遠征皇国編-16.クマトリ皇国打倒作戦
オレが小国家巡回を終えて帰ってきた次の日、ロッコさんが戻ってきた。
そしてオレはブンソーは敗北し、メトドスは国民全員鉱山送りにされた事、コンドルファとセルビウスは膠着状態という状況を伝えた。
併せて小国家同士を結ぶ街道は通行不能ということも伝えた。
「レオさん。2日の間にこれだけの情報をありがとうございました!これで思う存分に皇国と戦争ができます!」
「思う存分って···。それってどういう事だよ?」
「ほかの小国家からは『手を出さない』との回答でした。ということは、皇国の相手だけで済むということになります」
「レオ、だいぶ前に私が言っただろ?、『魔獣相手に戦闘中に後方から攻撃をされることはない』という安心感の話の事だ」
「···あ〜!?お前がネイレに初めて来た時に言ってたあれか!」
「よく覚えていたな!そう、前面の戦闘に集中している時に背後から狙われるのが一番恐ろしいのだ。だから、城を建てる時には城内で防衛するために真っすぐ一本道を作るところもあるぞ」
「へぇ〜。お城の中ではさみ打ちか···。確かに逃げ場ねえから窮地に陥るな」
「その通り。だからこそ、小国家がこの戦争に介入しないという事は非常にありがたいのだ。レオのおかげでかなり有利になったぞ」
「そうか。ならオレのやった事は役に立ったな」
「ええ。本当にありがとうございました。そして···。今回の戦いですが、皇帝とその周辺はレオさんたちにお任せしていいのですね?」
「ああ。連中が『外の理の者』なのが確定してるからな」
「わかりました。ピムエムとしては皇国軍を陽動で引きつけて時間を稼ぎ、そしてレオさんたちが皇城へ侵入しやすくする手助けをするという形で戦争を仕掛けます」
「···犠牲者が出るかもしれねえのに、いいのかよ?」
「このまま何もしなくても皇国軍は私たちを捕まえて奴隷のように扱うでしょう。誰しもそんな生活は望みません。明日の自由のために戦うのです。大丈夫!兵士たちの士気は高いですし、レオさんたちが皇帝を倒してくれさえすれば終わりますから!」
「わかった。早めに倒せるように努力するぜ」
「よろしくお願いします。作戦決行は5日後、夜明け前に襲撃です」
作戦は決まった。···というか、オレが帰ってくる前にネボラが作戦の立案に協力してたみたいだ。だから、オレへの周知と改めて作戦の確認だったようだ。
そして、ここからが忙しかった。ロッコさんはありったけの魔道具を投入するべく、多くの荷馬車が集まってきていた。
それを仕分けし、兵士たちに配ったり別の荷馬車に積み替えて戦場へ持ち出したりするんだとさ。
オレたちも手伝った。と言っても荷運びだけどな。無限収納リュックを使えばとんでもねえ量を一気に運べるけど、それはさすがに介入しすぎだ。ネボラが言ったように、ピムエムが皇国に勝った!という事実が必要だからな。
そして···、作戦決行前日の朝···。
「さて···、ピムエムの陽動の前に私たちの作戦も話すぞ」
ネボラが朝食を食べ終えてから話しだしたんだ。
「そういや何も考えてなかったな」
「ああ。直前の方が忘れにくいだろ?」
「そういうもんでもねえけど···。で?作戦って?」
「今から出発だ」
「え···?早過ぎね?」
「いや、これぐらいがちょうどいい。レオ、確か合図になる魔法が使えたな?」
「ん?まぁ使えるけど?」
「それは皇帝を送還したら打ち上げてくれ。勝利の合図だ」
「わかったぜ」
「よし。ではまず、皇国の内部への潜入だが···、ここの水道の通路を使う」
そう言うと、ネボラはテーブルの上に紙を拡げた。それは···、皇国の地図だった。
「お前···!?こんなものをどこで!?」
「ロッコさんから借りた」
「よく借りれたな···」
「これがないと作戦失敗だからな。まずは水道入口のここの施設の内部に侵入する。そこから水道を通って皇城の内部に出ることができる」
「皇城内部は?」
「さすがにそれはムリだったな。まぁ当然だ。でないと国としてのセキュリティがガバガバ過ぎるからな」
「となると、しらみ潰しに探すのか?」
「いいや?そこからは···」
「そこからは?」
「私の勘だな!」
「···はぁ?」
「まぁ、そこからは任せろ。私も元一国の王だったのだ。どこに皇帝がいるかはある程度推理できる」
「出たとこ勝負かよ···」
「そして、その間の露払いを子どもたちに任せる」
「大丈夫かよ···?」
「大丈夫だ。もう子どもたちは通常の人相手であれば、油断しない限り負けることはないぞ」
「レグス、フェア、アル、ルエル。ママはこう言ってるけど?」
「「「「大丈夫!!」」」」
「そっか···。ムリすんなよ」
「なに、子どもたちが厳しければ私も加勢する。レオは皇帝を」
「わかったぜ」
「よし!それじゃあ行くぞ!」
ネボラの号令でオレたちは出発した。
皇国への街道を進んでいく。本格的な内戦が始まった事で、ここの道を通る人や行商人はいなかった。
ただ···、
「ママ」
「ああ。フェア、やれ」
「うん。ロックシューター」
フェアが左を向いて魔法を撃ち込んだ!
「ぎゃっ!?」
ドサッ!!
木の上から人が落ちてきた。どうやら偵察か狙撃兵のようだな。頭から落ちたけども生きてるか?の確認はしねえぞ。
「よく気づいたな、フェア。無視してもいいかと思ったが、やはり皇国側も警戒していたな」
「えへへ〜!ママ!この先もいるかもね」
「確かに。まぁ、私たちに気づかれる時点でたかがしれてるがな!」
「じゃあ、見つけたら撃ち落とすね!」
「おいらも!」
「おれも!」
フェアが狙撃に成功したことで、今度はレグス、アル、ルエルも狙撃に参加すると言い出した。
道中、思ってた以上に偵察の兵が多かった。とりあえずピムエム軍が攻めてくるのを直近まで気づかれないようにはできたかな?
どんどん撃ち落としていく子どもたちだった···。『経験の共有』の能力のせいか、成長がとんでもなく速い···。
まだまだ子どもだって思える年齢だってのに、ここまで強くなってるなんてなぁ〜。
そして皇国の壁が見えてきた。ここからは街道を外れて藪の中を進むことになる。
でも藪の中を進むのは一苦労だ。だからといって切り拓いて進むとオレたちが通ったってバレちまうんだ。
だからオレは提案したんだ。
「なあ?木の上を跳んで進んでいくか?」
「私はできないぞ?」
「あ〜、だったらまた抱えようか?」
「そうだな···。では甘えるとしようか!本当に久しぶりにレオにお嬢様抱っこされるな!」
「···あ〜、テーパーからネイレに向かった時以来か。って、あの時はお前は女王だったな」
「懐かしいな···。たまには私を抱えてくれて移動をしてほしいな」
「お断りだ!」
「ははは!ではレオ、頼むぞ」
「おう。お前たちはトランス状態になってオレについて来い!」
「「「「はいっ!」」」」
こうしてオレたち一家は道なき道を進んでいき、皇国の水道施設にたどり着いたんだ。
今回、ピムエムとクマトリ皇国が戦争しますが、ピムエム軍はなかば陽動です。
戦闘の間にレオくん一家が城に侵入して皇帝を送還するという作戦なので、先行する必要がありました。
とはいえ、今やお尋ね者になってるレオくん一家がこっそり侵入しようとするなら門や壁意外の場所からということで水道施設からの侵入となりました。
さて次回予告ですが、水道施設から侵入を試みますが、どうやって門を突破するのでしょうか?
そして侵入して皇国の壁の内側に出ることができましたが、やはりレオくんたちの姿は目立ってしまいます。そこで変装してやり過ごそう!ということになりました。どんな格好をするのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




