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早朝からアセニア渓谷に向かい、昼頃には着いた。


そこは原っぱの様に刈り込まれた草腹が広がり、遠くに見えるのは木の柵で囲まれた放牧場だ。

近寄ってみると、中に闘馬と思われる馬が30頭はいるだろうか。

平屋の建物があり、その横に厩舎があった。

放牧場の横を通り、馬を降り、スカーレットさんが歩き出したので付いて行く。建物の前で足を止めて

「おいっ!久しぶりだなぁ…まさか忘れちゃいないだろーな?」

と軽く揶揄う様に玄関先で樽を洗っていた男性にスカーレットさんが声をかけた。

目を見開いて笑い出し

「スカーレットじゃないか。こんな所まで何しにきた?」

お互いに肩を叩き合い楽しそうに笑い合っている。


私まで久しぶりの友に会った様な嬉しい気持ちになり、笑顔で眺めていた。

「あぁ紹介するわー。アカリだ。闘馬がほしいんだと…」

「アカリです。急に押しかけてすみません。宜しくお願いします。」ニコッとご挨拶をした。

「もしご迷惑でなければ、魔獣を出しても良いでしょうか?猫の様なものなのですが、魔力が高いので普通に話ますし、勝手なこともしません…」

リュックの網をそちらに向けて顔を見せる。

「トラジとサンタだよ!出てもいいですか?」網越しに話しかけた。

「あぁいいよ。何も悪さしなければ、闘馬は大人しいもんだ。」

「俺はアーロンだ。宜しくな。」

アーロンさんは不精ヒゲのあるガタイの良い筋肉質な男性で、日焼けしていて、長い髪を縛っている。

「アーロンさんですね。ありがとうございます。」

とリュックお開けると二人はすぐに出て来る。

「闘馬を近くで見てもいいですか?柵の中には入りませんので。」

「かまわないが、気に入ったのがいても、こいつらは、乗ってみてもらってからなんだ。もしもあんたを乗せたら売ってもいい」

「伺ってますよ。もちろんそれでかまいません。」

「ママ行こうっ!」

二人と歩き出す。放牧場の柵の内側に、木が何本も並んでいる場所があり、何頭も集まっている。

そこから見るのが闘馬に一番近い。

「なんかみんな元気がないね。」サンタが不思議そうに呟く。

耳を闘馬の方に向けてピコピコと動かし二人は顔を見合わせた…眉間に皺がより、困った様に目尻が下がる。

「行きたくないってゆってる……疲れるって。移動はお断りってみんなで話してる……やだやだって」

「え?闘馬の話がわかるの??」

「え?ママわからないの?」

私はここからでは話し声が聞こえないから、話せるかどうかもわからない…

「だって聞こえないもん。」

「でも何でそんな疲れてるんだろう」トラジも不思議そうだ。

「飯ちゃんと食ってないんじゃないの?」

あっ!それだ!

私達は柵ごしに近くまで寄って行った。そこからはサンタが柵の上を歩いて行き、話しかけた。

「誰か一緒に来るやついない?」

話しかけられて驚いたのか、闘馬はそろって動きを止めた。

「ご飯はお腹いっぱい食べれるし、仕事はしてもらうけど森への往復で、キツイもんじゃない。目的地は俺らが歩いて移動出来る場所だからな」

「どうだ?」

サンタは闘馬と話しているけれども、残念ながら、私に闘馬の返事が理解出来なかった。

「食べれるのなら肉を出すよ。塩分が必要ならそれも。甘味が好きなら食べればいい。」

不穏な内容の流れになっている。ここでは肉食動物に草を食べさせているのだろうか。

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