遠征旅立ち編番外編-4.ネボラの過去 その4
本日は商船三井さんふらわあ様の『昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ』で大阪南港から『さんふらわあむらさき』に乗船しております。実に2日ぶり(笑)!
今年は開催日に外せない仕事が入っちゃって2回しか乗船できませんでしたが、リーズナブルな価格で最高の船旅が楽しめるんですよね~!
瀬戸内海の多島美を眺めつつ執筆するって優雅だなぁ~!
「ふんっ!!」
国王が大上段から大剣を振り下ろそうとした!さすがにあれをまともに受けるのは悪手だ。
だが···!
ズドーーーン!!
「なに?」
私は剣を斜めにして大剣の直撃を受けるのではなくて、大剣を私の剣の腹で滑らせて振り下ろした先をそらした。床の石が砕け散っていたので威力は相当なものなのだろうな。
これは師匠が教えてくれた『物理』だ。いかに強い攻撃でも、ほんの少しの力で方向は変わってしまう。方向が変われば私に当たらない。『ベクトル』というものの性質だそうだ。
「ほう?やるではないか。さっきの口上は決してウソではないと」
「ええ。やりようはいくらでも」
「面白い!だが、それがいつまでもつのかな!?少し強く···、いくぞ!!」
どうやら最初の一撃をあっさりと防がれて頭にきたようだった。だが私は寸前でかわし続けていた。
『当たらなければどうと言うこともない』と言っていた師匠の言葉は間違ってなかったな。
そこからの国王の攻撃は苛烈だったな。魔法も込みで攻撃してきてこちらから攻撃するスキを与えてくれなかった。
なるほど。だてに王を名乗っていない。今までの対戦相手とはケタ違いの強さだ。
しかも休むことなく攻撃がまだ続いている。どうやら疲れ切ったところを狙うという作戦は取らせてくれそうになさそうだ。体力も魔力も尋常ではないということだ。···何か秘密がある?
だが、私は魔法は身体強化魔法ぐらいしか使えなかった。だから剣一筋でやってきている。
そのため、現在は主に足腰を強化してスピードでかわしていた。
そして不意に猛攻がやんだ!今がチャンスか!?
しかし!私はそこで立ち止まった!
「ほう?これも見切るか···」
「さすが王様。ワナの仕掛け方も一流だ。危うく引っかかるところだった。カウンターをここで仕掛けてくるとはね」
「その観察眼、今の城にはネボラより上の者はおらんな」
「そうですか」
「もう一度問おう。親衛隊に入る気は?」
「誠に申し訳ございませんがありません。自分が王になるので」
「そうか···。惜しいものだな···。本気で王位を狙う者は反逆と見なしてここで殺さざるを得ないのだが?」
「初めて聞きましたが?」
「だろうな。これまでは我と戦ってここまで長引いた者がおらず、最初の一撃でビビって降参していたからな」
「確かに去年見た時はそうでしたね」
「今は試合。しかも双方真剣での勝負だ。もちろん···、事故もあり得る」
「事故···。そういう事ですか。この試合はご自身の実力を見せつけると同時に合法的に処刑も大観衆の中で行い、表は事故として、裏では歯向かう意思を潰すと···」
「···勘のいい子どもは嫌いだよ」
「お褒めの言葉、痛みいります」
なるほど。この闘技大会はただの騎士の発掘ではなく王としての威厳を示す事が目的か···。騎士発掘はその副産物に過ぎない。
そして···、反乱を起こそうとする者への牽制も兼ねていると。この制度を作った昔の王様はかなり頭のキレる人だったのだな。一石二鳥どころか四鳥ぐらいありそうだ。
面白い。私が王になったらこの制度は大いに活用させてもらうとしよう!
そして王の猛攻がまた始まった。
···妙だ。これほどの攻撃がここまで続くものなのか?いくら王と言っても尋常じゃない。私自身も師匠に鍛えられたおかげで人並み外れた体力はあるにはあるのだが···。
やはり何かある···。その力の源はなんだ···?もしかすると装備品に仕掛けが···?
そして大上段からの振り下ろしを避けきった時!次の攻撃への動きにわずかな遅れが出た。ここで1撃入れてみるか!
「秘剣、水切り」
スピード重視の技で私はあえて鎧を攻撃してみた。すると!
バチィッ!!
なんだ?金属を斬った音じゃなかった。しかも感触も硬くなかった。むしろ、剣が弾かれた感覚があったのだ···。普通の防具ではなさそうだ。
「ふん。やっと攻撃してきたかと思ったらこの程度か。そんな攻撃では我を倒すなど不可能だ」
「···なにか引っかかる」
「なに?」
「もう少し···、判断材料が必要だな···」
「何をごちゃごちゃと···。まぁいい。うわ言を言い出すという事は疲弊しているな?では···、そろそろ最後にしようか。今までこんなに長期戦に持ち込んだ者はいなかったよ」
「············」
「これで···、終わりだーー!!」
王は大剣を横薙ぎで払う体勢のまま突っ込んできた。
ちょっと試したいことができた。今なら試せそうだ。
「秘剣、芯月」
私はカウンターの体勢で王の攻撃を待ち構えた。そして!
「ぬぅうううんっ!!」
強烈な横薙ぎが来た!その横薙ぎの大剣に私は逆袈裟で剣を振り上げ、大剣をすくい上げた!
すると、王の大剣は王の手を離れて宙に舞ってしまったんだ!そして大剣は離れた位置の床に突き刺さった!
「な···!?なん···、だと···!?」
「あなたの攻撃はどれも高威力のものばかりでした。しかし、見ていると振り切った時に剣の握りが甘くなるクセがありますね?おそらくあまりに威力が高いので腕と手にくる反動を抑えるために無意識で握りを甘くして受け流そうとしたのでしょう」
「ぬぐ···」
「大剣が手から離れた···。私の勝利でいいですよね?」
「···ふふふ。ははは!あーっはっは!!」
「············」
「まだだ!剣がなくともぉ!!」
「くっ!?」
さすが王なだけはある。剣がなくとも体が動く限りはやり続けようということか。
しかし、その体術はお粗末と言わざるを得なかった。1分もたたずに動きがどんどん鈍くなってきたんだ。
「はあっ!はあっ!」
「···やはりそういう事ですか」
「な、なんだと?」
「あなたの強さの秘密···。あの大剣、魔剣ですね?」
「············」
「魔剣から力をもらい受けて攻撃をしていた。違いますか?」
「そこまで気づくとは···。だが半分ハズレだな」
「···え?」
「力をもらい受けていたのではない···。逆だよ···。力を与えていたのだよ」
「···!?まさか!?剣が本体か!?」
『ソノトオリ···』
人の声ではない声が別方向から聞こえ、私は声の方に向くと、床石に突き刺さっていた剣がこっちに向かってきていた!
とっさに避けて攻撃は避けられたが、剣は王の右手に戻っていたんだ···。そして王の目は···、白目で意識は無いようだった。
「なるほど。剣がその男を操っていたというわけか。どうりで体力が底抜けしていると思ったよ」
『モハヤキサマヲイカシテハオケヌ···。イヤ、ソノカラダヲモライウケルトスルカ!』
「やれやれ···。まさか王様相手の試合かと思っていたら魔剣が相手だったとは···。では手加減抜きでやらせてもらうか」
『ナニ!?』
「これで···、終わりにするぞ。皆伝奥技、細波」
皆伝奥技のうちのひとつ、細波は無数の突きを食らわせるだけでなく、内部に大ダメージを与える奥技だ。こういった防御力の高い物には防御力無視のダメージを与える事ができる、まさに奥技なのだ。
『グワーーー!?ナ!?ナゼダ···!?マケンノナカニダメージガ···!?』
「お前はもう死んでいる。···いや、魔剣だから破壊されているで合ってるか?」
操られていた王が倒れ、そして手にしていた魔剣は刀身にヒビが入り砕け散ってしまった···。
どうやらこれで終わりのようだな···。
「しょ、勝者!ネボラ!!」
「「「「わーーーー!!」」」」
こうして私は正式にこの軍事国家テーパーの王となったのだった。
なんと!?軍事国家テーパーの王様は魔剣本体だったんです!
国王はいわゆる操り人形だったんです。まぁ悪いことをしてはいなかったので誰にもバレてなかったんですね。
ネボラさんはある程度見切りましたが不完全なものでした。というのも、まだこの時点で武術の頂点の境地である『理』に至ってなかったんですね。いいところまでいってたので半分当たりだったんです。
ですが皆伝奥技は使いました。これもまだ未完ではありましたが魔剣には有効でしたね!
さて次回予告ですが、女王になったネボラさんが就任した直後の様子をお届けいたします。エマさんは国王を操っていた魔剣がどういったものかを知っていました。どういった剣だったのでしょうか?
それではお楽しみに~!




