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【急募】PM(プロジェクトマネージャー) ワールドリフォージ(世界の理は、一生懸命なドジっ子AIでした)  作者: S.フォージ
【第4章】 秘匿領域(サンドボックス)の展開と、軍勢(リソース)のインポート

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【第4章】第6話:二人の自分と、寝る前5分の内なる対話

いつもお読みいただき、ありがとうございます!第4章・第6話です。


ルナが「ZONE(拡散集中)」を身につけるための特訓。

フォージが教える『寝る前たった5分のルーチンワーク』とは、一体どんなものなのでしょうか?

 夕食を終え、それぞれの部屋で休む前のこと。

 俺は自分の部屋で、ルナに向かい合って座っていた。


「さて、それじゃあ約束通り、今日から『ZONE』に至るための特訓を始めるぞ」

「はいっ! ルナ、木剣の素振りでも、腕立て伏せでも、なんでもやりますわ!」


 鼻息を荒くして立ち上がろうとするルナを、俺は手で制した。


「ストップだ。ルナ、お前は今『強くなるために、練習やらなきゃ!』って思っているだろ?」

「えっ? は、はい。お兄様のお役に立つために、もっともっと頑張らなきゃって……」

「その『やらなきゃ』という強い思い込みが、今のルナを縛り付けている一番の原因なんだ」


 俺の言葉に、ルナはポカンと口を開けた。

 俺は彼女の目を見て、ゆっくりと語りかける。


「いいか。人間の心の中には、『二人の自分』がいる。一人は『ああしろ、こうしろ』と理屈で命令してくる、親や上司のような自分。そしてもう一人は、その命令に従って身体を動かす、子供のような自分だ」


 俺は自分の頭と、胸のあたりを順番に指差した。


「ルナの頭の中では今、親の自分が『練習しなきゃダメだ!』って大声で怒鳴っている状態だ。そうすると、身体を動かす子供の自分は萎縮してしまって、本来の力を半分も出せなくなる。無意識のうちに身体にブレーキがかかってしまうんだ」

「私の、心のなかの子供が……萎縮している……?」


「ああ。だから、これからお前が毎日寝る前の『5分間』にやるべきことは、筋トレでも素振りでもない。自分の内側にいる、その子供の声……つまり『本能』の声を、ゆっくり聞いてやることだ」


 俺はルナをベッドの端に座らせ、目を閉じさせた。


「肩の力を抜け。そして、頭の中でうるさく命令してくる『やらなきゃ』という理性の声を、一度全部頭から追い出せ」

「……はい」

「そうしたら、今度は自分の身体の奥底に問いかけるんだ。お前は今、本当は何がしたい? 何をしている時が一番楽しい? ……剣を振ることでもいい。甘いものを食べることでも、ただゴロゴロすることでもいい。本能が『好きだ』『やりたい』と叫んでいる感覚だけを、5分間、静かに見つめるんだ」


 静寂の中、ルナの小さな胸がゆっくりと上下する。

 だが――数分も経たないうちに、彼女の眉間にはギュッと力強いシワが寄り始めた。

 握りしめられた小さな拳が、かすかに震えている。


「……うぅん……」

「どうした、ルナ」


 俺が静かに声をかけると、ルナはハッとして目を開け、申し訳なさそうに俯いた。


「お、お兄様……ごめんなさい。私、心の中の子供の声が、全然聞こえません……」

「聞こえない?」


「はい……。『何がしたい?』って自分に聞いても、すぐに頭の中のもう一人の私が『そんなこと言ってる場合じゃない! 早く強くなってお兄様の役に立たなきゃ!』って、大声で怒鳴りつけてくるんです。その声がうるさくて……自分が本当は何をしたいのか、全然分からなくて……っ」


 ルナの瞳に、悔しそうな涙が滲む。

 俺は、小さく息を吐きながら微笑んだ。そして、彼女の頭を優しく撫でる。


「よしよし。それでいいんだ」

「えっ……? でも、全然できてないのに……」


「最初はそんなもんだ。むしろ、お前の頭の中で『やらなきゃ』という声がいかに大きくて、本能を押し潰しているかが自覚できた。それだけでも、今日は大成功なんだよ」


 俺の言葉に、ルナは涙ぐんだ目を丸くして俺を見上げた。


「俺だって、昔はこの感覚を掴むまでに何ヶ月もかかった。最初から心の中の『二人』が仲良く手を取り合える奴なんて、そうそういないさ」

「お兄様も……時間がかかったのですか?」


「ああ、焦りやプレッシャーで空回りばかりしていた時期があったさ。だから焦る必要はないんだ。今日、お前は心の中の子供の声を『聞こう』とした。まずはそれで十分だ」


 俺はルナの背中を、ポンポンと軽く叩いた。

 

 俺の正体は別世界から『同期』したしがないエンジニアだが、今は『フォージ』というキャラクターを生きるプレイヤー(探索者)だ。

 自分が現実世界で重ねてきた泥臭い鍛練の記憶を、このファンタジー世界における『冒険者フォージの過去の経験』として語る分には、ロールプレイとして何ら矛盾はない。


「この特訓は、すぐに結果が出る魔法じゃない。でも、毎晩寝る前の5分間、この対話を根気よく続けていけば……いつか必ず、理性の『やらなきゃ』と本能の『やりたい』がピタリと一致する瞬間が来る。その時、お前の剣は一切のブレーキがなくなり、勝手に最高の動きをするようになるんだ」

「いつか必ず……」


「そうだ。俺たちが戦うのは明日や明後日じゃない。長い目で、のんびりやっていこう」

「……はいっ! ルナ、毎晩少しずつ、自分の心とお話ししてみますわ!」


 ルナの顔から、さっきまでの張り詰めたような緊張が解け、柔らかい笑顔が戻った。


 よし。これでメンタル・チューニングの『土台作り』は完了だ。

 明日からは、この寝る前のルーチンワークを続けさせつつ、昼間は実戦形式の技術を少しずつインストールしていくとしよう。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!


フォージが教えた「寝る前5分のルーチンワーク」。

それは激しい筋トレではなく、心の中の「二人の自分(理性と本能)」のバランスを取り、本能の声を味方につけるという、非常に実践的なメンタルトレーニングでした!


しかし、焦りでいっぱいだったルナは、初日から完璧にはできませんでした。

「最初はできなくて当然。長い目でのんびりやっていこう」

TRPGのなりきりプレイヤーとして、自身のリアルな経験を「フォージの過去」として自然に語り、焦るルナの心を優しく解きほぐしていく。大人の余裕が光るワンシーンです。


メンタルの土台を作り始めたルナ。

次回からは、いよいよ王都でのクエストや、更なる装備の充実へと動き出します!

「面白かった!」「この特訓、自分もやってみる!」「フォージの優しさに泣けた!」と思っていただけましたら、ぜひ下の【☆】から評価(RPカンパ)をお願いいたします!

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