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1章3話 『初めての戦闘』

『ドサ』

カケルの目の前には少し前にいたはずのルミがいた。


「あれ? ルミ、どうしたんだ?」


「誰かに見られています。」


「え?」

カケルは全然見られていることに気づかなかったので 少し戸惑ったが、すぐに周りを警戒した。ついでにレミも剣をかまえた。


「確かに、誰かに見られていますね。 でもこんな草原 どこに隠れているのでしょう?」セリナも辺りをキョロキョロした。



「………………」



「………………」



「………………」



何もない時間がどんどん過ぎていった。

ただ風が吹き、草が揺れ、葉が舞う




数分がたち 何もおこらなかったので、カケルが気のせいかと思い 気を緩めたとき、

ルミの後ろに黒い影が写った。


「ルミ、 後ろー!」


「はぁ!」


『キーーン』


金属と金属が触れ合う音が響き、火花が弾けた。


「へーやるねー 嬢ちゃん俺に反応できるなんて……」


そこには黒い忍者服を着て 少し長めのクナイをもった男が立っていた。


「ん? その赤く輝く剣に、黒髪の娘……

お前まさか『無音のルミ』 か?」


「いかにも。そういう貴方も、その服装に独特な刀『消える旋風』 ツキバ・セン ですね?」


ルミとツキバ・センとかいう忍者らしき奴はお互い、風に舞う葉の数まで分かるくらいに集中していた。



「___」



どちらも微動だにしない。 お互い相手の出方を伺っているのだ。


どんどん辺りの空気が 冷たく、鋭く なっていった。 それは今なんの能力も持たないないカケルにでさえ分かるほどに…

何もおこらない まるで時が止まった様だ。


(このままでは何も変わらない)


そう思ったカケルは、自分が 特に何も出来る訳でもない と分かっているが、何かしてやろうと思った。

カケルは何かいい手がないかと 今までに教わってきたこと、考えたこと、全てを思い返した。

だが、この状況で使えるような いい策は思いつかなかった。

当たり前だ……なんの能力も持たないカケルがこの状況に割り込もうなど……

動くことも成ることも出来ないただの歩兵、それが今のカケル。そんなお荷物がこの状況で役に立とうなど……


そんなとき、時は再び流れだす。


忍者服の男、ツキバ・センが凄まじい速さでルミに刀を構え向かってくる。


『キーーン』


再び金属と金属が触れ合う音が響く。


ツキバは、ものすごい数の剣戟を入れていた。

だが、カケルには見えない。


「速すぎる……」


カケルにはこんな速い剣戟を見ることも出来なかった。しかし、

ルミは軽々とツキバの剣を捌く。




そんなとき、カケルはあることに気づいた。


音が、無い……。いや、正確には一つしか聞こえない。そこで戦っているのは2人、でも音は一つしか聞こえない……

ルミの音が聞こえないのだ。


カケルは、ツキバも全力を出せていないように感じた。


この戦いで必要な感覚とは、おもに聴覚と視覚。そのどちらか片方を塞がれてしまうことは、戦闘においてとても辛いことなのだろう。


いつしか、攻め続けていたツキバが守りに入っていた。


このままではまずいとルミの剣を弾き、ツキバは数歩縦に回る様にさがった。


「ふー。 音が聞こえないってのがここまでやりずらいとは思わなかったぜ。」


「貴方こそ、『消える旋風』とは伊達じゃありませんね。 この私が剣を見切るのがやっとだなんて。」


「ハハハ 『無音のルミ』殿にお褒めいただき光栄な限りです。

それにしても、まったく厄介な依頼を引き受けちまったなー」


「私としては、ここでひいてくれた方が嬉しいのですが、」


「いや、今はまだひいてあげないよーん」


「そうですか……」



「ルミー 私も加勢しましょうかー?」


カケルと一緒に戦いを見ていたセリナが細い矛のようなものを構えて言った。ついでに いつの間にか服装も神社の巫女さん見たいな服装を着ている。


「いいえ、結構です。セリナはそこにいる 『お荷物』の面倒を見ておいてください。」


「はーい!分かりましたー。でも本当に助けが必要になったら言ってねー」

セリナはルミに手を振って言った。


「なんか そんなに直接『お荷物』とか言われると ちょと俺のハートが傷つくんですけど……」


「だったらせめて 私達の邪魔にならないようにしてください。」


「…………」


カケルは、ルミの言うことに反論したかったが 言っていることが

正しすぎたので何も言えなかった。


「じゃあ、そろそろ本気でいかせてもらいますよ」

ツキバが再び刀を構えた。だが、さっきの構えとは違う。

そのとき


『ザワーー ピュルルルー』


とても強い風が吹いた。その風の影響で砂ぼこりがたち、たちまちカケルたちの視界を一瞬遮った。


すぐに砂ぼこりは消え 前を見ると そこにはもうツキバの姿が見えなかった。


「いったい 何処に……」


カケルは たとえ自分が『お荷物』でも役に立とうと思い、辺りを見渡した。 だが何処にもツキバは見当たらない……


「私が『消える旋風』と呼ばれる真の理由をお教えしましょう」

どことなく声が聞こえてきた。


そのときルミの後ろから小さな風が聞こえてきた。


ツキバの存在にルミも気づき、間一髪のタイミングでツキバの攻撃をかわした。


「なるほど ツキバ・セン 貴方は予想以上にやり手な様ですね……

いいでしょう この ルミ・シューリンク 本気で相手をさせて頂きます。」

ルミも剣を自分の前に持ってくるように構えた。


「ワルシャード」


そう唱え終わった時、ルミの剣の先から灰色の結界の様なものがどんどん広がっていった。

その結界はすぐにカケルやセリナを飲み込んだ。



「______」



まさに『無音の世界』 何も聞こえない。


試しにカケルは声をあげてみた。だが


(声がでない?)


呼吸は出来るのに音はでない。 たとえ叫んでも、草を踏んでみても、ズボンを叩いてみても、感覚はあるのに何も聞こえない……


『無音の世界』全ての音を飲み込み消し去る。 そんな世界をカケルは恐れた。何も聞こえない、何も言えない……


そんな無音の世界に何かが響いた。


小さいが何かが聞こえる。 これは…… 風!?


瞬間ルミの体は風が聞こえる方向へと動いた。

そして待っていたかの様に剣を横に振り回す。本当に一瞬の出来事だった。


すると、何も無かったところから 赤いドロっとした液体がこぼれ落ちた。


「チェックメイト です。」


ルミはその液体が落ちた近くに剣を向け言った。


その瞬間、灰色で、無音の世界から一瞬にして色豊かな世界に変わる。


「こ、声が出せるぞ。」


これまで音がない世界を体験したことが無かった

カケルは、とても安心した。


するとルミの剣の向く方向に かがみ込んでいるツキバが現れた。


するとセリナが


「終わった……のね!」と言った。



「く、完敗だ…… ここまで、あっさりと 負けてしまうとは……

流石は無音の……いや、まだ自分の努力が足りなかったのか。」


ツキバはハアハアしながら言った。


「いいえ、貴方は弱くは無かったですよ。 なんせ私から少しでも本気を出させたくらいですから。 そこは誇っていいと思いますよ。」


「ハハハ 負けたけど『無音のルミ』から本気とったぞってか? ったく そんな恥はさらせねーよ」


そういいツキバは立ち上がり、いかにも『退散』というポーズをとった。


「ここで、貴方と手合わせ出来たことを天に感謝しよう。

それと、俺のもっとうは 素早く行動なんでね、また戦うことになるかも知れませんから、その時まで。

では退散」


少し強い風がツキバの周りを吹きそれに乗った木の葉がツキバを隠した。 そして風が止む頃には ツキバの姿は消えていた。



「それにしても ルミって、もんの凄く強よいんだな……」


「はぁ……、また面倒なことにならないうちに帰りますよ。」


ルミは、カケルの言葉を無視するように聞き流した。



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