遠征皇国編-4.ネボラが仕掛けたワナ
クマトリ皇国での初日は町中の見物と町の構造の把握、そして買い物で終了した。
服屋では犬耳のついた着ぐるみパーカーを一家お揃いで着て、その格好のままで宿に戻ってきたんだ。子どもたちと手もつないでいたから、周りから微笑ましい光景に見えたようだった。オレは恥ずかしかったけどな···。
そして部屋に入るときれいに清掃されていて、寝具もシーツ交換をされたようできれいに整えられていた。
そしてネボラが最後に部屋に入ったらすぐにカギをかけてオレに合図してきた。『防音魔法を張れ!』という意味だ。そして『一切しゃべるな』の合図も出してきたので、子どもたちも黙り込んでしまった。
そして防音魔法を張り終えると···、ネボラは机の裏、ベッドの裏、そしてソファをひっくり返して調べていた。さらには暖炉の中にまで入っちまったぞ!?
すると···!?小さな何かをネボラは見つけていたんだ。
そしてその小さな何かはほかにもあったんだ!あったのはソファの下、洗面台の下、ベッドの下、暖炉の煙突の途中···。
合計4つあった。それをネボラは真上に放り投げて神剣ムラマサで一閃して真っ二つにしてしまったんだ···。
「予想通り仕掛けられてたな」
「なんだよ?それって?」
「盗聴魔導器だ」
「盗聴魔導器?」
「そう。コイツは私たちの会話を外にいる者にも聞こえるようにするものだ。防音魔法も貫通するのでスパイがよく使う手口だな。しかし、ここまで小型の物は初めて見たな」
「知ってるって事はもしかして?」
「ああ。昔のテーパーでも仕掛けられてた。テーパーは一応軍事国家だったからな。よその国からしたら、動向を探って自分の国を襲撃しないか?という確信をもちたかったというのがあったのだろうな」
「そっか···。で?もちろん仕掛けたのは···」
「ああ。これで間違いない。私たちはこの国に要注意人物として見られているということだ。さらに盗聴魔導器を壊したこともこれでバレたから、余計に警戒度が上がったな」
「壊さなかったらよかったんじゃねえか?」
「いや、そういうわけにはいかない。考えてもみろ?部屋の中で話したことが全部部外者に筒抜けなんて気持ち悪いにも程があるだろうが?」
「確かにな···」
「それに、レオと一緒に外でできないような事も聞かれてたら困るだろ?」
「···はぁ!?お前!何言ってんだよ!?そんな事やらねえだろうが!?」
「ははは!例え話だ。旅先でやらないだけだから心配するな」
「まったく···。え···?旅先でやらない···?」
「レオ、そこはツッコんではいけないぞ?とにかく、この国としては入国はさせたがヘタな動きはするな!という事が確定したな」
「まったく···。そんなに警戒したら『隠したい何かがある』って言ってるようなもんじゃねえかよ?」
「その通りだ。だが、服屋の店員も関係者だったが、命を取ろうとまでは考えてはなかったようだったな。普通の対応だった」
「···はぁ!?あいつらもグルだったのかよ!?」
「ああ、そうだ。だから変に怪しまれないようにするために、あのパーカーを買ったのだ」
「そういう事かよ···。でも、お前も楽しんでたよな?」
「ああ。あれは純粋に楽しかったぞ!」
「芝居じゃねえのかよ···。で?明日はどうする?」
「明日は···、そうだな···。ちょっと周辺の集落を周ってみるか!」
「思いっきり怪しまれちまうな」
「すでに怪しまれてるから問題あるまい。それにこの国の法律はよく知らないが、ある程度までの行動については咎められる事はあるまい。でないと、『この国は気に食わなかったら逮捕される』なんて悪評が出回ると体面が悪くなるからな」
ネボラは元軍事国家の女王様だったから、国がどう考えて動くか?をよく熟知していた。
だからこそ、こういった事に関しては非常に助かるんだよなぁ〜。コイツがいなかったら、おそらくオレの遠征は成功しなかっただろうな。
この日の夕食もレストランでいただいた。もちろんウェイターはみんな関係者だった。すぐにわかっちまったんだよ···。というのも、ネボラが仕掛けたワナにかかっていたからだった。
部屋に戻ってからネボラに聞いた。さすがにレストランじゃ聞けない内容だったからな。
「お前、こういうワナが使えたんだな」
「もちろんだ。だてに一国の女王としていなかったからな。まぁ、狙われてもいつも返り討ちにしてやったがな!」
コイツが仕掛けたワナというのは『足跡』だ。どうも部屋の扉から入ったすぐにあったマットに仕掛けてたんだとさ。
そのマットに仕掛けたワナを踏むと、目に身体強化魔法をかけて見れば足跡が見えてしまうというものだったんだ。
ただの清掃員が入っただけならウェイターの足跡が出るなんてことはないはずだ。だから、今レストランにいるウェイターは全員オレたちの部屋に入り込んだという証拠になるんだよ。
でも、こいつらが本気になれば食事に毒を盛ることもできるんだが、それはやってこなかったな。まぁ、神狼族はトランス状態になれば毒は無効だから盛られてもあんまり意味がねえけどな。ネボラが毒にかかったらオレが解毒魔法をかけるだけだ。
まったく···。こんな状況が続くようじゃ精神的に疲れるなぁ~。ただ、部屋の中については安全だからのんびりくつろいだぜ。ここのベッドはなかなかいいのでよく寝れるからありがたいわ。
一方、クマトリ皇国の皇城では···。
「奴ら、何者だ?防音魔法まで使えるとは···。かなりの凄腕のスパイか?」
「わかりません···。尾行しましたがこれといって不自然な行動は一切なく、普通によその国から来て観光して買い物を楽しんでる様子でした」
「ただ、部屋に仕掛けておいた盗聴魔導器がすべて破壊されたようで、応答がありません。こちらの動きに気付いているのは間違いないかと」
「ふむ···。連中が何かしでかさない限り、表立って動けぬ。皇帝陛下の計画が発動するまでは邪魔をさせてはならぬから、もうしばらく動向を注視せよ」
「「はっ!」」
ネボラさんが仕掛けたワナというのは攻撃用ではなくて『どういった人物が出入りしていたか?』を調べるためのものでした。まぁ、レオくんには無限収納リュックがあるので盗まれるって心配は皆無ですし、盗聴器などの仕掛けもネボラさんが見抜いてしまいましたからね。やられても問題ないんです。
しかし、ここまでネボラさんが活躍するとは思いもしませんでしたね~!レオくんと肩を並べて戦える女性って設定しか最初はなかったのですが、こうも見事にレオくんのサポートをしてれていますね。本当にいい夫婦ですよ。レオくんとしては首を斬られるのは勘弁してほしいんでしょうけどね。
さて次回予告ですが、次は皇国の外の集落を見に行こう!ということになり、まず最初に向かったのはピムエムでした。このあと本作で登場する皇国の前の状態ですね!
そこに到着すると、ネボラさんが一目見て興奮するようなものがあったのです!いったい何があったのでしょうか?
それではお楽しみに~!




