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18. 選択

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「俺が行く。

ピンプ、その巣の場所っていうのはどこだ」


ニーナがむせび泣き、周りにいる村人は絶望しきっている中、俺は前にピンプの前に出た。

ピンプは慌てて俺を止める。


「ちょっと待てはいと!

お前、自分の立場分かってるのか?!

お前は王国から追われる身、夕方の馬車に乗り遅れたらいつ捕まってもおかしくないんだぞ?!

次捕まったら今度こそ2度と娑婆の空気を吸うことが出来なくなるかもしれねえんだ。

よく考えろ。

お前は単なる旅人であって、この村の部外者だ。

俺はお前に残酷な選択を突きつけないとならない。

ユリシアって娘のことはあきらめるんだ」


「……は?」


「確かにお前の気持ちは分かる。

あの娘は可愛いしな。

目の前でこんな状況になったら助けたくなるのは無理ないだろう。

けどな、はいと。

お前はもっと自分自身の問題と向き合った方がいい。

他人を優先して、後で泣きを見るのはお前だぞ?」


俺はピンプに言い返そうと睨む。


「ユリシアは他人なんかじゃない!

俺にとってユリシアは家族だ!」


ピンプはそれを鼻で笑う。


「家族?

笑わせてくれるぜ。

お前さん、その娘と知り合ってからまだ1か月も経ってないだろ。

それを家族とは思い上がり甚だしいとは思わねえか?」


「関係ない! そんなの……。

ユリシアは俺の命の恩人なんだ!

ユリシアを見捨てるなんて俺には……絶対できない!」


「そうは言うがな……。

じゃあお前はこの絶好の機会を諦めて、一生その変態呪縛と付き合う覚悟があるってことだな?

今日の馬車に乗れなかったら、こんな機会もうないかもしれないんだぜ?」


「そ、それは……」


幼児退行の呪いをこのまま背負い続けるなんて、地獄としか言えない。

「はいと、俺はお前を買ってんだ。

お前といると事件に事欠かねえ。

だからな、俺はお前にこれからも良くも悪くも活躍してほしいんだ。

旅人にとって出会いと別れは切ってもきれない。

冷静になってみろ。

お前はたまたま巡りついたこの田舎の村で1か月程度潜伏していたにすぎない。

その間に仲良くなった娘なんてこれからの人生全部で考えたらちっぽけな存在だと思わねえか。

これはここの村の奴らの問題なんだ。

そいつらが解決すればいい。

気にしすぎんな。

ま、つまりは俺はお前にもうちっと生きて厄介事で世界を引っ搔いてほしいってことだ」


「……俺は」


子どもの様に泣きそうな顔になっているのを誰にも見られない様、地面をただ睨め付け、言葉を紡ごうとする俺。

その俺の背中に怒号が突き刺さる。


「おいはいとぉ!!

あんた、さっきのことがあってようのこのこ戻って来れたなぁ!!

どつきまわしたろか! この痴漢野郎!!」


ダクトに押さえつけられたニーナは憂さ晴らしとばかりに俺に当たる。


「それは本当に悪かった。

悪かったが、俺にもどうしようもなかったんだ……」


「何言うてんねん!

ユリシアにひどいことしおって!!

あんたが来てから魔物は出るわ、ほんま、最悪なことばっかやで!!」


俺はニーナの罵声を浴びるしかなかった。


「すまん……」


「ほんとや!!

全部お前のせいや!

ユリシアがいないのだって、お前が絡んでるんとちゃうか?!

なあ!!」


ニーナは殺意の目で俺を睨みながらダクトに押さえつけられた両腕を振りかぶり続ける。


「おいっ!

落ち着けっ、ニーナ!」


ダクトが必死に藻掻きながら言う。


「うっさいわダクト!

全部こいつが悪いんじゃ!

……だからな」


そう言うとニーナは突然抵抗を止め、静かな口調で言う。


「お前が、お前が助けろや。

ニーナのこと、お前が助けなあかん。

でなきゃおかしいやろ。

ユリシアは何のためにあんたのこと……」


「ニーナ……」


俺はゆっくりとニーナの方を向く。


「はいと、聞くな!

お前にゃお前の事情がある!

こんな御託に負けちゃいけねぇ。

さっさと村を離れるぞ!」


ピンプは焦って俺を諭す。


分かってる。

分かってるよ、ピンプ。

なんだかんだでお前がお人良しだってことは。

こいつは本気で俺のことを心配してくれてるんだ。

そして、それは間違いじゃない。

冷静に考えれば今の俺は間違っている。

王国に命を狙われている状況で、知り合って1か月の田舎の村の女の子のために全てを投げ出すなんてありえないことだ。

馬車を逃して、せっかくの身逃げのチャンスを逃してしまったら、一生このままクソッタレ呪いのせいで人生を棒にふるうのだろう。


だから、俺がこれからする行動はただ一つ、この不幸な村の姉妹を見捨て、馬車の停留所は駆け出すんだ。

それで、全てが終わる。

後は村人でどうにかすればいいんだ。

よそ者の俺には関係ない。

分かっているじゃないか、俺。

そうだ。

その足を進めろ。

ニーナの顔なんか見るな。

俺がやってしまったこととはいえ、彼女から見て俺はもはや敵でしかないんだ。

言葉なんて聞く必要ない。


だから……。


「俺は……」


「?」

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