41 犯罪と法律
コドク視点スタート。
惜しい所までいったユーナであったが、時間切れで俺に負けたユーナ。
ちなみに、さっきやっていた模擬戦のユーナの勝利条件は、俺に攻撃を1発当てる事。敗北条件は、制限時間が切れる事である。
随分とユーナに有利な条件ではあるが、これはハンデだ。
だが、この頃ユーナの攻撃を避ける事が難しくなってきた。それだけ、強くなってきた証拠でもあるのだが……。
正直に言うと、破壊力や貫通力といった面では、ユーナの魔術や攻撃は、既に俺を超えている。つまり、一発攻撃をもらうだけでも、元々装甲の薄い俺は、洒落にならない事になるのだ。
あの、弱くてかわいいユーナは、いったい何処へやら……しかも、目で追えない程の速さもあるっていうね。よくぞここまで成長したものだ。俺も鼻が高い。
だが、まだ課題はある。ユーナは、カナン程魔力が無いから、ガス欠が早い。つまり、持久力がないのだ。だからこその制限時間でもある訳だが。
俺の場合、核の魔石を変えれば消費した魔力はリセットされる上、魔力の自然回復速度が異常に早いので、すぐに元通りになる。戦闘能力で言ったら普通の俺だが、逃げる事だったり、搦め手で攻める事だったりすれば、俺は得意な方であるのだ。
俺の羽根は、魔力の込め方でその特性を変える性質がある。
その一つに、触れたエネルギーを吸収して、崩壊するという特性をもったものがあるのだ。
実は、さっきの模擬戦で、それを使って何度かユーナのレーザーを防いでいた。
これは、ユーナみたいに、破壊力や攻撃力が高い相手に対応する為に、俺が作ったものである。ただし、羽根一枚につき、一回の攻撃しか防げないという欠点があるが。
雨が鬱陶しいので、強風で雲をはらったうえで、気圧を高くして雲が無い状態にした。
すると、悔しがるユーナに、カナンが苦笑しながら歩み寄った。
「お疲れ様、ユーナ。」
「うう~~、ああ、悔しい!ねえねえカナン、聞いてよ!本当、いったいなんなのよあいつ!
100度の気温でも平気そうな顔してるし、水蒸気爆発でも傷一つ負わないし!しかも、今度は余裕で雲をはらっているし!」
俺が余裕そうなのが気に入らないのか、翼をばさばささせながら、そう言うユーナ。
そう言われてもね?雲をはらうくらいなら余裕だし、傷を負ってもすぐに治るからな……
そう思っていると、不意に、俺の影から、星花の気配が現れた。
「ご主人様、体が雨で濡れております。お拭きいたしましょう。」
言い終わる前に、手に持つ布で、俺の体を拭き始める星花。
大丈夫なんて言った所で、やめない事は知っているので、俺も止めない。ただ、拭きながら俺の毛並みに顔を押し付けたり、匂いを嗅いで鼻血を出したりするのは、微妙な気分になるのでやめてほしいのだが……。
美輝がやっていたから慣れているとはいえ、その度にユーナの冷たい目線に晒されるのだけは、どうしても慣れないのだ。
だからと言って、文句は言えない。カナンの身長が伸びて、服が着られなくなった時があったのだが、その時、服を調達してきてくれたのは、星花であったのだ。
しかも、どこで覚えたのか、料理までできるようになっていた。前世でも、まともな料理など食べた事が無かったので、最初、星花が料理したものを食べた時、あまりの美味しさに泣いてしまった。というか、「美味しい」というものを、その時初めて知った。
とまぁ、そんな事があったので、俺達は星花に何も言えないのだ。
星花は、今でもプルプルと交流があるらしく、服もそこの町で買って調達してきたらしい。
金はどうしたんだ?と聞いたら、なんでも俺の羽根が、魔除けの羽根としてそこそこ良い値段で売れるらしく、それで買ってきたという。
まあ、『悪いもの』を遠ざける力はあるから、確かに一種の厄除けではあるな。
俺の体を拭いていた星花が、不意に俺を見上げた。
「ご主人様。プルプルが、ご主人様に相談したい事があるそうなのですが……」
「相談?いったい、なんだ?」
「それが…悪い大人に、自分の言う事を聞かせるには、どうすればいいか、というものらしいのです。」
ふむ、言う事を聞かせる、か。
「そんな面倒な事をしないで、殺せばいいだろう?それか、恐怖で縛り付ければいい。」
俺がそう言うと、星花は首を横に振った。
「私もそう思ったので、そう言ったのですが……プルプルが言うに、「子供達の教育に悪いから、駄目だよ!」だそうで……。」
子供の教育に悪いって……プルプル、今、いったい何をやっているんだ?親?先生?
だとしても、面倒だな。そういう悪い大人は、どうやっても更生させる事なんて、できないっていうのに。
ああ、いや?別に更生させなくてもいいのか。
「なら、薬漬けにでもして、言う事を聞かせればいいんじゃないか?殺す訳でも脅す訳でもなく、自ら言う事を聞いてくれる従順な駒になるだろうから、問題無いだろう?」
「なるほど!さすがご主人様です!」
笑顔で頷く星花。しかし、そんな俺達に、ユーナが怒ったように叫んだ。
「そんな訳ないでしょう!?犯罪じゃない、問題だらけよ!それに子供の教育にも悪いわ!」
「犯罪って……それは、日本での話だろうに…。
なぁ、カナン、この国……ユエイブワル帝国の法律に、薬に関する、そういう法律ってあるか?」
俺がカナンにそう聞くと、カナンは少し首を傾げ、頷いた。
「特に無い。ただ、医師が処方した薬で死ねば、医師が罪に問われる。でも、それだけ。
それに、ユエイブワル帝国には、あいつが作った決闘法っていう、ふざけた法律がある。」
顔をしかめながら言ったカナンの言葉に、俺は目を細めて呟いた。
「決闘法……確か、決闘を申し込み、勝つ事ができたなら、その罪は無かった事になるっていうものだったか。」
余程父親が憎いのだろう。俺の呟きに、カナンはその顔を憎悪に歪めた。
余裕があれば、頑張って連続投稿していきたいと思います。




