遠征皇国編-7.どっち側につく?
クマトリ皇国の周辺にある集落にやってきたオレたちは、ロッコという女と出会った。このピムエムという小国家の代表らしく、いろんな話を聞いたのだが···。
ネボラが立てた最悪の仮説は『この地域の人々を扇動して互いに潰しあって、そこを『外の理の者』たちが占拠する』というものだった。
この方法だと両陣営を扇動したやつをオレが捕縛して送還すると、どちらの勢力からも恨まれるっていうえげつねえ方法だったんだ···。
最近、一筋縄じゃいかねえ侵略パターンが多いな···。力で侵略したら空中庭園とオレで倒されてしまうという情報が出回ってるのかもしれねえな。
そんな話をネボラとしていると、ロッコさんが戻ってきた。
「お待たせしました。こちらがそのメモですわ」
「ああ、ありがとう。···ふむふむ。なるほど!これは大変有用だな!」
「ええ。これを教えてくれた旅人には本当に感謝ですよ」
「そうだな!ちなみにその旅人だが···、名はわかるか?私たちも旅をしているので、もし旅先で出会えばお礼を言いたいのでな」
「ええ。ラーラという女性ですね」
「ラーラか。ありがとう。ところで···、私たちにここまで教えてもよかったのか?興味本位で遠慮なしに聞いてしまったが、私たちは部外者だぞ?」
「ええ。あなたは信用できる人だと思いますから」
「ほう?それはどうして?」
「私たちの味方になってくれるからですね」
「···どうしてそう思うのだ?」
「先ほどネボラさんが言ったじゃないですか?自分の国が『外の理の者』に滅ぼされたと···」
「確かに」
「ファン皇帝は···、『外の理の者』です」
「なっ!?」
「なんだと!?」
ネボラとオレは叫んでしまった!ということは···、ネボラの予想は当たっていた!?
「見たところ、一家で旅をされているということは、そちらのお子様も含めて相当腕が立つということですね?もしこのあとすぐに本格的な内戦が始まった場合、どっち側につくか?という選択を迫られるでしょう。その時、ネボラさんは私たちの側につくはずです」
「···ははは!さすがに集落をまとめる長なだけあるな!そして交渉も非常に上手だ」
「ええ。それをわかっていただけるネボラさんも、かつて王として治められたご経験がおありですから、私の意図をわかっていただけると思いますわ」
「わかった!私たちはピムエムにつくことにしよう!」
おいおい!?勝手に決めちまっていいのかよ!?というか、この話の流れだと断ったとしても無事にここを出さないって意味合いもあるのか?
「ネボラ?いいのか?」
「ああ。いろいろ考えた結果、ピムエム側につくのが最善だろう。もっとも···、私としてはそのラーラも『外の理の者』だと考えてはいるがな」
「その通りです。先ほどは黙って隠しましたがよくお気づきになりましたね」
「···ロッコさんは知ってたのか?」
「ええ。そして···、その意図も···」
「意図···?まさか!?ロッコさん、あなたはファン皇帝とラーラの計画を···、乗っ取る気か!?」
「素晴らしい洞察力ですね!ネボラさん!ほぼ正解です」
マジかよ!?この女···。とんでもねえこと考えてやがったな!?
内戦に乗じてこのピムエムが勝利してクマトリ皇国を乗っ取ろうってか···。あえて利用されているフリをして、最後の最後で盤面をひっくり返す···。
「ははは!さすがの私も降参だな!大した野心家だ!これはおもしろそうだな。さっきも言ったが、ピムエムに加勢することにするぞ、レオ」
「なんだか、それだとオレたちまで利用されるってことになっちまうが?ちょっと気に食わねえな···」
「いや、この方法は最高だぞ?2人を送還しても、この方法ならレオは恨まれることはなくなるからな」
「あ···!?そうなるのか!?」
「そうだ。ファン皇帝は敵対者だから制圧してしまえばこちらが正義でファン皇帝が悪という立場にさせられてしまう。一方のラーラも旅人という立場だ。突然姿を消してもロッコさんから『別の国へ向かった』と声明を出せばみんな信用する。だから、これは私たちの目的にも合致する。乗る以外に手はないと思うぞ?」
「お前もロッコさんもえげつねえじゃねえかよ···?わかった。ロッコさん。オレたちも参加させてもらうぞ」
「ありがとうございます。ネボラさん?交渉成立ですね?」
「ああ。まさか、ここで私が外交と政治を久々にやるとは思わなかったな!しかもそちらが1枚上手だ!あなたには負けたよ」
「うふふ!せっかく王でいらっしゃったのですから、その経験は大いに活用すべきですからね。せっかくですから成功した暁には旦那さん含めて要職をご用意しますよ?」
「いや、それは遠慮しておこう。私たちにもいろいろあるのでね」
「そうですか···。残念ですね。では、こちらで滞在する家をご用意しましょう。先ほどの門の近くですが···」
「ん···?ああ!最高の立地だな!」
「···は?おいネボラ。門の近くだったら危険度が増すぞ?」
「いや、これは確かに最高だ。クマトリ皇国はこれで私たちを襲う名目ができたんだ。後をつけられていただろ?門の近くに私たちがいれば、連中は集落の内部まで入り込むことはなくなる」
「おいおい···!?それって、オレたちはエサかよ!?」
「その通りだ。そして···、捕縛すれば相手の動向を聞き出せる事ができるな。非常に効率的だ!」
コイツ···。オレたちを堂々とエサ扱いされてるのに喜んでやがるな···。まぁ、もちろん返り討ちにはするけどさ。
オレたちの目的を達成するために自らエサになるってのもなぁ〜。でも、確かにこの方法だと集落の奥深くまで刺客が来ることはねえから、集落としても安全度が上がるってか···。
こうして『類は友を呼ぶ』関係でネボラとロッコは手を組んだんだ。
そして···、この2日後にクマトリ皇国側から仕掛ける形で内戦が始まるんだ···!
ロッコさん結構えげつない考え方をしてました!相手の作戦を乗っ取ってクマトリ皇国を滅ぼそうと考えてたんですね。
そこにレオくん一家がやって来て、レオくん一家も利用しようと考えてしまいました。まぁ、レオくんとしてもある意味ピムエムを利用して皇帝を送還できればいいので、両者共に目的は違えど方向性は一緒だったので協力することになりました。
さて次回予告ですが、ついにクマトリ皇国との戦争が勃発してしまいました!
もちろんレオくん一家も戦力にカウントされ、迎撃準備をしますが、クマトリ皇国は特殊な矢を用意していて、一気に防衛が崩れてしまいました!レオくん一家はどうやって戦うのでしょうか!?
それではお楽しみに〜!




