遠征皇国編-19.偉そうにしているヤツは高いところが好きなんだよ
「賊が侵入したぞーーー!!」
「総員警戒態勢!!あらゆる手段を用いても構わん!!侵入者を殺せ!!」
カンカンカンッ!カンカンカンッ!
オレたちは皇城の正門から堂々と中へ強行突破をした!城内では警報の鐘が鳴り響き、そこら中で怒号が飛び交っていた。
どうもネボラの頭の中では正門を開けたら避難の人たちがなだれ込んで城内が大混乱になって侵入しやすい!って作戦だったようだが、実際はコイツが正門をめった斬りして壊してしまったことにドン引きしてしまって誰も入ろうとしなかったんだよなぁ~。
というわけで強行突破ってなったわけだ。まぁ、一般の兵士じゃオレたちを止めることなんてできねえけどな。
意外なことに城内には警備兵が多く残っていた。さすがに全員出撃なんてしてないってのはわかりきっていたけどな。
だけども···、
「おらぁ!必殺!ダイナミックスマッシュ!!」
「どけーー!必殺!クラッシュチャージ!!」
「押し流せ!ダイナミックウェーブ!!」
「しばらくしびれていてね~!ライトニング!!」
現在の隊列は前からアル、ルエル、そしてオレとネボラ、後方はレグスとフェアという状況だ。前方の敵はアルの魔力斧とルエルの魔力槍で、文字通り道を切り拓きながら進んでいる。
一方、後方のレグスとフェアは後ろからの追撃に対して魔法でけん制していた。レグスが水魔法で押し返し、そこにフェアが雷魔法を打ち込んで感電させて麻痺を起こして足止めをしてくれた。
おかげで進む速度はそこまで落ちることなく、軽く走る程度の速さで進んでいた!
「ネボラ!皇帝ってどこにいるのかわかってんのか!?」
「だいたいはな!偉そうにしているヤツは高いところが好きなのさ。だから、目の前のあの建物だな!」
「なんで高いところが好きなんだよ?」
「簡単なことだ。高いところにいたら自然と見下ろすだろ?人を自然に見下して自分が神になったような高揚感を得るためさ。まぁ、ここの皇帝は実際に異世界の神なんだろうがな」
「悪趣味な考えだな···。でもお前が女王やってた時はそうじゃなかっただろ?」
「私はそんなものには興味なかったし、修練場に近い場所が好きだったからだな!」
「お前も普通じゃねえな···」
でも、ネボラの予想は大当たりだった。大きな建物の前には重装備の兵士たちが待ち構えていたんだ!
「うむ。当たりだったな。あれは近衛だ。近衛がいるということは、ここに皇帝がいるのは間違いなさそうだ」
「お前の言うとおりだったな。んで?どう突破する?囲まれちまったけどさ」
今は大きな庭に出ていた。周囲は重装備の兵士たちに取り囲まれて少しずつ輪を狭めて包囲しようとしていたんだ。
「パパ、ママ。作戦通り先に行って。ここはボクたちに任せて」
「レグス?任せて大丈夫か?相手は魔獣じゃねえぞ。人相手だ」
「もちろん!ここの人たちはできる限り傷つけないようにしておくよ」
「···わかった。だけど、命の危険があったら躊躇なく命を奪え。いいな?」
「も~!パパは心配性だね!大丈夫!ボクたち4人が力を合わせればね!」
「そうよ!パパ!ママ!先に行って!」
「ここはおいらたちの出番だからさ!」
「そうだよ!おれたちをもっと頼って!」
「みんな···」
レグス、フェア、アル、ルエル···。まだまだ子どもなんだけど、本当に頼もしくなったなぁ~。着ぐるみフード付きパーカー着てるから緊張感がちょっとないのが感動に水を差してしまってるけど。
「よし!じゃあレオ!行こう!」
「···わかったぜ!行くぞーーー!!必殺!雷轟電撃!!どかねえと命ねえぞーーー!!」
オレは扉の前にいた重装兵を、扉もろとも吹っ飛ばした!重装兵は鎧着てるから命だけは大丈夫だと思うけどな。鎧は粉砕してやったけど。
そしてオレとネボラが建物に入った直後に扉の前にはレグスたちが立ちはだかった!
「ここから先にはしばらく行かさないよ」
「それまでおとなしくしててほしいんだけど···」
「まぁ、そういうわけにはいかねえよな」
「というわけで、おれたちの思いとそっちの思い、どっちが強いか勝負だ!」
建物の中には兵士はいなかった。どうやら中に入れるのを阻止することを目的としていたみたいだな。とても静かだった。
正面には豪華な階段があり、赤じゅうたんが敷かれていた。ここを上がりきったところに大きな扉があったんだ。どうやらここにファン皇帝ってのがいるんだろうな···。
「ネボラ。オレが相手する。相手は異世界の神だ。とんでもなく激しい戦いになるだろうから、危なくなったら逃げろよ」
「わかっている。それに···、どうも私も戦うことになりそうだ」
「いやだから···」
「おそらく、ラーラもいるぞ」
「···そういう事か」
「ああ。ラーラがいたら任せておけ」
「異世界の神かもしれねえぞ?いくらお前でも太刀打ちできねえぞ?」
「かもな。だが、私もあの人形兵器ともやり合ったんだ。ある程度時間を稼いだりファン皇帝との連携を妨害なんてイジワルぐらいはできるさ」
「ムリすんなよ?」
「それはお互い様だ」
そう言い合ったあと、オレとネボラはお互いの顔を見て···、
バシッ!バシッ!ガシッ!
お互いの右手同士を2回叩いてからガッチリと握手した。ちょっとした気合入れと無事に戻るためのおまじないみたいなものだな。これはテーパーでの兵士たちであった『お互い生きて帰ろう』という儀式のひとつらしい。
そして···、オレたちは扉を開けた。
大きな広間だった。いわゆる『謁見の間』ってヤツだな。これはネボラがいたテーパーにもあったが、こっちはなんというか···、きらびやかなかんじだな。テーパーは軍事国家だったから飾りっ気はあんまりなかったんだ。
そして謁見の間の奥の階段の上にある玉座には···、武装した皇帝が座り、その横に武装した女がいた。どうやらこいつがラーラらしい。
「そこで止まれ、無礼者。貴様らだな?我が計画を妨害するという連中というのは···」
「ああ。侵略だなんてバカな事考える連中をこのエーレタニアから追い出すのがオレの使命なんでね。まったく···、面倒かけさせやがって。おとなしく元の世界に帰るなら今のうちだぜ?2度とエーレタニアに来ねえって条件付きで見逃してやる」
「元の世界···、だと?そういう事か!貴様!この世界の神が創り出した生物兵器だな!?」
「その言い方には文句言ってやりたいところだが、お前らにとっちゃその通りだ」
「おのれ···!あの空飛ぶ兵器で散々な目に遭い、バレないように作戦を立てたというのに···!最も邪魔されたくないタイミングで貴様を送りつけてくるとは!この世界の神に私が泳がされていたというわけか!」
「へっ!悪い事を考えてる連中の考えなんざお見通しだ!」
いや···、エレはそこまで達観してねえんだけど?たまたま偶然オレがここにやって来たってだけなんだけどな···。まぁ、これ言っても聞く耳ねえだろうから言わねえけどな。
さて···、ここからが本番だ!
レオくんの子どもたちもだいぶしっかりしてきましたね!共有能力で経験値4倍といっても経験不足感は否めないので、力でゴリ押しな状況ではありますけどね。
そしてついにレオくんたちはファン皇帝のもとにたどり着きました。そこにはやはりラーラも姿もありました。予想通りグルだったってわけですね。
さて次回予告ですが、ここから皇国編のラストバトルが始まります!まずはレオくんがファン皇帝とやりあいます!ファン皇帝は何を思って今回の侵略を計画したのでしょうか?
それではお楽しみに~!




