59.5-11話 『普通炭』 〜 命名者:ま、ふつうといいながら完全燃焼するからふつうじゃないかも? 〜
また話が進まず、関係のない話です。
こんー、はーくんだよー?
そういえば世界樹白炭は『太陽炭』と『黒曜炭』しかふれてなかったけど、ちゃんと存在してるんだよ?
そもそも『黒曜炭』と『太陽炭』は最高品質と準最高品質だからね? けっこーすごいものなんだよ?
『太陽炭』は燃えつきない上に火力がつよいから実は使い勝手はあまり良くないんだよね。『黒曜炭』は論外だけど。
そんな『太陽炭』に次ぐ品質のS級の世界樹白炭。これも『太陽炭』ほどではいけど再生力があって、このS級にもいくつかの区分はあるけど、『太陽炭』とおなじで火をつけたらいつまでも燃えつきない事が条件。S級の最低クラスの品質でも再生力と燃焼力が拮抗し、ギリギリで燃えつきないくらいのモノ。ちなみに水につけるなどをすれば鎮火はできる。とーぜん真空では燃えつづけない。
その下のA級、再生力はあるが燃やしつづければいつかは燃えつきるのがこれ。
その下B級、再生力が炭にしかおよばず、長持ちするけどそれ以外はたぶんふつうの炭とかわらない……はず?
で、オレのつくる炭で最低品質なのがC級。これはとうとう再生力をうしなったただの炭。もっとも、ただの炭としてらおそらく最高クラスだといえる。ただこれは世界樹の本来もつ再生力をうしなっていることは関しては恥じいるかぎりだよ。
この世界樹白炭のC級は一番数がある。最初の頃は製品未満のE級や規格外品のD級なんかもでたんだけど、何度かやるうちになれてしまいC級が最低級になってしまった。
なお後日、B級の炎に魂魄および精神への影響力がそのままのこっていることが発覚した。これは炎獄および火刑と同系統の精神ダメージの効果だが、こちらは決して精神の再生効果はなく、重度の精神ダメージを受けると廃人になる恐れがあり、最悪の場合ショック死の可能性もある。また魂魄を欠損する場合もあり非常に危険なんだ!
それで全体的に見なおしをした。
結果はB級ほどではないが、S級もA級も同様の危険性があることがわかる。
そのことを鑑みて、世界樹白炭全級にかんがえうることすべてを検証し、研究しつくして。それからS〜B級を封印し、秘匿することにした。素人があつかいをまちがえると大惨事になりかねないからね。
それから、封印をしないC級の、級という名称からS〜B級にかんづかれてはメンドーだから、C級を級よびはひかえ、なんの特徴もないふつうの炭だから『普通炭』とよぶことにした。
封印前の研究により、B級の自己再生力をもったまま、それいがいは『普通炭』よろしくに無害化した炭があらたにできた。
これは級わけでB級に分類されるが、B級はこの騒動 で悪名がしられてしまっているので、C級にくみこみ、C++とよぶことにした。C+の一つ上、B-の意味。これはB級から特性をけずったことをさす。
さらなる研究により、C++に『太陽炭』クラスの自己再生力をもたせることに成功した。やったぜ。
ついでにB級にも同様の自己再生力をもたせることができた。やっちゃったぜ。
これを前者にC++++──まとめてC♯と名づけ、後者には前者にちなんでB♭と名づけることにした。
え、級で呼ばないんじゃないのか? ダイジョーブ、どっちも表に出さないから。
それができたときふと魔がさした。これ燃える剣がつくれるんじゃね? と。
そして、気がついたらC♯を素材とした魔剣炎剣ができあがっていた。フランベルジュといいながらツヴァイハンダーなのはご愛嬌、もちろん刀身は波打ってたりしてない。
え? B♭を素材に魔剣とかつくらないのか? そんな……いくらオレが多感な年頃 だから、って……すべてを焼きつくす炎の魔剣なんてそんな、そんなの……もうつくらないよ!
あらすじ
・子供エルフに触診られるはーくん。
・順番待ちされる人気アトラクションはーくん。
・期間限定開店無料服屋はーくん。
オレがさんざん研究素材にしてるけど、そもそもこの世界樹とはいったいなんなんだろうか?
世界樹の役割、それは大気や大地から瘴気をすいあげて浄化し、魔素に還元すること。あと光合成がてらに魔素を吐きだす。
根から大地に、葉から大気へとそれぞれ魔素を排出し、それは大地を豊かにし、大気を魔素で満たす。
そんな世界樹は存在の半分ほどを魔力で構成した妖精樹という木の一種だ。そうエルフと似たような存在なんだ。
しかし、そうした存在は豊かな魔素のある場所でなければその本領を発揮できず、悪くすれば死んでしまうこともある。
そんな存在である世界樹が自然に大地に根づくことはきわめて稀なことであり、根づいたところで育つためには膨大な魔素(魔力でも代用可)が必要なこともあり、他者の介在なくして世界樹が世界樹と呼ばれるまでに育つことはほぼないといえるだろう。
仮にあるとしたら、偶然に世界樹のタネが運ばれ、偶然に地脈の上に世界樹のタネが落ちて植わり、偶然にその地脈が膨大な魔素を産出しており、偶然になんの問題もなく育ちきることが必要だ。
世界樹はおよそどの段階の育ち具合でも素材や食材として優秀ななので、地面に世界樹の若芽がでていて保護しようとするものはおそらくいない。食べられるか摘まれるかのどちらかだろう。
セモリナ村のエルフさんはもとは移民であり、開拓者だったらしい、世界樹のタネを手にもって世界を旅してまわり、世界樹を育む地脈を探し出した。
それを見つけだした時には仲間たちと手をとり、よろこびあいながら、その地脈に世界樹のタネを植えるのだった。
しかし、タネを植えてからしばらく経つがいっこうに芽がでる様子がない。不審に思い掘り返してみるとそこには……。
不安に思いながらも確認するとちゃんとタネはそこに植わっていた。
そのことに安堵するも、仲間たちがあることを指摘した。
おかしい、植える前とまったく変わっていない……と。
なんで、どうして……エルフさんは戸惑う。
しかし、仲間の一人の賢者が気づいた。
もしかして、地脈のマナだけではたりないのではないのか?
そのことを告げられて、彼らは戸惑ってしまう。
そんな、ここだってやっと見つけたのに! エルフさんは愕然とした。
これまでも旅をしてきた、だからこれからも旅を続けよう、大丈夫ここの地脈が見つかったんだ、ほかにも探せば見つかるはずだ!
なんていえるはずなどなかった。
あるいは、ここが見つかる前ならまだ旅を続けられただろう。
しかしこれ見よがしに希望を見せつけられて、そしてそれを取り上げられたエルフさんたちは打ちひしがれてしまった。
だからか、すがるように仲間の賢者にどうにかならないのかと問いかけた。
すると賢者はおし黙り苦渋にみちた表情をうかべる。
そして、腹が決まったのかおもむろに賢者が口をひらいた。
方法はあるにはある……と。
エルフさんは仲間と顔を見合わせる、方法があるのならいいのではないか?
疑問に思うも賢者がつづきを話す。
発芽するのに魔素が足りない、なら私たちがそれを補ってやればよい……しかしそれは、世界樹の庇護の元から外れた私たちが魔力を失えばどうなるか……。
そんなことをすればどうなるのか、そんなものは死しかない。
ならどうするのか、ここで自分が死ぬか、仲間を殺すのか……諦めて旅に出るのか?
結果はそこにセモリナ村ができた、それで十分だろう。
決して少なくないエルフさんたちが命を落として、ようやく発芽がかなった。
若者を先に死なすわけにはいかないと、死んでいった大人たち。
だが、まだ芽が出ただけだ。これが育つまでどれ程の時間を要するのか、どれほどの苦労を強いるのだろうか……その答えをくれる人は、もういない。
ちなみに、なんで地脈に世界樹のタネを植えて芽が出なかったのかは魔力が足りないでまちがいはなかったけど。
そもそものはなし、少し方法がまちがっていたんだよ。
地脈に植えるのは世界樹のタネではなく、それを含んだ世界樹の果実、それをそのまま植えればよかった。
世界樹の果実は膨大な魔力を含んでいて、それをエルフさんが食べると世界樹の庇護から外れ、魔力のない場所に行っても本領を発揮できるようになるとかならないとか。
ちなみにおそらくドライフルーツでも問題はない。
死人に鞭を打っていくスタイル……。




