遠征皇国編-18.着ぐるみ軍団、皇城襲撃!?
「(案外誰も気づかねえな)」
「(そんなものだ。まさかあの服屋で買った服がここまで役立つとはな!)」
オレたちは堂々と町中を歩いていた。格好はこの前ここで買った『着ぐるみフード付きパーカー』だ。
思いっきり恥ずかしいんだけど、ここまで誰にも気づかれずに歩けるなんて思いもしなかったんだよなぁ〜。
そして夕方前には皇城にあっさりと着いてしまったんだ···。今は正門の前だけど、門兵はまったくノーリアクション。オレたちを見ても何の反応もなかったんだ。
そしてちょっと離れてから、
「(おい?予定より早すぎるぞ)」
「(さすがにここまで順調よく来れるとは思わなかったからな···。とりあえず宿を確保するか?)」
「(宿ったって、この前の宿はムリだろ?)」
「(ほかにあるんじゃないか?探してみようか)」
とりあえずそのまま町中を歩いたが、宿らしい宿は一切なかった。どうもあの大きな宿しかなさそうだな···。
仕方ないので今日はテントを張って仮眠をとることにしたんだ。場所は町から離れた湖だ。さすがに町中でテントなんて張るわけにはいかないからな。
テントを張ったらすぐに夕食にして、すぐに寝ることにした。作戦は明日の早朝だ。と言ってもオレたちが動くのは応援が出払った後だから少しゆっくりできるな。
そして作戦決行当日の朝を迎える···。
「ふわぁ~~~。さすがにここまで戦闘の音は聞こえないな···」
「だいぶ壁から離れているからな。朝食を終えたら昨日の格好で向かうぞ」
「···え?まさかお前、あの格好で戦おうってか!?」
「ああ。フードをかぶっていれば顔を見られてもすぐに誰かなんてわからないだろ?それに皇国民に紛れて近づけるしな」
「マジかよ···」
皇城襲撃まであの格好かよ···。まぁ、作戦が成功すりゃいいか。子どもたちも気に入ってるようだしな。
そして朝食を終えて町へ向かう。すると···、そこそこの混乱が発生し始めていた。
「東街区の住民を避難させろーー!」
「こっちだ!急げーー!」
「ピムエムが新魔導兵器を使って壁を越えて攻撃してきたぞーーー!!」
「道をあけろーー!!応援部隊が通れんではないか!!どけーーー!!」
おお~!ロッコさんの作戦が成功したようだな!東街区って言ったらピムエムに一番近い地区だ。あの壁を越えて攻撃だなんて、すごいものを持ってたんだな!
「レオ。このまま避難する人たちに紛れて皇城へ向かうぞ」
「おう!みんなもはぐれないようにな!」
「うん!」
「パーカー着てるからすぐにわかるわ!」
「はぐれてもパーカーでわかるし!」
「そうだね!大丈夫だよ!」
子どもたちの言うとおりだが···、フェアが言ったようにパーカーで逆に見分けつくってのもちょっとまずい気がするんだが?
オレたちは避難する人たちの流れに乗って皇城方面へゆっくりと進んだ。皇城方面からは多くの兵士たちが武器を積んだ荷馬車とともに急いで出ていくのが見えたんだ。
皇城前の広場には避難の人たちであふれかえっていた。ここはどうも避難所ではないようだけど、遠くの避難所へ向かう道中の休憩ポイントのようだな。
ちなみに正門は閉じたまま。さすがに城の中へは避難させないようだ。もしそうだったら堂々と侵入できたんだけどなぁ~。
どうやら兵士たちは別の門から出て行っているようだ。正門ではないところから数多くの兵士たちが出て行くのが見えていた。
「(おい。もうだいぶ兵士たちが出払ったみたいだぞ。そろそろ忍び込むか?)」
「(そうだな···。そろそろ頃合いか)」
「(んじゃ、兵士たちが出て行った門から入るか?)」
「(···いや、少しいいことを思いついたぞ!)」
···へ?いいこと?コイツのいいことってあんまり良くねえこと多いんだけど?
「(正面突破するか!)」
「(はぁ!?マジで言ってんのかよ!?)」
「(本気だ。ちょっとこの避難の人たちにも手伝ってもらおうと思ってな)」
「(何やる気だよ···?)」
「(まあ見ていろ。ちょっとしたアクションショーさ)」
そう言ってネボラは正門にいる門兵に向かって歩き出した!
「···ん?なんだ貴様は?」
「済まない。もう歩き疲れたのだ。城の中に避難させてはくれないだろうか?」
「何をバカな事を言っている?指定された避難所へ向かえ」
「そうか···。では、ちょっと力づくで避難させてもらおうかな!」
「なに!?」
「秘剣、裏打ち」
ネボラはいきなり門兵の首筋にキツ~い一発を与えて倒してしまった···。
「貴様!?何をする!?」
「構わん!捕えろーーー!!」
まぁこうなるよな。しかし、相手はネボラだ。当然勝ち目なんてないわけで、あっさりと瞬殺してしまったんだ···。殺してねえけどさ。
そんな様子を避難していた人たちは黙って見ていた。まぁ手出ししたら危ないし、何が起こってるのか?もわかってねえからな。
そんな避難している人たちの目なんて気にせずにネボラは正門の前に立ち···!
「秘剣、輝光」
ズババババッ!ズドーーーーン!!
あいつの奧技以外で最強の必殺技で正門を斬っちまったんだ···。
「さあ!皆さん!もっと安全な避難場所である城に入れるぞ!!」
「「「「············」」」」
みんな絶句してしまって、あたりはシーーーン···、としてしまった···。
まさかコイツ、強行突破して避難民を城に引き入れてどさくさ紛れに倒してしまおう!って作戦だったのか?
「どうした?ここに逃げ込まないのか?」
「···お前さ、これはちょっとやりすぎだろ?みんなドン引きしてるぞ」
「むぅ···。せっかく門を開けたというのに···」
「いや、お前が剣で門を斬ったのがみんな信じられねえんだよ」
「だがこの通り門を斬ったぞ?」
「お前も常識ないんだな···」
「あ〜···。ははは!どうやら少しやらかしてしまったようだ!さあ、それじゃあ作戦変更してこのまま行くとするか!」
「まぁ、城内は手薄になってるだろうからな。さっさと終わらせるとするか」
こうしてオレたちはなんと堂々と正門から強行突破!という形で中に入ることになったんだ。
後日、この騒動については『着ぐるみ集団、皇城襲撃!?』って新聞記事になってしまって、ピムエム皇国では有名なお話になってしまったなんて思いもしなかったんだよなぁ~。
ここ最近ネボラさんのお茶目な部分が出てきていますね。以前は結構クールビューティーなイメージを持たれていた読者様もいらっしゃるかもしれませんね。チャットGPTで描いてもらったイメージはタカラジェンヌっぽい気品さとカッコよさがあったのですが、これがネボラさんの素です(笑)。こういった一面もあるんですよ。
今回ネボラさんが狙った作戦は530年後の未来である番外編2でアキくんの孫であるモンドくんとフーちゃんがやった作戦の逆パターンです。モンドくんとフーちゃんは城から離れてくれると思ったら逆に市民は城へ逃げ込んだんですね。ネボラさんはその大混乱を狙ったのですが、こっちでは逆に城から逃げられてしまいました。こうして逆のパターンを描いてみるというのも面白いですよね!
さて次回予告ですが、レオくん一家は皇城に突入します!襲い掛かってきた兵士たちに子どもたちが大奮戦!ファン皇帝はどこにいるのでしょうか?
それではお楽しみに~!




