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17. 痴漢か救世主か

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「お前、こんな時に何言ってやがんだ!!」


ダクトは鬼の形相でピンプに掴み掛かる。

それを身軽に交わすピンプ。


「商談の場で暴力はナシだぜ、ダンナ」


「この野郎!!」


火に油とはまさにこのことだ。

ダクトは相手を完全に敵対視し、取り返しのつかないところまで来ている。

ピンプに再度飛びかかろうとしたその時。


「待たんかい!」


このいざこざをkoゴングの如くいなす絶叫。


ニーナだ。


ダクトの横から出てきてピンプの前に立つ。


「あんたの言うとるその情報、価値は確かなんやな」


ニーナは少しも怯まず、むしろ相手を怯ますような様でピンプの鼻っ柱を見る。


「あ、ああ。

お宅の娘さんに繋がると断言はできないが、手がかりであることは確かだ」


さっきまで余裕そうだったピンプだが、取り繕うとしても相手の気迫に押されているのが誰にでも分かる。


そして、音もなくニーナの正拳突きがピンプの胸元を突く。


「!?」


と、思いきや、すんでのところでその拳が開かれる。


中には硬貨が握られていた。

呆気にとられていたピンプだったがすぐにニーナの意思に気付き、コインを受け取りその枚数を数え始める。


「……確かに」


ピンプはそう静かに言う。


「お、おい?! いいのかよ? こんな卑怯な真似で踏んだくられて」


ダクトはそうニーナに尋ねる。


「ありがとうな、ダクト。

でもな、ええに決まっとる。

ユリシアに替えられるもんなんてない」


「そうだな……。

そりゃそうだ」


ダクトは自分の身を引く。


「それじゃあ教えよう。

さっき俺は、はいととの待ち合わせ場所からここに来るまでに珍しいものを見た。それは……」


皆が喉をゴクリと鳴らす。


「それは、魔物の巣だ」


それに反応したダクトが不思議そうに口を出す。


「魔物の巣? この辺りでそんなもの見たことねえぞ」


それをピンプが制す。


「ああ、糞の量から察するにかなりの新設でおそらく昨日今日でできた代物だ。

大きさはこの家を飲み込むほどにはでかい洞穴だぜ」


そう言ってピンプはユリシアの家を指す。


「なに?! そんなデカブツがこの近くに?!」


ダクトは驚きを隠せない。


「ああ。巣がでかけりゃ主人もでけえ。

6,7メートル級のバケモン。

そして俺はあの巣穴に心当たりがある。

あれは、ジャイアントエイプ。

超大型魔物だ」


「な、なんだと……?!」


ダクトは絶句する。


話についていけず、たまらず俺は横槍を刺す。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。

世間知らずで申し訳ないんだが、超大型魔物ってなんだ?

そんなにやばいのか?」


ダクトは答える。


「ああ、こないだお前が倒した化けガエルの比じゃねえ正真正銘のバケモンだ。

デカさも強さも訳がちげえ」


「そんな……。つまり、ユリシアは……」


「断言はできんが、その説もあるってことだ。

この小さい村で人が消えるってなると他に思い当たる節はねえだろ……」


ピンプそう物憂げに言う。

辺りに絶望的な空気が漂う。


な、なんなんだよ。

その超大型魔物って……。

みんなの気迫が完全に消えるほどのもんなのか……?

存在を聞かされた人々の様子を言うならば、牧場に狼が一匹現れた時の羊そのもの。

無力であることを自覚し、その絶望感によって立ち向かおうともしない。


そんな中、1人の女性が森に向かって音もなく駆け出した。


ニーナだ。


「おい、待て!

ニーナ!

いくらなんでも敵うわけねえ!」


ニーナの初動に気づいたダクトは羽交締めにし、ニーナを制す。


「離せやダクトぉ! ウチがっ……、ウチが行かんと……。

あの娘は……!!」


ジタバタと暴れるニーナの頬には涙が滴っている。

それを静かに押さえ続けるダクト。


「俺だって……俺だってユリシアを子どものように思ってんだ!!

けどな……お前のことだって同じくらい大切なんだ!!

今お前を離してジャイアントエイプの元に行かせるのは見殺しと変わんねえ。

そんなの、俺には出来ねえ!!

許せニーナ!」


「うるさいわっ、ドアホ!!

ユリシアが……ユリシアがぁ!!!!」



ユリシア……。

今、無事なのか……。


家で1人休んでいたユリシアが森で魔物と遭遇する理由。

俺はそれに心当たりがあった。

あの時、喧嘩別れした俺たち。

ユリシアはベッドで休みながら、俺を行かせたことを後悔し、そして……。


俺 を 追 っ て 森 に 入 っ た。


そこでジャイアントエイプと遭遇し、行方不明に……。


全て、俺のせいじゃねえか……。


そう気づいたとき、考えるより先に体が動いた。


混沌とした状況の中、俺は天に向かって手を伸ばす。


辺りにいる人間が全員、ギョッとしたように俺に注目し、時間が凍りつく。


「俺が……、俺が行く」


(続く)

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