1章4話 『俺って何時間歩けばいいの?』
「それにしても ルミって、もんの凄く強よいんだな……」
「ふー、また面倒なことにならない内に帰りますよ。」
ルミは、カケルの言葉を無視するように聞き流した。
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カケル達は再び ルミとセリナの本拠地を目指した。
「でも、ルミも凄いんだなー。『無音のルミ』かー。カッコイイなー。 いつか俺もルミみたいになりたいよ。」
「一生無理ですね。諦めて下さい。」
「で、ですよねー…… 」
カケル達はそれから何時間も何時間も歩き続けた。
少し気温が変化するだけで、他の何も変わらない、景色すら ほとんど変わらない草原を、ただただ、ルミとセリナの本拠地を目指して……
「ってちょっと時間かかりすぎじゃなね!? もう相当歩いたと思うんだけど? これって俺たち何時間くらい歩いてるの? もうめっちゃ疲れたんだけど。」
カケルはちょっと怒鳴るように2人に言った。
だがそれも無理はない。カケルがまだあっちの世界にいるときは、運動という運動を学校の登下校しかして来なかったのだから……
「えーっと、カケルさんにあったのが9時30分くらいだから……だいたい5時間30分くらい歩いてます。」
セリナはにっこり笑って答えた。
「うん、だよね、そのくらいたってるよね。ていうか何でこんな遠くまで歩いてきたの?
んまーそりゃ2人が俺のところに来てくれなかったら 俺は今どうなっていたか分からないよ? でもちょっと歩きすぎじゃない?
まー感謝してるけどさー。」
少し自分の気持ちに素直になりながら、でも少しきつくセリナとルミに言った。
「何故遠くまで歩いていたかと言われますと セリナが歩きたいと言ったから。としか答えることは出来ません。 それと一つ訂正しておきますが、カケル君のところに私達が行ったのでなく、私達の進行方向にカケルは君がいたのです。」
「いいんだよ そういう細いことは。それよりセリナは何時間歩こうとしてたのよ?」
「えー 何時間歩こうとしてたと言われましてもー。
そうですねー天気が良かったので つい歩いていた……
みたいな感じです! 『てへ♡』」
セリナは片目を閉じて手を頭の上に置いてカケルに言った。
「お、おお そうか……」
やばい、やばいよー 今の『てへ♡』は マジで危ない不意打ちだった。
あーやばかった マジで一瞬持ってかれそうだった。
だって、しょうがないじゃん あんな可愛い顔で『てへ♡』なんて言われたら……
い、いやー別に好きとかそういう訳ではないんだけど、ちょっと思春期の高校生にはハードルが高いっていうかね、 うん。
てかセリナ『てへ♡』なんて言うタイプだったか? 俺が知っている中でのセリナは こういうタイプではなかった。
いや、これがむしろ本当のセリナか? なら尚さらいいセンスだー
ん?確かセリナはルミより20歳年上ってことは170歳だよな……
それって熟女だったりするのか? いや、これはセリナが半分妖怪だからセーフなのか?
い、いやまて、落ち着け 落ち着け。取り乱すな 佐根元カケル
ここは冷静にならないと……
「カケル君 顔が赤くなっていますけど……」
「ヒョいー、 そ、そんな事 ある訳ないトロショウがー」
カケルはルミの急な攻撃に変な言葉を言ってしまった。
「カケルさん やっぱり風邪ひいちゃったのかな?」
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こんなこともありながら、それからまた数分がたち、
「ほら、やっと見えてきましたよ。カケルさん、
アレが私達の本拠地 リスチニア王国の王都、ベルディアです。」
「おー すっげー」
そこは、もの凄く大きな城壁に囲まれていた。
その壁にはたくさんの傷が付けられている。それだけでも、もの凄い年月が経っているのがよく分かる。
国の王都、日本の東京みたいな? いやー
東京にはこんなのねーよ。 まぁ日本は他の国から攻められることは ほとんど無いから、無くても全然問題ないけど。
ていうか、今の時代 戦争っても ミサイルボコボコ
撃ってるから 城壁なんて関係ないんだけどね。
でも、この城壁は素晴らしい。
その王都の入口の近くまで行くと、そこには何やら騎士の様な
甲冑を纏った いかにも『兵士』というものが数人立っていた。
「なんか門番いるんすけど、俺大丈夫?連行とかされない?」
「大丈夫ですよ、すこしここで待っていてください。」
そう言ってセリナはルミを横につれ、門番に近ずいて行った。
「あーこれはこれは セリナ様 ルミ様 やっとお帰りになられましたか。」
「はい、ただ今帰りました。」
「では、王都への通行を許可します。」
「あ、ちょっと待ってください。」
セリナはカケルを呼んだ。
「セリナ様その者は?」
「この者は『カケル』と言います。ちょっと用事があって王都で治療をしようと思い連れてきました。
そういう訳でこの者にも通行の許可が欲しいのですが……」
その兵士は他の兵士を呼び、何か話し合った。
まぁ確実に俺のことだろうが……
「分かりました。では今回はセリナ様の連れという形で特例で
許可しましょう。 おい、少年こんな事はまず無いんだからな。そこのお二人様に
感謝しろよ! あ、あとこれからは『通行許可書』ちゃんと持ってこいよー。」
「あ、本当ですか! ありがとうございます。」
「おうよ! ではお通り下さい。」
カケルは兵士に許可を貰い王都城内に入った。




