛ばされていたが、とりあえずは大丈夫そうだ。

シルヴィアが治癒魔法をかける


グオアァッ!!

ガンッガンッ


「クソッ!この馬鹿力の巨人が!!」


一方で戦闘中の向こうでは、ロックが必死にサイクロプスの攻撃を受けていた


「こいつ、私の矢には目もくれないわねっ!」


ティナも援護射撃をしているが、あの巨体に筋肉も相当ある。矢は一応刺さってはいるが、サイクロプスはお構いなしにロックを攻撃している。


「待たせたな!加勢する!」


そこへ、治癒が終わったガルドが加勢に入る。


「やっとか!随分と待ったぞ!」

「ガルド!なんとかソイツの攻撃を弱めて!」

「ティナも無茶を言うぜ!」


ガルドがサイクロプスの懐に走り込みながら言う

グゥッ!

それに気づいたサイクロプスが、ロックからガルドへ標的を変える。


「ガルド!気を付けろ!」

「あぁ分かってる!」


グゥアァッ!

サイクロプスの右腕がガルドめがけて振り下ろされる

ドオォォンッ!

衝撃音とともに、土煙が舞う。


「ガルドッ!」


ロックがガルドの身を案じて叫ぶ

次の瞬間、土煙の中からガルドが勢いよく出てくる


「オラアァァッ!!」


そしてガルドが振り下ろされたサイクロプスの右腕めがけて剣を振るう

ジャキーンッ

サイクロプスの右腕から血が噴き出す


グオォア゙ア゙ァァッ!!!

サイクロプスが斬られた痛みに叫びを上げる。


「ロック!」

「おう!」


ロックがサイクロプスの懐に踏み込み、盾で腹へ突っ込む

シールドバッシュだ。


グアァッ!?

サイクロプスが体勢を崩す


「待ってたわよ!」


バシュッ!

体勢を崩し、格好の的になったサイクロプスの顔にティナが弓矢を放つ

弓矢がサイクロプスの目をめがけて飛んでいく


ガァッ!

しかし、すんでのところで左腕で弾かれる弓矢。


「ちっ!大人しく当たりなさいよ!」

「言ってる場合じゃないぞ!手を止めるな!」

「分かってるわよ!」

「お待たせ~、今から加勢する!」

「待ってたぞ!」


治癒を終えたルークも戻ってきた。

ということはこれでまた、五人体制に戻ったわけだ

ここで決めてしまいたいところだが、皆消耗している

どうなるかは分からない。


「ガルド、また連携して足を止めよう」

「あぁ、その方がいいだろうな」

「じゃあ、また<アイシクル>で止める?」

「いや、今度は<ボルト>で頼む」

「分かったわ」


<アイシクル>の次は<ボルト>か。両方エタクロに出てくる魔法だ。

どうやら魔術師が使う魔法はエタクロのものらしい

ということは、相手を痺れさせ麻痺を狙う作戦か。


「行くぞルーク!シルヴィアは俺たちが斬り込む前に撃ってくれ!」

「えぇ!(了解)」


最初のように、ルークとガルドが二人でサイクロプスの懐へ走り込んでいく

その二人を攻撃しようとするサイクロプスに、再びシールドバッシュを当て注意をそらすロック


「おら!お前の相手は俺だ!よそ見する暇はないぞ!」


グオアァッ!!

横から邪魔をされて怒ったのか、サイクロプスがロックを攻撃しようとする


「こっちも忘れてもらっちゃ困るわよ!」


バシュッ!

ロックを攻撃しようとするサイクロプスの顔めがけて矢を放つティナ。


ガァッ!!

弓矢を腕で弾くサイクロプス。


「<ボルト>!」


続いてシルヴィアが雷魔法を放つ

バリバリ激しい音を立て雷がサイクロプスめがけて落ちる。


ウグアアァァッ!!

雷魔法が直撃したサイクロプスが叫びを上げながら痙攣する

麻痺が入ったようだ。


その隙に、足元まで走り込むルークとガルド。


「オラアアァ!!」

「フンッ!!ハッ!!」


サイクロプスの足をガルドは重い一撃で、ルークは双剣で数回切りつける


グガアァッ!

サイクロプスがガルドに斬られた方の足の膝をついた。


「今だッ!ルーク!」

「了解ッ!!」


ガルドとルークがサイクロプスの腹をめがけて、止めを刺しにかかる。


――その瞬間。


グオオォォアアァァァッ!!!

サイクロプスが今までよりも更に大きな声で叫び始め、両腕を闇雲に振り回し始めた。


「チッ!」

「うおぁっ」


その腕に阻まれ、ガルドとルークは近付くことができない


「またそれ?ピンチになると暴れるわねコイツ!」


あと一歩のところで決定打を打てないガルドたち。


ヴオ゙オ゙ォ゙ォォォォ!!!!

するとサイクロプスが立ち上がり、ゴリラの如く両腕で胸をたたき始めた

あの動きはッ…!まずいッ…!!


「ロック!!それは受けるな!!避けろ!!!」

「なにっ!?」


あの攻撃はサイクロプス最大の攻撃だ。

エタクロではあの動きの後に、腕を振り回しながら突進してくる。

多段ヒットなうえに、ガードも不可で避けるしかない技だ

この世界ではもしかしたらガード出来るかもしれないが、試すにはリスクが高すぎる。


「その技はロックでも受けるのは無理だ!横に飛んで避けるんだ!!」

「わかった!!」


ヴオ゙オ゙ォ゙ォォ!!!!

次の瞬間、腕を振り回しながら突進を始めるサイクロプス。


「うおぉっ!あぶねぇ!」


ロックが横に飛んだ。何とか避けれたようだ。


「え!?」


すると、ロックオンしたのかシルヴィアの方へ方向を変え向かっていく。


「シルヴィアァッ!避けろおぉー!!」

「シルヴィアッ!」


俺以外の全員がシルヴィアに向かって叫ぶ。

まずいッ!助けるにしても他のやつらは遠すぎる

一番近いのは俺だ。

考えるよりも先に足が動いていた。


俺はシルヴィアに向かって全速力で走った。

自分で思っていたよりもこの体は足が速い

これなら間に合うッ!


ガッ!

シルヴィアの横から飛びつく形で飛び込み、なんとかサイクロプスの攻撃を避けた

ズザアアァァーッ

両腕でしっかりシルヴィアを抱え込む形で、俺が下になり地面へ倒れ込む。

まさに、間一髪。なんとか間に合ってよかった。


腕の中のシルヴィアに声をかける。


「シルヴィア、大丈夫か」

「え、えぇ、ありがとう。おかげで命拾いしたわ」

「シルヴィアァ~!!」


ティナが目に涙を浮かべながら駆け寄ってくる。


「ごめんなさい、心配をかけたわね」

「ううん、無事でよかったわ」


よし、シルヴィアはティナに任せていいな


「ティナ、シルヴィアを頼む」

「それはいいけど、頼むってあんた…」


キイィーン

シルヴィアをティナに預け、立ち上がり剣を抜く。

ここからは、俺も加勢するべきだと判断したのだ。


少し先で止まっていたサイクロプスに向かって走り始め、同時に戦略を考える。

《ドミナス》を使って混乱させてもいいが、今のやつは怒り狂っている。

効くとは思えない。例え効いても、効果は薄いと考えたほうがいい。

となれば、有効なのは《イグニス》か《フロスト》だが、本職のシルヴィアの<アイシクル>ですらヤツを止められなかった。

突破口があるとすれば《イグニス》か。


サイクロプスが振り返り、走り込んでくる俺に気付く

グオアァァッ!!

サイクロプスの左腕が振り下ろされる

それを躱し、足元へ入り込む。

今度は踏みつぶそうと右足を踏みつけてくる

それを飛んで避けてヤツの後ろへ回り込んだ。


「うおぉぉっ!!」


剣を横に振り、ヤツの左足の膝の裏を斬る。

兎に角、最初は足を止める作戦だ


グガアァッ!!

膝裏を斬られたサイクロプスが左足の膝をついた。

とりあえずは成功だ。

間髪入れずに、踏みつけられた右足の膝裏にも剣を振るう。


ズシャアッ

右足の膝裏も斬ることに成功する

ウガアァァッ!!

右足の膝裏も斬られたサイクロプスが、両膝をつきながら悲鳴を上げる


そのまま俺は、ヤツの背中側から《インパクト》を撃つ。

ドオォォンッ!

《インパクト》の衝撃で、ヤツの上半身が倒れ、四つん這いになった。

その背中に乗り、ヤツの後頭部めがけて剣を振るう


ウガアァァァ!!

しかし、すんでのところで奴が上半身を起こし、振り落とされてしまった。


「チッ!!」


サイクロプスが動かない足の代わりに、腕を使いこちらへ向く。


ヴオ゙オ゙ォア゙ア゙ァァァーー!!!

腕を支えに、前屈みの状態で怒りの方向を放ってくる。

その顔に向かって左手を向け、最大火力の《イグニス》をイメージする

左手からものすごい火柱があがり、サイクロプスの顔を焼く


ウガア゙ア゙ァァァッ!!!

顔を焼かれたサイクロプスが、天を仰ぎ両手で顔を覆う。

がら空きになった腹に、剣を横に振る形で振るう


ズシャアッ

肉が斬られる音と共に、はらわたが大量の血と共に地面へ落ちる。


ウグァッ!?

斬られた腹を見ようと、サイクロプスが再び前屈みになろうとする。


「終わりだ」


ズシュッ

その顔の一つ目に、剣を突き刺し勢いよく抜く。


ドシンッ

サイクロプスが倒れる。

勝利だ。ブンッと剣に付いた血を掃う。


「おいおい… マジかよ」

「倒しちゃったねぇ」

「マジか、カイル」

「ウソでしょ… 新人がこんなモンスター相手に」


そりゃそうもなるか。五人で苦戦した相手を新人の俺が倒したんだからな。

ここまで簡単に倒せたのは、消耗させていたガルドたちのおかげと、セオリー通りに戦ったからなんだけどな。


「凄いわね、カイル。魔法も使ってたし威力もすごかった。剣士は魔法を使えない人がほとんどなのに」

「いやいやいや、シルヴィアもうちょっと突っ込むところでしょ!」


ティナはやはりスルーしてくれないか


「まぁ、俺が魔法を使うこととか色々聞きたいことはあるだろうが、詮索はしないでくれないか」

「まぁ、俺は構わねぇぜ。誰しも秘密はあるってもんだ!しっかし、強いなカイル!」

「俺もー。詮索はご法度だもんねー。にしても凄かったなー」

「あぁ、そうだな。威力はシルヴィアに迫っていたぞ」

「ちょ、あんたたち!?」


みんな理解があって助かる。


「まぁいいじゃねぇかティナ。それに、シルヴィアも助けてもらったしな」

「えぇそうね。改めてカイル、助けてくれてありがとう。あなたのおかげで死なずに済んだわ」

「どういたしまして。無事でよかったよ」


お礼を言われるのはいいもんだな。助けれてよかった。


「はぁ… まぁシルヴィアまでそう言うなら、私ももう何も聞かないけどさぁ」

「助かるよ、それと俺が魔法を使えることは他言無用で頼めないか、出来ればギルマスにも」

「あぁ、カイルがそうしてほしいならそうする。みんな、いいな?」

「おう(了解)」

「って言っても、ギルマスにはバレそうだけどねー」


確かにあのギルマスなら有り得る。


「ま、まぁ倒したってだけ言えば… 魔法のことには触れなければ大丈夫だろ」

「よし、ギルマスにはその方向で話そう。さて、任務は達成したし帰るか」

「あぁー、やっと帰れるー」

「俺は帰って肉をエールで流し込むぞ!」

「お疲れって事でみんなで飯に行くか!カイルも来い!」

「え?」


――――みんなで飯に行くことになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。