【第6章】第3話:三つの選択肢と、盤石なる布陣
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北の廃坑での激闘を終え、隠れ家を確保したフォージたち。
翌朝、彼らは次なる強大な脅威「深淵の調律者」を見据え、今後の全体戦略を決定する会議を開きます。
――翌朝。
俺たちは旧北の廃坑、弦の管理下となった隠しダンジョンに設営した仮会議室に集合していた。
「よし、全員揃ったな。まずは現在の状況と、今後の全体方針のすり合わせを行う」
俺が自作のホワイトボードの前に立つと、ルナと弦、そして脳内の神々が静かに耳を傾けた。
「昨日、弦から引き出した情報を整理しよう。俺たちの最終的な排除目標は、王都の遙か北、『凍てつく断層』にある廃都に潜む『深淵の調律者』。そして奴の目的は、王国の地下深くに眠る『原初の魔力炉』を奪取し、この世界のシステムを完全に書き換えることだ」
俺が図解を交えながら説明すると、ルナが真っ直ぐに手を挙げた。
「お兄様! それなら、今すぐその北の廃都とやらに向かって、その悪い虫を焼き払ってしまいましょう! 私とお兄様なら、どんな敵でも一撃ですわ!」
「気持ちはわかるが、それは却下だルナ。敵の戦力規模も、拠点の防御機構も不明なまま本拠地に突撃するのは、ただの自殺行為だからな」
ルナを窘めつつ、俺はホワイトボードに『三つの選択肢』を書き出した。
① 北へ進軍し、敵本拠地を即時攻略する。
② 戦力を増強し、攻めるためのリソースを整える。
③ 『原初の魔力炉』を先に抑え、絶対の防衛線を構築する。
「①は今言った通り、リスクが高すぎて論外だ。となれば、俺たちが取るべき方針は②の『戦力増強』か、③の『魔力炉の確保』になる」
「……マスター。論理的な推論ですね」
黒いローブを纏った弦が、平坦な声で同意する。
「しかし、②の戦力や装備の拡充には膨大な時間《工数》を要します。我々が準備を整えている間に、敵が『原初の魔力炉』に到達してしまうリスク(タイムオーバー)が懸念されます」
「その通りだ。だからこそ、俺が選ぶのは②と③の『両立』だ」
俺がホワイトボードをペンで叩くと、仮会議室に静かな緊張が走った。
「俺たちは、昨日神々の検索で目星をつけた『地熱と魔力が暴走する未開拓エリア』に、新たな拠点を作る。……この拠点は、強力な二層構造にするつもりだ」
「二層構造、ですか……?」
弦の問いに、俺は頷き、盤面にさらに図を書き足していく。
「ああ。地上部分では、安全に資金や情報を集め、俺たち自身の戦力と影響力を拡大させるための『集客施設』を運営する。これが②の戦力増強だ。そして……同時にその施設の地下から、王都に向けて垂直坑道を掘削し続ける」
「……ッ!?」
俺の言葉の意図を察し、弦のシステム音声がバグったようにノイズを引いた。
「まさか、マスター。王都の地下にある『原初の魔力炉』へと地下から直接アクセスし、我々のダンジョンに物理的に接続すると……!?」
「そうだ。敵に奪われる前に、俺たちが巨大なエネルギー源を横取りして、自陣の絶対的な防衛基盤にする。攻める前に、まず『絶対に負けない要塞』を構築するんだ」
その言葉にゼノンのテンションが上がる
『マスター!素晴らしいです!攻める前に絶対の守りを固める……まさに将棋の「囲い」と同じ理屈ですね!!』
脳内の神々が感嘆の声を上げた。
『素晴らしい戦略ですね、フォージ。敵の攻撃を無効化する盤石な陣地があってこそ、攻めは鋭さを増すのです』
『ガッハッハッハ! 王国の心臓を地下からぶっこ抜いて、俺たちの盾にするというわけだな! 痛快極まりないぜ!』
アルバスとトールが、俺の提示した軍略を大絶賛する。
ルナも、難しい顔をしながらも嬉しそうに頷いた。
「よくわかりませんけれど、お兄様は絶対に負けない安全な施設を作りながら、同時に戦う準備も進めちゃうってことですね! さすがはお兄様ですわ!」
俺はそこまで説明して、ペンを置いた。
「これが俺の描くロードマップだ。……さて、この途方もない計画を実現させるためには、地上に建てる『施設』の仕様が極めて重要になってくる。が!! しかし! その前に!」
俺は思考を切り替え、メンバー達に視線を向けた。
「『要望』と『要求』の違いはわかるかい?」
一同そろって??? を頭に浮かべていた。 まぁゆっくりこの辺りは進めるさ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
強大な敵の本拠地に向かって単細胞に特攻するのではなく、まずは「自陣のインフラ(魔力炉)」を裏からハッキングして絶対防衛線を構築する!
さらに地上では戦力を整えるための施設を運営するという、現役PMらしい恐るべき「ハイブリッド戦略」が提示されました。弦が戦慄するのも無理はありませんね。
全体の方針が共有されたところで、次の内容とは!気になりますね。
皆さん今後もよろしくお願いします。




