14話 巨悪の死に様 〜 命名者:え、ここで切るの!? 〜
なんかはじまった!
悔い改めて、はーくんだよ!
下着泥棒をつかまえた時、近くにいた妹に「ママー!」とかさけぶんでたんだよ。見た目一回り以上年上なのに何だったんだろうね? うん、それでどうしたのか? 元気だったから踏んで黙らせたよ? 勢いあまってアレしたかもだけど妹を守護るための止むを得ない犠牲ってヤツだよ?
その後は、とりかえした女性用下着を妹に返却すると、「こちらは後で……(ボソリ)」って聞こえたのは幻聴だったかな? なぜか「使ってください」とあったか〜い使用済み女性用下着を手渡されて、ついうけとってしまったんだよ──使い道がわからなかったから、洗濯して後日返したら、妹がにおいを確かめて「使っていないじゃないですか!」とおこられた。理不尽! ──その場で換装した!? オレがいるのに──「兄様の手洗い♡」アッハイ。
こわ、かっ です。
>『ユニークスキル:巨悪の死に様』を習得しました。
な、なにこれ?
巨悪の死に様:
きれいに死ぬ事ができる。希少技能。
不死種族限定技能。
死亡判定時に発動する。どのような状態であろうと肉体魂魄精神及び存在を完全に修復し、一定時間余命を得る。
その余命は精神値に比例した時間となる。その時間を使い負け惜しみを言いましょう。
時間がすぎると肉体は灰となり魂魄は消滅する。
バカ! バカスキル!
なにこれ、何の意味があるのコレ!
ていうか不死種族限定!? 活ける《リビング》生者って嘘種族じゃなくてちゃんと不死扱いなの!?
補足:
死亡判定時、肉体魂魄精神及び存在が消滅していても発動する。
え? なにそれこわい。
あと希少技能って、これまでに何体ものアンデッドがコレおぼえたってこと? というか効果劣化してコレって、純正固有技能だったらどんな効果だったの? 魂が消滅しなかったとか?
爆発オチ:
灰となり死亡判定した場所が爆発します。
準固有技能の場合は爆発でなく崩落になります。
魂魄が消滅するのは爆発及び崩落のエネルギー源です。
ちなみに希少技能はただ灰となるだけです。
あ、うん……希少技能でよかったね、というか魂魄無駄に消滅するんだ……。
うん、オレだったら、どうせ消滅するんだし己を生贄に邪神でも召喚とかするかな?(はー○ん並みの感想)
<……我?>
ちがうよ。
<……しゅん>
それにほら、崩落とかもしないんだし。
あ、悪魔ですか貴方は──!:
? 教祖かな。(キリッ)
というかなんでこんなモノ習得したんだろ?
宿主ー、後ろ後ろー:
シキ嬢が無意識に放つ死のオーラが原因です。
精神抵抗に失敗すれば即死します。
もっとも宿主の精神値ではどうあがいても自動成功となり判定すら行われません。
へー。
式場と聞きまちがえて、死のオーラを放つ式場って葬儀場? とか考えちゃった……。お通夜ムードかな?
「ごめんなさい」
「??? なんで、謝るの?」
「え?」
「え?」
あらためまして! カラオケではおっぱいソングと筋肉ソングを熱唱する方のはーくんだよ!
「?」
「あらためまして!」
「えっ、うん、あらため、まして。じゃあ、おはなし、するね」
「まず、前提、として、とある、とても、大きな、力。能力、ある」
シーぽんのたどたどしい口調はかわいくてオレは好きだけど、長話にはむかないと思うんだ。
なので、スキルをテキトーにもちいてみよう。
読心(洞察) を中心に思念伝達やら直感達とかごちゃっと合わせてみよう。
読心(洞察) とは心を読む、というより察するスキル。
あいての口にしようとする言葉を先読みする力だ。
それは実際に口にするかどうかは関係がなく、あくまで言おうとした言葉を読む。
これを用いれば、おまえは次に〜〜という、って遊びができる。
というわけで閑話休題
「まず前提として、とあるとても大きな力。能力が存在する」
「それは概念を動かす力、深奥に到達すれば神のごとく振る舞える」
「その力に名前はないけど、幾多の世界をまたいで存在する出自不明の神の力」
「その力を持つものは大まかに分けて二通りある、人がある時にその力の切れ端、資格を得る場合」
「もう一つはナニカに力が宿り形を得たもの」
「ワタシは後者、ワタシは『死』の概念を操る力が死霊や負念の集合を取り込んで生まれた」
「ワタシのように生まれた場合、それにより知識を与えられて生まれる」
「え? 力は一つはじゃないのか? 違うよ、概念ごとにそれぞれ力があるみたいだ」
「ええ? 『概念』と名付けたちゃったの? ──? 便宜上でも呼び名がないのは気持ち悪いって?」
「でもカラダは大丈夫? 名前をつけるのってその存在を定義する事だから、少なくないエネルギーを使うはずだけど──って、なんで驚いてるの? え? 知らなかった、女神さまに名前つけた時にちょっと我慢できないくらいにすごくお腹が空いたけどもしかしてそれか! ──って、代償軽すぎないかな?」
「触媒体質? 不毛? え、不耗? エネルギーを消費しなくなるスキル……? なにそれズルい」
「え、ワタシ達にも影響があるかも? そうなんだ……」
「ん、ん! 話が逸れてた、それで力が、え? 『 概念』? う、うん。とにかく、そういうものがある」
「事の始まりはハルの生まれた世界、え、『宿木』? ある時、『宿木』が前触れなく滅ぼうとしていた」
「滅びを止めようと一人の人物が動いた」
「それは生まれつき『生』のち────『 概念』:『生』を持っていた!」
「『 概念』は5段階の位階が存在し、資格者、知覚者、試練者、覚醒者、到達者と呼ばれる。能力者として使い物になるのは試練者以降」
「この位階を例えるのなら山登り、資格者は切符を手に入れた段階、知覚者は山へのアクセス方法を知った段階、試練者は山の麓に着いた段階、覚醒者は山に登っている段階、到達者は頂に至った段階。この到達者は神の如き力を扱える──『概念神』だ! ──ってまた勝手に名付けて……」
「んんっ! この『生』は『 概念』としてはとても会得しやすいモノであるが、その反面、覚醒位階が存在しない」
「これはさきほど言った山登りに例えると登り道がない山に登るようなもの──どんなのかって、山の全周が滝に覆われてるような感じかな」
「うん、たしかに登り切ったら龍にでもなれそうかな」
「それで、この『生』の持ち主は最初から到達位階に達していた」
「『生』は文字通り生かす概念、死はおそらく覆せない──と思うんだけど、その前段階なら問答無用で生かしてしまう、それが到達者」
「『宿木』は滅びを迎えようとしていたが、ほろんではいない、だから『生』の到達者はその力を振るえば滅びを覆せると確信していた」
「そう確信して──地面をぶん殴った! うん、正直無いと思う」
「無いと思うけど、滅びを回避できた」
「めでたしめでたし──のはずだったが、その後しばらくして、また滅びが再開した」
「『生』の到達者は再びその『生』の力を振るったが、またしばらくして、滅びが再開する」
「その後、何度も『生』の力を振るい、何度も滅びが再開した」
「まさにイタチごっこ──いや滅びが再開する間隔は徐々に縮まっていた。はたして間隔がなくなった時どうなるのか……」
「そしてその時は来た、『生』の力を振るっても滅びが止まらなくなった」
「それでも何度の『生』の力を振るい……」
「世界が裏返った」
ちなみに巨悪の死に様は不耗と相乗します。




