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38 異常な妹

2話連続投稿。1話目。

三人称視点スタート。

 日が昇り、朝日が空を明るく照らし出す頃、コドクの頭の上で寝ていたユーナが目を覚ました。


「ううん…ああ、酷い夢を見たわ……おはよう、コドク。」

「おはよう、ユーナ。で、酷い夢って?」


 コドクがユーナにそう聞くと、ユーナは物凄く嫌そうな様子で顔をしかめた。


「……あなたの、妹の夢よ。ああ、思い出すだけで鳥肌が立つわ!」


 そう言って身を震わせるユーナに、コドクは不思議そうに瞬きした。


「俺の、妹?美輝(ミキ)の事か。あいつがどうしたんだ?」

「名前なんて、どうだっていいわよ!何よあの変態!?

 コドクの、し、下、下着を……か、嗅いでいたのよ!?」


 気持ち悪そうに、顔を青くしてそう言うユーナに、コドクは、頭の上にいるユーナを落とさない範囲で首を傾げた。


「それがどうしたんだんだ?俺の妹は、いつもそうだったが。」


 コドクが、なんでもない事のようにそう言うと、ユーナが「ひぃ~~!!」と悲鳴をあげた。


「いつも!?あの、変態行為をいつも!?しかも、やっぱり夢じゃなくて、コドクの記憶だったのね!

 あなたは、あんな事をされて平気だったの!?」

「う~ん……最初は、怪訝に思っていた時期もあったんだけどね。母は母で、妹や父の下着なんかを嗅いでは喜んでいたし。だから、もしかしたら、女性だったら普通の事なのかなぁ、と。」

「ち・が・う・わ!!」


 コドクの言葉に、ユーナは目をくわっと開くと、顔を真っ赤にして、怒るように言い始めた。


「それは、あなたの家族が変なだけよ!世の中の女性、皆が皆、そうだとは思わないで!!

 特に、あのあなたの妹!!あれは度を過ぎているわ!何あれ!?なんであなたの机の中に、え、えっちな本を入れておくの!?おかしいわよ!!」

「あ、やっぱりおかしい事だったんだ。なんでそんな事をしたのか、今でもさっぱり分からないけど……性欲なんて、これっぽっちも無かったから、妹の机の上に置いて返しておいたんだけど。それで良かったのかね?」

「律儀に返さないで捨てなさいよ!」


 美輝の異常性にまったく気付いていないコドクに、ユーナは、ぜえぜえと息を切らすと、溜息を吐いた。


「はぁっ。これで、よく分かったわ。」

「ん?何がだ?」


 カナンの寝顔を見ながら、のんびりとそう言うコドクに、ユーナは翼をビシッと突き付けた。


「あなたが変態で、ロリコンな訳を、よ!」

「結局、ロリコンは不動なんだな。で?その訳って?」


 コドクが苦笑交じりにそう言うと、ユーナは胸を張って言った。


「それはね、全部あなたの妹のせいよ!あなたの妹が、ブラコンで変態でストーカーだから、あなたはきっとロリコンになったんだわ!

 というか、全部、何もかもがあいつのせいよ!本当、気に入らない!!」


 余程、美輝の事が嫌いなのだろう。ユーナは、怒りが収まらないといった様子で、そう言い切った。

 そんな様子のユーナに、コドクが苦笑していると、コドクの背中で寝ていたカナンが起きた。

 カナンはしょぼしょぼする目を擦ると、欠伸をした。


「ふあぁ……おはよう、ユーナ、コドク……」


 眠そうなカナンに、ユーナがコドクの頭から、カナンの肩へと飛んでとまった。


「おはよう、カナン。コドクのお布団は、どんな寝心地だった?」


 ユーナは、さっきの怒っていた様子など忘れたように、カナンに笑いかけながらそう言った。

 カナンは、にっこりと笑みを浮かべた。


「最高だった。」

「そう。それは良かったわね。ね、コドク?」


 ユーナは、浮かべた笑みを意地の悪いものに変え、コドクに話を振った。

 コドクは困ったように笑うと、ふと思い付いたように、首を傾げた。


「なぁ、二人共。これからどうするんだ?

 ここの国……ええっと、ユエイブワル帝国は、隣の国のルリィドユアー国と戦争しているんだっけ?」

「ちょっと、違う。ユエイブワル帝国が宣戦布告しているのは、センクロッド皇国だけ。

 ルリィドユアー国は、ここを勝手に敵視している。」



 ここで、少し国の関係を説明したいと思う。

 まず、今コドク達がいる国、ユエイブワル帝国。

 この国の特徴は、国の首都が険しい山の上にあるという事と、階級制度が、強い者ほど高い、という所だろうか。

 とにかく強い者を歓迎しており、『魔界門』や精霊の強制契約も、積極的に取り入れているようだ。

 主に、センクロッド皇国に宣戦布告しており、ルリィドユアー国には、目向きもしていないようである。


 ルリィドユアー国は、この世界の創造神と言われるユアー神を信仰している宗教国家である。『ルリィドユアー』は、古代語で「ユアー神を信仰する」という意味があるらしい。

 ユアー神が、光の神でもある為、闇に関するものを嫌っているらしい。

 また、強い者だったら、闇に関するものでもなんでも受け入れるユエイブワル帝国や、帝が神の子孫と言っているセンクロッド皇国を毛嫌いしており、『聖戦』と言って、この二つの国に、一方的に戦争を仕掛けている。


 センクロッド皇国は、帝を神の子孫とした国で、国境には険しい山脈に守られ、海にも面している資源豊かな国だ。

 そのうえ、国一帯を守る巨大な結界が張られており、他国の侵攻をそれで防いでいる。

 また、帝が戦を嫌っているらしく、戦争はせずに、話し合いでなんとかしようとしているらしい。ただ、その姿勢がユエイブワル帝国の皇帝の癇に障ったらしく、完全に裏目に出て、宣戦布告されたらしいが……。


 この三つの国が、人間界にある、主な国である。

来週からは1話ずつ投稿に戻る予定です。

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