【第3章】第5話:神々の降臨と、世界を蝕むバグ(影の宰相)
いつもお読みいただき、ありがとうございます!
前回、見事なアドリブで「過去ログ」を書き換え、見事な伏線回収を見せたフォージ。
今回はついに、彼の脳内に常駐している「3柱の神々」をルナに引き合わせます。
なぜ神様がまとめて3人も出現したのか?
その行き当たりばったりだった設定が、フォージの手によって「極上の王道シリアス」へと昇華される瞬間をお楽しみください!
「だからルナ。俺たちはまず、俺たちだけの『力』を、そして戦力を整えるための『準備』を始めなければならない。……まずは、紹介する人たちがいる」
「えっ……? お、お兄ちゃん……?」
俺がルナの手をギュッと握ると、彼女はビクッと肩を震わせ、瞬く間に耳まで真っ赤に染め上げた。
「そ、そんな急に手なんて繋いで……紹介って、まさか……わ、わたし、心の準備が……っ!」
何か壮大な勘違い(ヒロイン的思考)を加速させてモジモジし始めたルナに対し、俺は容赦なく管理者権限を叩き込んだ。
『同期!』
「ひゃうっ!?」
ルナが小さく悲鳴を上げた。
直後、二人の繋いだ手を通じて、ルナの脳内に直接『局地通信網』へのアクセス権限が付与される。
『……ひぃっ! マ、マスター!? ただの一般NPCであるルナ様に、神界サーバーへの直接通信を許可するんですか!? セキュリティがガバガバになりますよぉっ!』
裏側でゼノンが悲鳴を上げているが、接続はすでに完了している。
「遅くなったが、俺たちの道しるべになってくれる方々だ。ルナ、ご挨拶を」
俺が促すと、共有された仮想空間に、強大な3つの存在感がポップアップしてきた。
『ガッハッハッハ! 声が届いたようだな! おお、お前がフォージの言っていた自慢の妹か! 俺は雷神トール! よろしくな、嬢ちゃん!』
脳内に直接響く大音声と共に、筋骨隆々で雷を纏った豪傑がニカッと笑う。
『……ふむ。細腕だが、底知れぬ魔力を秘めている。良い器だ。俺は戦神オルステッド。お前の兄には幾度も世話になっている』
続いて、鋭い剣気と闘志を放つ、傷だらけの屈強な神が腕を組んだ。
『まったく……人間の分際で、神域への『念話』を強引に繋ぐなど。相変わらず無茶苦茶な兄様ですね。初めまして、小さき勇者よ。私は賢者アルバス。お二人の知恵の導き手となりましょう』
最後に、無限の書物を背負った神秘的な賢者が、呆れたように、しかしどこか楽しげに微笑んだ。
「か、神様……っ!? 本物の神様がお兄ちゃんの頭の中に!?」
ルナは目を白黒させながらも、すぐさま居住まいを正し、俺の手を両手で包み込むようにギュッと握り直して深々とお辞儀をした。
「は、初めまして! ルナです!
いつも……その、お兄ちゃんが大変お世話になっておりますっ! うちのお兄ちゃん、すっごく強くてかっこいいんですけど、ちょっと無茶しちゃうところがあるので、どうかこれからも見守ってあげてください……!」
『おおっ! 礼儀正しい良い子じゃねえかフォージ!』(トール)
『うむ。兄を想う心、見事な忠義だ』(オルステッド)
『フフ、可愛らしいこと。ですが……少し過保護すぎやしませんか?』(アルバス)
神々もルナの挨拶を大いに気に入ったようだ。
よし、これで外部APIとの顔合わせは完了した。
あとはこの場を利用して、シナリオの要件定義を済ませるだけだ。
「いいかいルナ。これから受けるギルドマスターからの依頼は、ただの依頼じゃないんだ。トール様たちから神託をいただき、導かれた依頼なんだ」
「し、神託……っ!?」
「そうですよね? トール様」
俺は脳内チャットに向かって、真剣な声音で問いかけた。
「相手の大まかな戦力はわかりますか? このままの装備で大丈夫でしょうか?」
『ガッハッハッハ! よくぞ聞いたなフォージ! お前らのそのナマクラや木剣じゃあ、これから待ち受ける過酷な戦いには到底耐えられねえ!』
トールの豪快な笑いに続き、賢者アルバスが静かで威厳のある声を響かせた。
『さよう。我らがなぜお前たちの精神に直接語り掛けたのか……それは、この世界に巣食う、極めて淀んだ邪悪な気配を察知したからに他なりません』
「邪悪な、気配……?」
『ええ。世界の魔力を裏で密かに吸い上げ、己が野望のために蓄える邪悪な影……。我々神の世界では、奴を【影の宰相】と呼んでいます』
(よし! ここで大ボスの名前が出たな!)
俺は内心でガッツポーズをした。
TRPGにおける最大の敵「影の宰相」を、神々が検知した「世界の致命的な不具合(メモリリーク)の元凶」としてこの場で強固に定義づける。
『その【影の宰相】の痕跡に繋がる最初の手がかり……それこそが、お前たちがこれから向かうギルドの長が抱えている厄介ごとというわけです。我々がここへ導いたのですよ』
「そうだったんだ……! 神様たちが、わたしたちを……!」
ルナの瞳が、使命感でキラキラと輝き始めた。完全に「世界の命運を背負った勇者」の顔だ。
(よし。ルナのモチベーションは最高潮だ。なら、ここからさらに踏み込んで、世界観の最適化を一気に片付けるぞ)
俺はルナの肩に手を置きながら、神々に向かって恭しく、しかしはっきりとした意志を持って口を開いた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
行き当たりばったりで神様が3人も付いていた初期設定が、フォージの手によって「神が直接干渉できない世界のエラー(影の宰相)を調査するための依頼」という、激アツな王道シナリオへと上書きされました!
そして次回、歴戦のTRPGプレイヤーでありエンジニアであるフォージの「要求(要件定義)」が爆発します。
彼が神々に突きつけた、前代未聞の「3つの願い」とは?
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