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1章2話『2人の過去』


カケルはルミに心臓を刺されたということで、セリナに応急処置をしてもらい ある程度傷を治してもらったが、念のため セリナとルミの本拠地に行き、本格的に治療してもらうことになった。



「あのー……何かまだ変な感触残ってるんですけど……」


カケルは胸のあたりを抑えて言った。



「当たり前でしょう。あんな事しなければこんな事にはならなかったんですよ!」


セリナは腕を組み顔を膨らませた。



「あははは ごめんごめん」



仕方が無いじゃないか。あのときは全然状況を把握してなくて本気で夢だと思ってたんだから。まー、今も全然状況を把握してないけど。



「ほんとに、私でなければゴメンで済まされませんさらね。」


セリナはため息をつく。



「あははは……で、でも ほらさっき俺を治してくれたの あれは何だい? なんか光がボォワーっと出てきて、そしたら傷がどんどん治ってきてさー やっぱりこの世界には魔法とかある感じですか?」


カケルは目を輝かせながら言った。



もし仮に、この世界に本当に魔法があるならば、リアルで厨二病がなくなる訳だ。

うんうん。いいねー。素晴らしくいいよー。胸が高らむねー。



このときカケルはもう自分が異世界にいることを自覚している。考えてみれば、あの男に何かされてここに連れてかれた訳だし、この人達日本の事知らないし。 もうこれは日本でないどこかに飛ばされてしまった。としか考えられない。



「『魔法』とは少し違いますね。貴方を治したのは私の『スキル』です。」



なるほど、『スキル』か。 いや、全然いい。 だって、ドラ〇ンクエストにも魔法の他に特技があって、『ギガスラッシュ』みたいな大技がある。だったらこの世界にもそんな技があるに違いない!


やった。やったんだ! 俺が唯一諦めていた夢、『超能力』が今俺にも使えるんだ!


いや、いや待て。これはもしかしたら限られた人間しか使えない物なのかもしれない。もし俺に『スキル』を使える可能性がないのなら、結局は『超能力』も結局夢止まりになってしまう。



「へー、じゃあ俺にもその『スキル』ってのは使えるようになるのか?」



「スキルは誰もが使える訳ではありません。ある程度の才能と努力をして初めて使えるようなるんです。

ただ可能性は誰しもが持っていますし、まぐれでも、カケルさんはルミの攻撃を耐えています。それも心臓を刺されて…… だからカケルさんも『スキル』使えるようになるかもしれませんね!」



うんうん。いいねー。俺も『スキル』を使える可能性は大いにあるという事か。

ふふふ、いつかはその『スキル』を使いこなし、『英雄カケル』の様な称号を得ることが出来るってことか。



「何か質問ばっかりしてて申し訳ないんだけど、この世界に『魔法』はないの?」



「ありますよ! ただ……スキルというものは自分自身の魂を源に、色々な力に変えていきます。ですが、魔法というものは、代償を必要とするものです。その代償が大きいほど、強大な力を得る事が出来ます。」


「へっへー……じゃあ何か使ってみたいけど使っちゃいけない感じなんだねー」とカケルは寂しがって言う。


「まーあまり使ってよいものではありませんね。

それと……話が変わるのですが……」とすこし前にいるルミに聞こえないくらいセリナが声を小さくする。


「どうしたんだい」とカケルが言ってみると


「ルミの前ではあまり親や家族のことを話さないでもらえますか?」


「え? どうして?」


「実は……もうルミの家族はいなくなってしまったからです。」


「そ、そうだったのか。そうとも知らず俺は本当に悪いことを言ってしまった。じゃあ ルミにあやま……

いや、やめた方がいいか。」


「すみません、ありがとうございます。」とセリナが頭を下げた。


「いやいや、頭を上げてください。俺が悪いことをしてしまったのだから…… でもルミはまだ15とか16だろ? なのに家族を全員無くしてしまうなんて……」


「いえ、外見はそのくらいですけど中身は今年150歳ですよ。」


「は?」カケルはあまりに衝撃的なことを知り固まってしまった。


「いや、まさか150だなんて……それ、もはや人間じゃなくないですか?」


「ええ 人間じゃないですよ。ルミは寿命500年と言われている妖怪ですから。」そう言いながらセリナはにっこり笑う。


「へ、へー。マジこの世界って何でもありなんですね……

で、でもルミが妖怪なら家族も妖怪じゃないのか?だったら何で?」カケルは疑問に思い聞いてみると


「確かにルミの家族はみんな妖怪です。でもみんな寿命で死んだ訳ではないんです。」


「じゃ、じゃあ何で」


「殺されたんです。彼女がまだ5歳の時に」


「え?」

カケルは自分が余計なことを聞いてしまったと思い胸が苦しくなった。


「ルミが5歳だったとき、バルドニア帝国に国を滅ぼされてしまたのです。」


「ばる、どにあ帝国?」カケルは少し変なところに興味をもってしまった。


「カケルさんは国も知らないんですか? ほんと、変ってますね。

今、この世界には五大帝国、つまり強い力をもった国が5つあります。まーその中でも国の強弱があって、国土が大きな順に『シリアス帝国』『カルガニア帝国』『バルドニア帝国』そして我らが『リスチニア帝国』あと『サザミア帝国』他にも小さな国はありますが、その数は本当に数えるほど……


でも昔はもっと沢山国がありました……小さな国も、大きな国も……」

セリナの話す速さはどんどん遅くなっていった。


「ルミが住んでいたのはその小さな国。ルミはまだ5歳にして 国も、家も、友も、家族も……全てを奪われてしまったんです。 その中でもたった1人生き残った彼女は、他人を愛せず、信じることも出来なくなった……


でもそれは無理もないこと、まだ5歳だった彼女には 大きなトラウマになってしまったのでしょう。」


「そ、そんな事が…… でも、セリナには心を開いているんじゃないのかな?」


「実は私も妖怪なんです。半分だけですけど。」


セリナは前にいるルミを見て言った。


「え?セリナも妖怪なの?

でも、それとルミが心を開いてくれるのと何か関係があるの?

ここでも妖怪とかって やっぱり珍しいものなの?」

カケルが問いかけるとセリナは答えた。


「ここでは妖怪は珍しいものでもありません。ただ妖と人のハーフである私は、

昔……ある特定の 人から、妖怪から、不純の存在として見られてきました。そのため いじめられたり、 殺されかけたり……


まー今ではそんなことはありませんが、 むしろ今では 人と妖のハーフは美しい と言われるくらい……

でも、小さい頃の苦しみや、 憎しみ、それは私の中から完全には消えてくれない……


だから分かるんです。苦しみの種類は違くても、同じ辛い過去を持っているから……

だからルミも私には 完全にまでいかなくても 少し、心を開いてくれているのかなと思います。」



セリナが話終わったとき、今日一番の大きな風がふいた。

その風はまるで、2人の辛い過去を少しでも洗い流すように 強く 大きく吹いていた。



「そんな辛い過去が、2人にはあったんだな……」


カケルはセリナの話を聞いて自分がどれだけ惨めなのかを思い知らされた。 もちろんカケルにも辛い過去がなかった訳でもない。ただ2人の過去よりは 小さく、薄く、脆い 苦しみだった。

そんな苦しみを言い訳にして、辛い事から逃げたこともある。そんな自分が何だかちっぽけに見えて仕方が無いのだ。




『ドサ』



カケルの目の前には少し前で歩いていたはずのルミがいた。


「あれ? ルミ、どうしたんだ?」


「何かに……見られています。」






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