【第5章】第3話:神々との振り返り(定例オンラインミーティング)
いつもお読みいただき、ありがとうございます!
ギルドでの報告という大きな山を越え、報酬を手にしたフォージとルナ。
今回は束の間の休息(街ブラ&お食事)と、脳内の神々との「定例会議」です。
ギルドを出た俺たちは、王都サンダルの中央大通りをのんびりと歩いていた。
懐には、先ほどの交渉で得た【金貨十三枚】が入った革袋。歩くたびにチャリンと鳴る重みは、確かな「プロジェクトの成果」を感じさせてくれる。
「ふふっ。お兄様のあの交渉術、本当に素敵でしたわ! ギルドの支部長様があんなに楽しそうに笑うなんて……さすがは神の御使いです!」
「いや、ただのお互いの利益のすり合わせ(要件定義)さ。それよりルナ、大きな山を越えたんだ。今日は少し贅沢に、美味いものでも食おう。何か食べたいものはあるか?」
「本当ですか!? ええと、それなら……あのお店から、すごくいい匂いがしますわ!」
ルナが目を輝かせて指差したのは、大通りの少し裏手にある、落ち着いた佇まいのレストラン『銀の茨亭』だった。
入り口の黒板には「本日の王都風のコース」と書かれている。この地方の伝統的な料理を少しずつ上品に楽しめるらしい。
俺たちは店に入り、少し追加料金を払って静かな個室を通してもらった。
やがて運ばれてきたのは、色鮮やかな前菜から始まる美しい料理の数々だった。
メインディッシュは、香草で柔らかく仕上げられた白身魚と、濃厚なチーズのシチューだ。
「んん〜っ! お兄様、これ、お野菜が甘くてソースが口の中でとろけますわ! こんなに綺麗で美味しいもの、王宮の晩餐会でも食べたことがありません!」
「ああ、確かに美味いな。味が上品で、素材の旨味がしっかり活きている」
頬を押さえて幸せそうに微笑むルナを見ていると、過酷なテストプレイの疲れも吹き飛んでいく気がした。
色鮮やかなコース料理と、焼きたてのパン。食後の甘い果実水。
平和で満ち足りた食事の時間を終え、ルナが満腹感から少しウトウトし始めたのを見計らい、俺は深く息を吐いて目を閉じた。
――さて、リフレッシュ(休憩)は完了だ。
次は、俺の脳内に常駐している外部API……もとい、三柱の神々への『完了報告』を行わなければならない。
『……トール様、アルバス様、オルステッド様。通信は繋がっていますか?』
脳内チャット(念話)を起動し、呼びかける。
数秒後、通信のラグを挟んで、三つの威厳ある声が俺の精神に響いた。
『ガッハッハッハ! おお、我らが使徒フォージよ! 魂の繋がり《リンク》は良好だぞ!』
『ええ。あなたの魂の中に座しながらも、なぜか視界だけは遥か天上から見下ろすような不思議な感覚ですが……見事な戦いぶりでした』
――俺は思わず内心でため息をついた。
神々(ドライバ)は俺の魂《ローカル環境》に直接インストールしたはずなのに、なぜかカメラの座標設定だけが『天上からの俯瞰』になっているらしい。おそらくGMの奴が、無駄にトラフィックを食うおっちょこちょいな仕様を組んだのだろう。
『……して、フォージよ。あの廃坑の奥深く、我らが神託で伝えた【影の宰相】についての報告だな?』
気を取り直し、軍神オルステッドの問いに答える。
以前彼らから受けた神託は、『世界の魔力を裏で吸い上げる邪悪な影(影の宰相)の調査と排除』だった。
『はい。その件での情報のすり合わせ(振り返り)です。結論から言いますと、対象は魔王の配下などではありませんでした。彼は、この世界の魔力循環の不具合によって生じた魔力溜まりから発生した、悲しき世界の歪み《システムエラー》だったんです』
『な、なんと……! 魔王の邪気ではなく、世界そのものの歪みから生まれた存在だったと!?』
『はい。ですから俺は、彼をただ滅ぼすのではなく、地下の管理者として再定義し、権限を与えました。現在彼は、地下で魔力循環の正常化タスクに従事しています。もう表の世界に悪影響を及ぼすことはありません』
俺の報告に、脳内の神々が息を呑む気配が伝わってきた。
『ガ、ガッハッハッハ! おい聞いたかアルバス! こいつは世界の歪みそのものを、己の配下として再構築しやがったぞ!』
『……信じられません。我々高次元の存在ですら干渉しきれなかった深淵の理を、そこまで鮮やかに書き換えるとは。確かに今、王都周辺の魔力の澱みが、嘘のように澄み渡っていくのを感じます』
『うむ。見事な采配だ、フォージ。お前のその特異な力は、我々の想像を遥かに超えているようだな』
神々からの絶賛の嵐。
だが、俺はPMとして浮かれることなく、次のタスクを見据えていた。
『ありがとうございます。ですが、これで全てが解決したわけではありません。今回の件で、この世界にはまだ俺たちの知らない未知の異常が潜んでいる可能性が高いことが分かりました』
『うむ、その通りだ。魔王の復活の兆しも、未だ完全に消えたわけではないからな』
『ええ。だからこそ、俺たちはさらなる探索と防衛のための【前線拠点】を構築し、最高の装備(星鉄の剣)を調達するつもりです。引き続き、サポートをお願いします』
『応とも! 我らの力、いつでも呼び出すがいい!』
力強い神々のバックアップ(確約)を得て、俺は脳内通信を切断した。
ゆっくりと目を開けると、向かいの席でルナが気持ちよさそうに微睡んでいた。
彼女のこの平穏な寝顔(日常)を守るためにも、俺のシステム構築(冒険)の歩みを止めるわけにはいかない。
資金稼ぎ、装備の調達、そして拠点探し。
やるべきタスク(課題)は、まだまだ山積みだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
今回は激務の後のちょっとしたご褒美、ルナとの美味しいお食事回でした。王道ファンタジーらしい、色鮮やかなコース料理にルナも大満足のようです。
そして、神々への事後報告(オンライン定例会議)も無事に完了! フォージのPMとしての手腕に、神様たちもタジタジのようです。
さあ、次回はいよいよ次のプロジェクトに向けた「王都の地理解析」に入ります。
そこでフォージは、とんでもない「イレギュラー(?)」を発見することになり……!?
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