【第4章】第11話:準備運動と、隠された領域
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無事に廃坑の内部へと足を踏み入れたフォージとルナ。
序盤の魔物たちを危なげなく掃討していく二人でしたが、その順調すぎる道のりに、脳内の神様たちから不満の声が上がり始めます……。
北の廃坑の浅い階層は、拍子抜けするほど順調だった。
現れるのは、先ほどの巨大蝙蝠や、粗末な棍棒を持ったゴブリンといった低級の魔物ばかり。
「せいっ! やぁっ!」
ルナの鉄のレイピアが鋭く瞬く。その見事な剣筋は、とても昨日まで魔力を暴走させていた少女とは思えない。
俺自身も、ただの「重い鉄剣」の重心を正確に把握し、長年の剣術による無駄のない足運びだけで、敵の急所を的確に斬り捨てていく。
『おいおいフォージ、本当に異常事態とやらが起きてるのか? 俺の雷が退屈で腐っちまうぜ』
『トールの言う通りだ。これしきの雑魚、貴様の研ぎ澄まされた剣技の前にはただの案山子に過ぎんな。気配を消すまでもない』
脳内で、雷神トールと戦神オルステッドがぼやいている。
(まあ待て。これもこの世界の物理法則を確かめる重要なテストだ)
神々を宥めながら進むうち、俺たちは坑道の最下層と思われる、広い採掘場へと出た。
そこはドン突きになっており、周囲には崩れた岩と古びたトロッコの残骸が転がっているだけで、これ以上の通路は見当たらなかった。
『生体反応、ゼロ。……マスター、どうやらここが行き止まりのようです。異常発生の調査としては、これでも十分なデータが取れたかと』
(いや……待て。何かおかしい)
ギルド長がわざわざ緊急封鎖するほどの異常事態だ。この程度の雑魚しかいないはずがない。
俺が壁の岩肌を睨みつけていると、今度は理知的な声が脳内に響いた。
『……ふむ。我が目には誤魔化せんぞ、フォージ。そこのドン突きの壁、魔力の流れ(テクスチャ)が不自然に歪んでおる』
(アルバス様か……! やっぱりな)
俺は賢者の助言に従い、ドン突きの壁に手を当てて『解析』を実行した。
……ビンゴだ。ただの岩壁に見えるが、高度な幻惑魔法と物理的な偽装が施された『隠し扉』になっている。何もないように見せかけて、真の異常はこいつの奥に隠されているわけだ。
「お兄様?」
「ルナ、下がっていろ。少しだけ、こいつの構造を書き換える」
俺は自身の魔力を壁の内部に浸透させ、アルバスから授かった基本スキル――【再錬】を静かに発動した。
岩の分子構造を一時的に軟化させ、強引に「扉」の形へと再定義する。
ゴゴゴゴォォ……ッ!
重い地響きと共に、ただの岩壁だった場所が左右に割れ、未知の冷気を漂わせる『隠しダンジョン』への入り口がぽっかりと姿を現した。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
神々からは「退屈だ」とクレームが来るほどの余裕を見せていたフォージですが、最下層で行き止まりに。
しかし、賢者アルバスのアシストもあり、怪しい壁を「解析」。基本スキルである【再錬】を使って、見事に隠し扉を開きました!
何もないと思われていた坑道の奥に隠されていた、未知の領域。
果たしてこの奥には、どんな危険が待ち受けているのでしょうか? 次回、いよいよ本格的なバトルが始まります!
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