24. その"はいはい"は閃光の如く
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「俺、変態なんだ。
ユリシアみたいな可愛い女の子のことをママだと思っちゃうっていう変態スキル持ちでさ……。
しかも、それが行き過ぎると理性が働かなくなるの。
ほんと、最低だろ?
最低だよな、こんなスキル持った人間。
だから、あの時、君を襲ったんだ。
我慢できなくて……」
ユリシアは驚きの表情を隠せないようだ。
はぁ、こんなときに俺は何を言ってんのかね。
情けないな、全く。
「君は自分のことを変な子だと言ってたが、そんなの可愛いもんだよ。
本当の変態は俺だ。
でもな、普段はなんとかして抑え込んでたんだ。
君に嫌われたくないから、もう人に恐れられたくないから。
友達になりたかったから。
でも、今日、そんなクソみたいなスキルに初めて感謝できるかもしれないんだ。
この力を使って、君を救うことができるなら。
きっと君は今から俺がすることを見て、俺のことを軽蔑して顔も見たくなくなると思う。
だが、君を救えるのならそんなことはどうでも良くなった!
君は俺にとって命の恩人だ。
けれど、それより、なにより、俺は君の笑っている顔が好きだから!
いつも直向きに頑張っているユリシア。
不意に見せる照れた表情のユリシア。
人のために勇気を出せるユリシア。
全部、大好きだからだ!
君にはこれからもずっと笑顔でいてほしい。
そのためだったら俺はなんだってできる。
そう今、思えたんだ。
だから、君とはもうお別れだ。
ありがとう、ユリシア。
……元気でな」
そう俺が言い切るとユリシアの顔が徐々に青ざめていく。
「やめてぇ!!!!!!!!」
ユリシアは叫ぶ。
俺の語り口から、俺が自爆でもするんじゃないかと思ったのだろう。
己の死を持ってこのけむくじゃらを倒すのだと。
……まあでも、半分は合ってはいるか。
これが、社会的な死になるのだから。
よし。
出番だぞ、腐れ赤ん坊。
悪いがお前の力が必要だ。
天変地異でも引き起こし得るあのバグみたいな力が。
とにかく俺は、自分が赤ちゃんになることを想像し出した。
今まで全力で制限していたリミッターを解き放つ。
赤ん坊としての自分を考える。
無防備で、ただ母親に甘えるだけの存在。
全肯定され、感情のままにその母性に埋もれる。
そんな、赤ちゃんになることを想像していく。
「ママ、ママ、ママ……」
そう呟きながら俺は全身を立ち上げることに成功する。
すでにほとんどの身体のダメージが修復されつつあった。
さっきまで半分屍だった俺が突然立ち上がり何かぶつぶつ言い出したため、ジャイアントエイプを不思議そうな目をする。
ユリシアもその様子を硬直して見守るしかできないようだ。
見てな、今俺の中の赤ん坊が目を覚まして、全て解決してやるからな。
目を閉じて集中する。
生まれたての赤ちゃんにとって、世界とはママだ。
赤ちゃんはママを求める。
ママの安らかなる声。
匂い。
そして乳。
「ママ、ママ、ママ、ママ、ママ……」
想像するんだ。
「おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい……」
自分の中の幼児性を。
そして、求めろ。
「ママのおっぱい、ママのおっぱい、ママ、ママ、ママ……」
己のママを!!!!
「「ママのおっぱいが飲みたいぃぃぃ!!!!!!!!!!!!」」
静かな洞窟の中を、俺の雄叫びがこだまする。
ジャイアントエイプは呆気に取られている。
ユリシアはまだ理解が追いついていないという様子で口をぽかーんと開けたままになった。
今、この中で事態に気づいているのは、俺だけだ。
この短時間で、俺が全く別の存在に切り替わったことに。
ジャイアントエイプは突然大声で叫んだ俺に驚き、手にユリシアを握ったまま俺に向かって突進してくる。
さっきまでの俺だったら何のしようもなくまともに当たり、見るも無惨な姿にされていただろう。
しかし、もう、俺は俺じゃない。
「……グァゴ?!!」
ジャイアントエイプの突進、速さはスポーツカー並みだ。
それを生身でスッとかわす俺。
「グァ?!」
それも四つん這いになってはいはいで。
そう、俺はなってしまっていたのだ、赤ちゃんに。
「ばぶ」
よう。また会ったな、クソガキ。
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