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ゆるいカールの腰までの長さで、艶のある鹿毛が綺麗な、宿屋の女将が今日の晩ご飯は脂ののった白雉の煮込み料理だと言っていた。
コトコト柔らかくなるまで煮た野菜と一緒に食べると、きっと汁まで美味しいはずだ。
こちらの世界では、気の抜けたビールの様な、エールを温いまま飲むのだけれど、ビールが大好きな私は酒の持ち込み料を払ってでも一杯目はビールにしている。
キュッとビールを飲んで、今日は早々に寝てしまおう。
「そろそろ食堂に行こうか?」と聞くと
「お腹空いたね」と言うトラジにサンタが、なんとなく頷き、立ち上がって伸びをする。
交互に手を前に伸ばして気持ち良さそうだ。
宿の食堂ではあるが、食事のみで利用する事も出来るので、まぁまぁ混雑していた。
奥の泊まり客用のスペースに行くと、だいたいは昨日もいた面子だった。
席について、煮込みとパンを頼むと、すぐに運ばれてきた。
酒の持ち込み料を手渡し、収納からビールを出す。
煮込みは熱々で湯気がたちのぼり、良い匂いが食欲を誘う。
こちらの世界に来てから、肉の脂が大好きになった。そもそも肉の種類が豊富で、煮込み料理は上質な脂と旨みが野菜を美味しくしてくれる。
私がよく作るのは簡単なもので、ハーブと塩胡椒とオイルを肉に塗り込み、芋系の野菜や根菜と一緒にオーブン窯に入れて、皮がカリっとするまでじっくり焼くだけ。肉の脂がたっぷり落ちて、脂を吸った野菜まで美味しく食べれちゃう。
ハフハフと雉の煮込みを頬張り、幸せそうに目を細めて美味しいねと囁き合う二人を眺めて、私も食事に取り掛かる。
500mlのビールを結局3本飲み、食事が終わったタイミングで席を立ち、部屋に戻る。
横を歩いていたサンタが
「明日は何時に起きるの?」と聞く。
こちらの世界の時間はアバウトに鐘で告知されるので、私達は今まで通りの時間軸で生活していた。
「七時に起きて用意かな。」サンタが頷く。
「明日は晴れだよ」
「ふふ…お出かけは楽しい」ほっぺが持ち上がる。
7時に起きて、昨日市場で買ったものを食べるだけの簡単な朝ごはんをすませて、リュックを背負う。
一泊で出る事を女将に伝えて鍵を返す。
「いってらっしゃい。気をつけてー」と手をひらひらと振って送り出してくれる、朗らかで吊り目がちな大きな目の女将は美人さんで、艶々の髪の毛が揺れている。
腰の位置が高く胸の下に足が生えているのかというくらいスタイルが良い。
私は綺麗なものを見るのが好きで、綺麗な人が好きだ(変な意味ではなく)
あくまでも私の持論だけれども綺麗な人の方が優しくて性格が良い気がする。
あちらの世界に生きてた時は、性格の悪い…嫌味な人や意地悪な人、毒を吐く人、嘘つき、そして意外と多かったのが小さい泥棒……そんな人達とも仕事の付き合いがあれば仲良くしていて、
近寄る時は心を閉じて…と思いはしてもついつい閉じきれず……
こちらの心にダメージを与えてくる人って
だいたい悪そうな顔してるんだよなぁー
うん…綺麗な人だった事はまずない。
美人の女将はきっと優しい人です。




