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第四話 パーティーって何?

「で、パーティーって何?」


 思ってもみなかった質問にシエルは目を見開いた。


「え? あっと、パーティーっていうのはですね、クエストを効率的にクリアしていく為の協定? のようなものですね。基本的にパーティーでは役割分担がありまして、剣士、タンク、魔法使い、僧侶で組まれることが多いんです」


 冒険者はパーティーを組むことが定石。どういうものかなど深く考えたことがなかった。故に改めて説明するとなると頭の中が混乱する。

 因みにこの組み合わせが多い理由は生存確率が最も高い組み合わせと言われている。


「シエルちゃんは確か僧侶だって言ってたよね」

「そうです」


 話を全く聞いていないと思ったが、部分的に聞いていたらしい。

 関心というより驚きだ。


「パーティーというのは前衛と後衛の組み合わせか、魔法使いと私のような支援職を合わせた後衛組み、剣士とタンクのダブル前衛など、他にも様々な役職での組み合わせもあります」


 パーティーは剣士・タンク・魔法使い・僧侶の4人組がベーシックだ。ただしシエルが語るように例外も多い。それは人員不足の為だとか、得意とするクエストがそこまで役職を重視しないだとか適性など様々。

 そして何より、ソロで活動する冒険者もこの世界には存在する。性格に難があったり、シエルのようにパーティーを追放されてそのままソロ冒険者となる者も多いが、好んでソロで活動する者は須らく圧倒的な強者である。

 事実、S級冒険者の中にはソロ冒険者が何人も存在している。


「とまぁ、組み合わせは目的に合わせて変わります。ちなみにウルカさんは役職的にどこに当たるのでしょうか? すっかり順序が逆転してしまって申し訳ないのですが」

「分かんない」

「え?」

「分かんない」


 まさかの真顔二連続返答。

 シエルの口があんぐりと開いていく。


「いやっ。確かに武器を何も持っていなかったのは少しだけ不思議だなとは思ってましたけど……。え? 分かんない? 本当に?」

「うん」


 なんと屈託のない返事か。あまりの純粋さに邪な心を抱いていないのに滅されそうになる。いや、邪な心がないわけではなかったか。

 話が逸れたが、となれば、どのように事を進めるのが適切か。

 ウルカの実力は未知数。そこは織り込み済みだった。何故なら、冒険者志望であるならばある程度動くことが出来ると、シエルは踏んでいたからだ。

 だが現実問題どうだ。自分の役職すら分からないと来た。そんな人間にモンスターと戦う勇気と力があるのだろうか。というかスラム街で襲われていたのだから無理なんじゃないだろうかと、目を逸らしていた事実にも目が向き始めてしまう。

 せめて一番人気の剣士を名乗ってくれれば悶々とせずに済んだのに。そう後悔しても遅い。

 分からないのならば、やるべきことはそう!


「では剣士、タンク、魔法使いのどの役職につきたいですか!?」


 今この場で決めてもらうしかない!

 ウルカも人差し指を下唇に当てて考え始める。


「う〜ん。そうだなぁ。ってあれ? 何で候補に僧侶がないの?」

「僧侶は特別なんです。いやまぁ、他の役職が特別ではないという意味ではないんですけど――」

「僧侶っていうのはね、女神様の声が聴けないとなれないの」

「声?」


 シエルが説明しようとするとフィラが口を挟んできた。

 ムッと眉を寄せるシエルを他所にフィラは続ける。


「そ。毎日毎日飽きもせずに膝をついて祈って、そうやって何か知らないけど何処かから声が聴こえた人だけが回復魔法や付与魔法を使えるようになって僧侶になれるの」

「なるほど〜」

「ちょっと、全部言わないでくださいよ。説明したかったのに」


 口を尖らせるシエルにフィラは悪びれる様子なく、暇なんだもんと返す。

 そしてそのまま最後にアドバイスを付け加える。


「取り敢えず剣士にしときなさい。タンクは身を挺して敵の攻撃を防ぐけど、シエルと組むなら逃げた方が効率良いし。魔法使いは相当な魔力と魔法の知識がいるわよ。それこそ小さい頃から勉強してないと。ウルカちゃんはどう?」

「う……」


 苦い顔を見るに勉強は好きではなさそうだった。

 それならばまだ剣士として働いてもらう方が幾分かウルカの為にもなるだろう。


「それじゃあ剣士から初めましょう。魔法の才がありそうだったらジョブチェンジすればいいですから」

「うん!」


「でもどうするの? 武器買うお金、ウルカちゃんあるの?」


 財布を開いてみるとそこには銀貨が2枚のみ。


「あらら。それじゃあ剣は買えないわね。いけて包丁くらい」

「うぅ……そんなぁ」

「私が出しますよ。無理に頼んでパーティーを組んでもらったんですから」


 ウルカにとっては施しに思えたのだろう。鼻水と涙を流して、シエルに飛びつく。


「ありがどー! シエルぢゃん!」

「いえいえ。お気になさらず。だから、ね? 離れましょう? ね? ねぇってば! 離れてください! あぁ! 鼻水が! やだもぉぉぉぉぉ!!」


 最先不安定なパーティー生活。上手くやっていけるのだろか。

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