1章6話『黒き魂』
「ここです。カケルさん。では、入りますよー。」
セリナは『ガシャ』っとドアを開けた。
「___あーセリナ、ルミ おかえりー 」
「___おか……えり。 今日……は、ずいぶん……遅……かったね。」
そこには2人の女の子がいた。
ソファーに寝っ転がって本を読みながら机の上にあったおやつを食べている茶髪の女の子と、洋風なお茶の入れ物とティーカップを持った とても弱気な白髪の女の子。
どちらもとてつもなく可愛い。見た目はどちらも14,15歳くらいだが もし妖怪なら…… いや、あえて考えないでおこう
「はい、ただ今帰りました。」
そんな女の子2人に セリナはただいま宣言をした。
「あーそうだ、セリナー ルミー…… ん? 君だーれ?」
「あ、あー 俺は……」
「紹介します。 この方はカケルさんです。
先ほど 草原で寝ているところをルミが剣で心臓を刺してしまいまして……。
ですが運良く一命を取り留めておりましたので、応急処置を施しました。 今はこんなにピンピンしておりますが一応念のため本格的に治療を受けてもらおうかと思いまして、ここまで来てもらいました。」
セリナは長々とカケルの紹介た。
するとソファーに寝転んでいた女の子が起き上がった。
「ルミ、本当に刺したの?」
「はい。ですがそれはカケル君が『殺してくれ』って言っていたので。ルミは悪い事をしたとは思っていません。」
「じゃあ、この『カケル』ってのは ルミの攻撃を心臓にクリーンヒットされて生きてるの? ってか何で殺してって言ってたのに助けた?」
「それはセリナが……」
今この部屋にいた者全員の視線がセリナに集まった。
セリナは目を大きく開けてパチパチする。
「え? だって あの時のカケルさん ちょっとおかしかったですし、ほら、大切な命でしょう ここで終わらせてしまうのは勿体ないかなーって思いまして……
助けちゃダメでしてか?」
セリナは上目遣いでカケルをみる。
「う……いや、今は助けてもらって良かったと思ってるよ。
いやーあの時の俺はどうかしてたなー。はは、ははは」
くそーセリナのやつ……今の何かちょっと可愛かったじゃねーかー。
こんなときだけ可愛い子系になるなんてズルいぞー。
「ふーん まぁいいけど…… カケル君、キミはいったいどこの国の人?」
「と、言いますと?」
カケルは自分がこの国の者ではないという事がバレたら、最悪殺されると思い少し慌てた。
「いや、だってキミ『リスチニア帝国』の者じゃないでしょ?」
「な、何でそう思うのかな?」
「だってキミ、ルミの攻撃に耐えたんだろ? それが出来る程の奴の顔と名前は全て覚えている。 でもキミのことは名前も、顔さえ覚えていない。だからそう思ったんだけど……違う?」
何も言えない…… まず自分はこの国の者でないのは確か。かといって他の国の者と言っても まずいい結果は望めないだろう。
それこそ日本なんて言ったら余計な誤解を招くだけ…… どうすればいいんだ?俺は……
「そういえばカケルさん日本という国から来たとか言っていたような……」
「って おい!」
カケルは凄まじいツッコミを入れた。
「日本?日本ってどこよ?」
あーこの感じさっきもあった…… これは何を言っても信じてはくれないだろう…… まーそりゃ この世界に日本なんて国がないのは とっくの数時間前から知っていたさ。 でもねー……俺本当に出身地日本なんだけどなー……
「日本っていうのは……多分ここに居るみんなが、見たことも、聞いたこともない国だと思います。」
「はぁ、まーいいや。とりあえず
私は『マジル・モーランド』 で、そこでさっきからずっと立ちっぱでいるのが『シェル・マーラード』
どう?名前くらいは聞いたことある?」
「いや、ないです。」
「……マジで?」
「マジで」
「く、まだ私の名前を知らない奴がいたとは……」
さっきまで堂々としていた『マジル』は急にソファーの端っこで縮こまって言った。
「それ……より……カケルの……傷……見て……あげて……よ。」
『シェル』は少し小さな声でマジルに言った。
「分かったわよ。
じゃあシェル達はここでお菓子でも食べて待ってて。
ほら、カケル君行くよ。」
「は、はい!」
そういいカケルとマジルは部屋を後にした。
再び城の中を歩き回る。
「ねーカケル君」
「はい?」
「キミはいったい何色なの?」
「と、いいますと?」
カケルはマジルの言っている意味が分からず、キョトンとした。
「いや、だから魂の色だよ。」
「なにそれ、美味しいの?」
「え!? まだテストもしてないの?」
マジルはとてつもない勢いで、後ろにいたカケルの方を振り向いた。
「してませんが、何か?」
「……マジで?」
「マジで」
「キミ……、不思議ちゃんだね。」
「ここ来てからよく言われます。」
マジルはとても大きなため息をついた。
「じゃあ多分必要ないけど治療して、終わったらテストしてあげるよ。」
それからカケルは 床に魔法陣みたいなものが描いてある部屋に入り、イスに座らせらせ 何かのスキルをマジルにかけられたあと、体の隅々まで調べせれらせた。
「うん、やっぱり。 キミの体は完全に治っているよ。 まるで何もなかったように。」
「あ、ありがとう。 でも本当に何にもなくて良かった。」
カケルはる身につけられた傷で 別に死ぬ事は無いとは思っていたが結果を聞いて少しホットした。
「いや、あまりに何もなさすぎる。
たとえ私でさえこんなに数時間で完治はしない。
本当にルミが心臓を刺したなら、どんなに凄いやつでも 少なくても1週間は寝たきりだ。」
「よほど『運』が良かったんでしょうねー。」
「まー、もはや『運』という次元ではないんだけど……」
そういいマジルはポケットの中から何かを取り出した。
それは細長い10cmくらいの透明な小さな棒。ガラスの様にも見えるが何か違う。
「これは魂の色を具現化出来るアイテムだ。」
そういい透明な棒をカケルに渡した。
「それに力を加えると『ソウラー』つまり 能力者 なら色がつく。
色が変わらなければ無能力者、
白に変われば、100人に1人の逸材
『ホワイトソウラー』
赤に変われば、10万人に1人の逸材
『レッドソウラー』
ちなみに私達、ルミとセリナとシェル、と私はこの『レッドソウラー』だよ。」
「え!? 10万人に1人の逸材? それってめっちゃ凄くない?
やっぱりあいつら本当に凄いやつだったんだなー。」
カケルは素直に感心した。
どうじにその『天才』達に囲まれていた自分がほこらしくなった。
「まぁーね。
この世界で私達の事知らないのはカケル君くらいだよ。
でもね、実は私達の上もある……。
それは黒色。
黒に変われば、千年に1人の逸材
『ブラックソウラー』
この世界の者からしたら『神』の様な存在だね。
さぁ、力を入れてみて。」
「お、おう。」
カケルは話の展開が早すぎてマジルの言っている意味がよく分からなかった。が、とりあえず力をいれてみた。
「______」
変化はない。
「違う違う。もっと流れるようなイメージで。ほら、もっかいやってみて。」
カケルは言われるままに行動した。
そしてカケルはここ数ヶ月の中で1番と言えるくらい集中する。
力が流れる様に……
自分の魂から心臓へ、そして腕。手の指、そして棒へ……
決して力まず、自然に流れる水のように、優しく一定に……
『キューイン』
とても小さく 透明な棒が音をあげて 黒に変色した。




