56話 『中原式収納術 ─超級─』 〜 廊下:第一の刺客! 貴様裏切ったな! 〜
ぽんぽこぽーん!(挨拶?) はーくんだぽん?
あらすじ
・ご注文ははーくんですか?
・すごーい! ウサギさんはタヌキさんのフレンズなんだね?
・ケモミミサンドブリーカー! しねぇっ!!!
今回は巻きでお送りする、はーくんでした!
「血がたりねえ……」
「前門の狐、後門の兎をほぼ同時に倒した『青』はそう呟く」
「例の口付けからの口移しを『緑』に二回、タマモに二回、カグヤに一回と計五回行なっている」
「一度にどれくらいの血液を飲ませているのかはわからないが仮に一回100mlだとしてそれを5回も行えば500ml、これは献血の400mlより多い数字だ」
「……献血なら終わったらお菓子とジュースがもらえるんだよ──って? それ場所によるんじゃないかな……」
「『青』は気絶した二人を一瞥すると、片手に一人づつ腰のあたりを持って『青』の両肩にそれぞれお腹が来るように担ぎ歩き出した……やや変則だが、これが俗に言うお米様抱っこである──由来は諸説あるが米俵を運ぶ様子とよく似ていることからいつしかそう呼ばれ出したのだ」
「『青』は目的地など聞いていないはずなのに勝手知ったる我が家とばかりにずんずん進み、途中襖があったが両手が塞がっていたため片足で器用に開けて通り、後ろから追いかけているワタシ達を倒した後の後ろを見もせずまた足で音もなく閉めた 」
「『青』について歩く事、しばらく」
「目的地に着いたのか『青』がピタリと立ち止まる、それなりに広い部屋だ」
「そういやどこへいけばいいんだ?」
「──と無表情ながら真面目な雰囲気を醸してそんな事を宣った」
「まあこのへやでいいか、もんくがでないということはそういうことだろう」
「──なんて抜かして、家主が気絶しているのをいい事に勝手に決めてしまった」
「部屋の押入れを(足で)開け、中から敷布団を(もちろん足で)出して、畳の上に敷き、抱えていた二人を静かに下ろす」
「あ、まくらをわすれた──と囁きながら押入れから枕を二つ取り出し、そっと二人の頭の下に差し入れる」
「ふぅバレなかったぜ、と言うかの様に汗を拭う仕草をする、無論無表情で勿論汗も掻いていない」
「仕上げに押入れから二つ掛け布団を取り出し二人の方に放った……最後だけ雑だな!」
「しかし、放り方が絶妙だったのかふんわりゆっくりと落ちて狙い過たず二人に掛かった。無駄に器用だ」
「それを見て納得した様に腕を組んで頷く、その様子は不思議と一端の職人のような貫禄が出ているようで……勿論錯覚だった」
「職人ごっこに満足したところで『青』は二人から少し離れたところに何処からか持っていた卓袱台を置き、座布団を人数分敷いて自分は上座に座る」
「この人数分にはワタシの分も含んでいたのでありがたく座る……勿論『青』の死角となる位置に」
「座布団に座り踏ん反り返っている『青』」
「勿論座布団なので背もたれなんてない、だから踏ん反り返った勢いで当然の様に後ろに倒れた」
「『青』は信じられないとばかりに、無表情の目をやや見開き天井を見据えていた」
「そして、いそいそと起き上がり何食わぬ顔(無表情)で座る。よく見ると視線を泳がせている」
「あー血がたりねえな。血がたりねえからふらついちまうのもしかたねぇな。うん、しかたないね」
「先程の事を誤魔化す様に言い訳を嘯いた。最後の方、少し地が出ていた」
「ゆーぐーどーらーこーひー(棒)」
「変わらぬ無表情とものすごく平坦な声でそう謳いながら手に持った不透明且つ薄褐色の液体が入った牛乳瓶を掲げる」
「……ゆ〜ぐ〜ど〜ら〜こ〜ひ〜(迫真)──って、なんでハルも言うの? というかそれどうしたの? ──え? 思い出したら飲みたくなった? 動機じゃなくて何処から出したのか訊いたんだけど!?」
「……え? 『中原式収納術 ─超級─』? なにそれ? ……なにそれ!?」
「……??? なにそれ、暗器術? 全身至る所に物を隠し持てる技術? しかも魔法じゃなくて奇術の類なの? え? え? ワタシにもくれるの? あ、ありがと……」
「これどうやって開けるの? ──あ、この封印を剥がしてキャップを外して飲むんだ……ん? なんか不穏な響きが混じってなかった?」
「……気のせい? うーん、気になるなぁ……あ、美味しい」
「あれ? でもなんで冷たいんだろ? 常温というか人肌で持ってたんだよね? ──え? 封印の効果? これを貼ってある限り中の時間が凍結していつまでも保存可能でしかも保温もできる?」
「これ絶対そういう目的の技術じゃないよね!?」
呟く:小声でひとりごとを言う。ツイートする。
抜かす:言う、しゃべるという意味の俗語。類義語→言いやがる。ほざく。
囁く:小声でものを言う。ひそひそと話す。
宣う:おっしゃる。言うの尊敬語。
嘯く:とぼけて知らないふりをする。
謳う:音楽的な高低・調子などをつけて発声する。
※:別の意味がある言葉もあるので鵜呑みにするべからず。




