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16. 商売人

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「ユリシアは……ユリシアはどこだ?」


俺はダクトに恐る恐る尋ねる。


「それが……いねえんだ、どこにも……」


俺は目を剥く。


「……は? いないって、どういうことだ」


ダクトは落ち着きなく話しだす。


「いや、それがな……、ニーナが言うに酒場までパーティ会場を見ないか誘ったらしいんだがユリシアは家で休みたいって言って1人ここに残ってたらしいんだ。

それで、ドレスの着付けしとかねえとってことで俺とニーナ2人でユリシアの様子見に来たんだ。

そしたら家がもぬけの殻になってた。

扉が開けっぱなしだったもんだから、周辺を確認してもいねえ。

それから村中をこうして探し回ってるんだが、どこにもいねえんだ」


今のダクトにはいつものような活力は感じられない。

ユリシアがいないという事実に完全に参ってしまっている。


「なぁはいとぉ!!」


ダクトは俺の肩をグッと強く掴む。


「うっ!」


「お前、ユリシアを見てねえか!

手がかりがあったらなんでもいい!

何か、何か知らねえか!」


「……知らない……」


その俺の言葉を聞いたダクトの顔の血の気が引いていく。


「そうか……わりい……」


ダクトは俺の肩から手を離す。


ユリシアが行方不明?

一体何故……?

この小さな村で身を隠すことなんて並大抵のことではない。

これじゃまるで神隠しじゃないか。


「魔物……じゃないか……?」


ニーナたちと一緒に探していた村人の1人が口を開ける。


「なんやと……?」


「こりゃ完全に魔物に襲われる人間のパターンじゃねぇか……。

最近、この辺で突然村人が行方不明になり、後から魔物に喰われた人間の残骸が見つかるっていう……」


「!?」


そう言えば聞いていた。

最近、魔物が人を襲う事案が急増していると……。

ユリシアがその被害者に……?

そんな……。


「そんな、そんなわけあらへん!

そんな……ユリシアぁ……」


ニーナは我を忘れ地面に崩れ落ち涙を流す。


もう俺がどうこうとか、そんな場合じゃない。

俺は……俺は何かできないのか。

異世界転生者なら普通、チート能力を何か貰うもんだろ。

転生ものの主人公には世界を救う能力を持っている奴らがいる中で、俺は自分に親切にしてくれた目の前にいる姉妹を助けることもできないというのか……。

俺は……。


俺たちの周りに沈黙が立ち込める。


「おいはいとぉ! お前、俺との約束忘れちゃいねえよなぁ?!」


その沈黙を斬り裂くような能天気な声が草むらから聞こえてくる。


「ピンプ? お前、あっちで待ってるって……」


「あんまりお前の帰りが遅いから心配してきてやったんだよ。

そんなに距離が離れてるわけでもねえしな。

で、なんともしんみりした空気が漂っているが、これは何事だ?」


「俺が世話になってた家の女の子が突然いなくなったんだ。

それで、村人みんなで今探している。

魔物に襲われたかもしれないって……。

なあピンプ、お前何か知らないか?」


俺の背後からダクトが話しかけてくる。


「おいはいと、誰と話してんだ?」


「げっ、まあ、グリーンレイクのもんじゃないし、顔が知れても問題ないか……」


ピンプはこうさんと言ったようにのそりと茂みから出てくる。


「俺の名はピンプ、しがない行商人だ。

はいととはまあなんだ、ビジネスパートナーとでも言うべきかな。

とにかくこいつは変なやつで金になりそうだから、俺たちつけて回ってるわけだ。

な? ギャリー?」


「ピュー!」


背負った荷物からギャリーが元気よく返事をする。


「そうか……俺はここの村人のダクトだ。

悪いが今は自己紹介をやってる場合じゃねえ」


「らしいな。

娘さんがいなくかったってな。

はいとが世話になったっていうとユリシアっていうあの可愛らしい子か。

すまんが、俺は何も知らん」


「そうか……」


ダクトは落胆して踵を返そうとする。

俺も心境は同じだ。


「だが、一つ手がかりになりそうな情報はある」


「なに……?!」


ダクトは歩みを止める。


「なんだ! その情報ってのは! 教えてくれ!」


ダクトはピンプの肩を掴む。完全に気が動転している。


「いてて。手荒な真似はよせ。

安心しろ。俺は逃げねえって」


ダクトはそう言われて手を離す。


「あ、ああ、そうだよな。

すまん……。

それで、情報っていうのは一体なんなんだ?」


「3000ゴールド」


ピンプは冷徹に言った。


「こいつ、この期に及んで金取るっていうのか?!」


ダクトはピンプの首根っこを掴む。


「お前急にどうしたんだよ……?

状況分かってないのか?

俺たち、仲間だろ……?」


俺もそれに加勢してピンプを捲し立てる。


「お前、街の商人の姑息さに辟易としていなかったか?

なんで仲間の友達が大変なことになってるときに金を稼ごうと思えんだよっ!!」


「はいと、確かに俺は街の碌でもねえ商人と一緒にされたくはねえ。

だがな、もう一度言おう。

俺は商売人だ。

仲間仲間と言われたとて、商売にケチつけられたくはねぇ。

そしてはいと、俺とお前は腐ってもビジネスパートナーだ。

この村の奴らとなんて関係すらねえ。

俺を動かしたくば、金を払いな」

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