遠征皇国編-14.コンドルファの一室にて
コンドルファにたどり着いたオレは、門兵からいろいろ聞かれて今は門にある休憩所にいる。
上に手紙を渡して確認中らしいのでちょっと時間がかかりそうだな。
ここまではメトドスとまったく同じ。さて···、ここはここからどうなるのやら···。
そして1時間ぐらいが過ぎると、扉がノックされた。扉が開くと、食事を持った兵士が中に入ってきたんだ。
「やあ、済まないね。思っていた以上に時間がかかってるようだ。ちょっと粗末ではあるが夕食を用意させてもらったよ。ここで食べながらもう少し待っていてほしい」
ここではここで食事ってわけか。これで毒が入ってなけりゃ問題はなさそうだけどな。
「おっと、悪いな。そんじゃあ、ありがたくいただくぜ」
食事の内容は···、パンにスープ···。ここもメトドスと内容は異なるけど似てるな。
さてと···、お味の方は···?
「···ん?うまい!」
「お?口にあったようで良かったよ」
「見た目は粗末かもしれねえけど、なかなかいい味出してるじゃねえか!」
「ははは!そう言ってもらえると料理長が喜ぶな!まぁ、今は戦時中だからあんまり豪華な料理が出せないんだけどね」
ん?この様子だといろいろと情報を聞き出せそうな気がするな。そんじゃあダメ元でいろいろ情報を聞き出してみるか!
「戦時中って、相手は皇国だよな?」
「そうだね。まぁ、厳密に言えばうち以外すべてが戦争相手と言っても過言ではないけど、今は皇国が脅威であるのは間違いない」
「そっか。ブンソーは負けちまったし、メトドスは国民全員鉱山送りにされたそうだからな。ここには皇国は攻めてきたのか?」
「今も来てるんだよね。治安部隊が頑張って押し返してるよ」
「へぇ〜!ここは結構強いんだな!」
「まぁよそは知らないけど、それなりに対策はしていたというのも大きいかな?撤退してくれないから戦闘が長引いているんだよ」
「あいつら、小国家に対してワナを仕掛けてたんだよ。ピムエムもそれで結構危ないことになったんだよなぁ〜」
「ワナ···。それって?」
「ああ、知らねえよな?それを知らせるためにオレはここまで来たんでな。旅人がもたらした柵って、あれは皇国軍相手には役に立たなかったんだよ」
「···あ〜、そういう事か。あれってワナだったんだ」
···ん?反応がどうもおかしい。ここでは旅人が言った柵を使わなかったのか?
「なんか反応が薄いな?前線で使ってるんじゃねえのかよ?」
「いや、使ってると思うよ。でも···、そんなの関係なく相手してるからね」
「···へ?そうなのか?」
「うん。今のところ多少のけが人が出てるらしいけど、被害が大きいって話は聞いてないからね」
これが本当なら、ここはピムエムを越える軍事力を持っているって事になるな。そもそもの単純な軍事力が強いって事で皇国軍の侵攻を食い止めてるってわけだな。
これはピムエムとしても強敵になるな···。でも、皇国を潰そう!って気はあるのかが気になるな。
「そんだけ強いんなら皇国を倒してしまえそうじゃねえか?」
「う〜ん···。それはどうだろう?なんせ国力の規模も人口も倍以上の差があるからね。仮にうちが攻め滅ぼすことが出来たとしても、その後の維持ができるか?ってことになると厳しいんじゃないかな〜?」
「滅ぼす気はないって事か?」
「その意味の取りどころによって回答は変わるかな?皇国が邪魔なのは間違いないし、何度も攻めてきて非常に困ってるってのはあるけど、滅ぼしてしまってうちにメリットがあるか?と聞かれると正直なところは微妙だなぁ〜。仮に滅ぼしてもうちでは管理できないから放置することになるだろうけど、そうしたら今度は相手が軍隊じゃなくて無秩序な山賊化した皇国民になりそうで、そっちが怖いかな?」
「なるほどなぁ〜。そういう考えもありか」
「最良なのは『このまま何もしない』かな?相手がちょっかいかけてこなければって条件が付くけど、それだったらうちも落ち着けるしね」
これ、額面通りにとってはいけないな。その『何もしない』というのは強大な軍事力による抑止力で相手を押さえつけてるって意味にもとれるからな。
「攻撃してこなけりゃ攻撃する理由がないってわけか」
「その通り。ぶっちゃけ、オレ自身も兵士だけどさ?戦争に犠牲者はつきものさ。どこかの国だと戦争で勝ったら英雄になるらしいけど、その英雄になるためにどれだけの犠牲者の屍の上に立って物を言ってるんだ?って思うのさ。死んでいった人たちの無念をわかってて英雄だなんて祭り上げられるなんて、オレならゴメンだね。あの世に行ったら袋叩き似合いそうだ!」
「そんな考えの兵士がいるとは思わなかったぜ。でもそれって、ほかの連中が知ったらタダじゃ済まねえだろ?」
「もちろん!だからこそ···、ピムエムのスパイであるあなたには話せるのさ」
スパイ···?あ~、そういうことか。たしかにこっちとしてみれば、オレはスパイと同じか。でも、こいつ、こんなに気軽にいろいろと話していいのかよ?なんか裏がありそうな気がするな···。
「オレはよその国から旅してここに来てんだ。たまたまピムエムにいる時に皇国軍の襲撃を受けて、旅人という身分で動きやすいからここの様子を見に来ただけだぜ?あんたがいうスパイじゃねえよ」
「でもピムエムから依頼を受けたのは事実じゃない?」
「···まぁ、そうだな」
「まぁいいよ。うちの状況をピムエムに伝えても特に実害はないしね。おそらく向こうは善意で伝えて恩をちょっとだけ売ろう!って考えなんだろう。向こうも向こうなりに大変だったと思うから、おあいこってことにしておくよ」
「一兵士にしちゃ、ずいぶんな言い草だな?そんなことを話してもよかったのか?あんたらの上の発言ならわかるけどさ」
「そうだね···。これならキミには話をしても問題ないかな?」
···ん?どういうことだ?そう思うと、その兵士は立ち上がってこう言った。
「ここで名乗らせてもらおう。オレはアクト。このコンドルファの代表をやってるんだ。よろしくね!」
···こいつ、マジで言ってるのか?冗談で言ってるような目をしていないんだが?
「···マジで?ただの兵士のかっこうしてるのに?」
「ああ。戦時中だし、この方が気合い入るでしょ?」
「だからって、なんでここでオレと話をしてるんだよ?」
「変に格式ばった方法で話するよりもこの方が本音が出るでしょ?それに、門兵から話を聞いた時に『この相手は信用できる』と思ったから護衛なしでこうして話をしてるのさ」
「どうしてそう思った?」
「通行止めになってる街道から来たからだね。皇国軍がやった策だから、それを乗り越えてくるのは皇国軍じゃない。それなりに腕の立つ人物だろうって思ったから。これでいいかな?」
···なんだろう?こいつ、雰囲気がネボラに似てるな。人の上に立つ人ってのは、こんなのが多いのかよ?
なんと、兵士はここの代表でした!
上に立つ人というのはこういう人もいますし、こういった体制の会社も実際に存在していますね。フリーアドレス制の会社なんかそうですよね。
というのも、上席がえらい!という観点が本当に正しいのか?ということなんです。役割と責任が違うってだけで、組織を形成する歯車のひとつにすぎないって考え方があると思いますよ。責任が重いからえらいのか?給料高かったらえらいのか?というといかがでしょうか?
会社だと上席の方が給料安いって場合が往々にしてあります。残業代で稼いでいる人からすれば該当しかねないんですよね。となると部下の方がえらいんか?ってことになっちゃうんですよね。
まぁ、フリーアドレス制も問題あります。業務で使う資料をいちいち個人ロッカーから持ってこなきゃならん!ってのがありますからね。最近はクラウドで保存しておいてそこから引っ張り出すってやり方で解決しているようですよ。
というわけでここの代表は一兵士としてふるまって自然に話すことでレオくんから情報を聞き出そうとしていました。なかなか度胸あると思いますね~!だからこそ代表を務められるのだと思います。
さて次回予告ですが、アクトさんから手紙を預かって最後のセルビウスに向かいます。ここで手紙を渡して状況を聞いたら今回のレオくんのお仕事は終わりです。急いで帰るとネボラさんがとんでもないことをやって皇国軍を追い返していました。何やったんでしょうか?
それではお楽しみに~!




