1-C組イジメ事件④「心の話」
ーー翌日 部室にてーー
「何か気づいたみたいだね」
星野は私の目を見て意味ありげに微笑んだ。
この顔をする時の星野はもう結論を出していることがほとんどだ。
「星野。君はいつから」
私が言い終わるかのところで食い気味話す。
「ここに来た時にだ。ここに来た時に考えはすでに出来上がっていた。確信は持てなかったが昨日彼女の家を少しだけ観察してこれが確信に変わったのだ。」席から立ち上がり紅茶を持ってくる。香りを嗅ぎ一口飲む。
「君も気づいたみたいだねこの話の矛盾点に。少し聞いてみたいな。」
「まあ、君みたいにうまくいっているとは思わないが私なりに考えたつもりだ。」
「聞かせてくれ。」
星野の言葉を聞いて、私はホワイトボードに名前を書き出した。
「まずこの依頼人である細野さんなんだがなんで話す相手を探偵部にしたのか気になった。話し相手は別に私たちでなくて良いからね。でも何で今回彼女はここに依頼したのかだが。私は最近こんなことを耳にしたんだ。それは少し懐かしい毛糸事件の直後だった。」
ーー2ヶ月前ーー
私はこの日図書館で課題に取り組んでいた。
すると後ろの方でカップルであろう2人がひそひそと話していた。
「なあ、この前の亀田の件聞いたか。」
軽い世間話のように男は彼女に質問した。
「えー私違うクラスだよ。でも話聞くなぁ。なんだっけ佐伯って不良にやられてたんでしょ。」
訂正するよう彼氏のほうが身を乗り出して
「違う違う。実は違ったんだ。佐伯に見せかけて岸田ってガリ勉が佐伯を陥れるためにけいかくしてたんだよ。お前疎いなあホント。」
彼女は「えー」と、少しムッとした顔を見せたが、この疎いらしい彼女ですらも私たちの事件の少しの部分を知っていたのだ。
ーー現在ーー
「この事から、我が探偵部は紅川高校の中でなかなかの影響力があると考える。今回の依頼人はここを狙っていたのかもしれない。」
言い終わると星野は手を叩いた。
「素晴らしい。いや本当に素晴らしい推理だ。」
私はその言葉を聞き得意げな顔をした。
「で、きみはこの依頼人についてどう思う。」
「策士だね。」
「違う。」
遮られ私はいつもの表情に戻った。
「では何だって言うんだ」
「これは頭の問題じゃない。心の問題なんだ。」
星野は窓に向かって歩みを進めた。




