遠征旅立ち編-22.ティールの悪行の数々
オレたちは白銀竜の集落にやって来たんだが···、門番にティールの話をしたらいきなり起こり出してしまったんだ···。
あいつ···、いったい何やらかしたんだよ?これじゃあ話が先に進まねえんだけど···。
そう思っていたら、門番の後ろから別の白銀竜のドラゴン族がやって来た。
「どうした?何かあったのか?」
「ああ!こいつら、あのティールを知ってるって!」
「な!?なんだと!?よく無事だったな!本当に申し訳ない事をした!いったいどんなひどい目に遭ったのだ!?あいつに復讐しようとして来たのだろうが、悪いがここにはいないのだ。というか、あいつはどこにいるんだ!?」
「い、いや!ひどい目なんかあってねえよ!むしろ魔法を教えてくれた恩人だ!」
「そんなわけあるか!」
「ていうか、なんでそこまであいつは嫌われてるんだ!?そんなヤツじゃねえぞ!?」
「何も知らないからそう言えるのだ!いいか?ヤツはな···」
ここでオレはティールの悪行の数々を聞いてしまった···。
・集落の中で魔法の実験をやって暴発し、集落が半壊になる
・魔法の鍛錬に夢中になりすぎて大事な打ち合わせをすっぽかす
・勝手に言いがかりをつけて勝負を挑み、魔法で制圧して高らかに笑う
・勝負の場で相手を新作魔法の実験台にする
・意味もなく戦闘中に大魔法をぶっ放して魔獣を白銀竜もろとも吹っ飛ばす
「············」
「どうだ?これ以外にもたくさんあるぞ?」
「そりゃこういう態度になっちまうよなぁ〜」
「わかってもらえて嬉しい」
これは集落の人たちに同情するわ。そりゃこんな横暴されたら追放されて当たり前だ。逆にこれだけやられて相当ガマンしてたんだな···。
そりゃジーヌも兄がこんな横暴やってたら肩身狭い思いしただろうなぁ〜。だから追放された兄を探してたのか。よそで横暴やってないか?が心配で···。
遠征から帰ったら集落での話をしよう!あいつの事だ。『ははは!昔の事は終わった話だ!今はちゃんとしてるではないか!』って反省しねえだろうけどな。
「とりあえずティールの悪行はわかった。だけど、オレたちはティールに助けられたんだよ。これは事実だからな」
「そうか···。簡単に竜が変わるとは思えんが。そういえばあいさつだったな。私はティールの父のカプトだ」
···父親だったのかよ!?
そりゃティールの話をしたらこういう反応にはなるだろうなぁ〜。
「そっか。あんたがティールの親父さんか。オレはレオ。ここから南にあるネイレに住んでて、今は一家で旅しながら魔獣退治やってんだ。オレたちの魔法はティールが鍛えてくれたんだ。恩人なんだぜ」
「そうか···。遠路はるばるこんな奥地へやって来たな。せっかくだから今日はここでゆっくりしていってはどうかな?人族が来訪なんてほとんどないのでどうもてなしたらいいかわからぬが、できる限りの応対をさせてもらおう」
「そんなに気にしなくてもいいぜ。それじゃあちょっとだけお邪魔させてもらうぜ」
というわけでいろいろあったが、オレたちは白銀竜の集落に入ることができた。
そう言えばアキたちも集落に行った事あるからどんなところかは知ってたな。簡単に言えばみんな竜モードの姿で、家って言っても屋根と柱しかねえんだ。
集落に入ったオレたちは、いろんな竜からジロジロと見られた。そりゃ、ほとんど来訪者がいねえからな。そりゃ興味も出るよな。昔も今も変わってねえな。
そしてカプトさんの家にたどり着いた。家はそこそこ大きかったな。
「母さん、帰ったぞ。今日はティールに世話になったという人がやって来たんだ」
「············」
こちらが奥さんか。オレたちが入ってきたのを見たんだが、頭を下げて無言だったんだ。
「あ〜、えっと···。ティールに世話になったレオって言います。あいさつに伺って今日泊めてもらうことになりました。よろしくお願いします」
「············」
···無言だった。こっちからあいさつしたってのになんでだ?怒らすような事言ってないと思うんだけど?ティールに世話になったってのが地雷だったのか?
「ああ、妻はこの通り竜見知りが激しくてな。家族でも話さないことがほとんどなのだ。決して悪気はないので気にしないでくれ」
「············」
いや、無表情で黙ってられると結構圧力感じるんだけど?
「ちなみに表情はこの通り豊かでな。今の表情だと『あらあら!ティールちゃんが人の世話をしてたなんて驚きだわ!やむを得ず追放しちゃったけども心配で心配で夜もぐっすり眠れていたのよ!外ではちゃんとやってるようで安心したわ!何もないところですけどゆっくりしていって下さいね!』との事だ」
カプトさんが、奥さんが何を思ってるのか?を言ってくれた。ってか、豊かな表情って言うけど無表情だぞ?
それに無表情だけでどうしてそこまで読み取れるんだよ?思いっきり具体的すぎるけど?意思疎通の魔法か何かかよ?
オレたち一家は家の一角をお借りすることになった。まぁ、部屋なんてねえから、屋根のある場所でテント張るようなもんだな。
そして夕食は···。アキの時もそうだったらしいが、オレの時も同じだったんだ。
「············」
奥さんから無言で出されたのは···、魔獣の肉の巨大な塊だった!しかも生で···。
「あ、あの〜。オレたちも肉食うけど、生はちょっと···。だから外で焼かせてもらっていいか?」
「おおっと!?そう言えば人族は生で肉を食べることはあまりないとウワサで聞いたことがあったが本当だったか!これは失礼した!」
「い、いえ···。じゃあ外で焼かせてもらうぜ」
「ええ!たっぷりと食べてください!」
ドラゴン族って普段から確かにたくさん食べるってのはティールたちを見てて知ってたけど、ここで出た量はそれよりも多かったな···。
毎日肉弾戦で無限に湧き出る魔獣退治やってると、これぐらい食べないともたねえんだろうなぁ〜。
というわけでオレは簡単なかまどを作って火を熾して、網を上に載せた。肉はネボラが神剣ムラマサできれいに切り身を作ってくれたぞ。コイツ···、剣で斬るなんて器用な事やるなぁ〜。
そして焼肉をいただくと···!?
「うまっ!?」
「これはイケるな!」
「「「「おいし〜!!」」」」
「ははは!これはこの集落の近辺でしか出没しない『モーレツ格闘牛』という巨大魔獣の肉でな!なかなか出没しない強敵だが、昨日久しぶりに現れたので優先的に倒したのだ!」
「へぇ〜。そいつはオトクだな!うちらも魔獣退治やってるけど、ここまでの味はなかったな」
その話をしたら、カプトさんの目の色が変わった。
「魔獣退治···。人族ではかなり厳しいとウワサでは聞くが···」
「うちの一家は旅しながら魔獣退治やってるんだよ。まぁ、普通の人族じゃねえからなおさらな」
「レオ〜?私は普通の人ではないと言い切るのだな?」
「ネボラは普通の人だけど実力が人を辞めてるじゃねえかよ。話に割り込むなって」
「ほうほう!ではせっかくこの集落に来たのだから、我々と勝負してみないかな?」
「···へ?カプトさんたちとやり合うの?」
「ああ。人族がどの程度できるのかを試してみたくてな。いかがかな?」
「いかがって···。おい、どうするよ?」
「私はいいぞ」
「「「「いいよ〜!」」」」
「マジか···」
アキの時もそうだったみたいだが、オレの時代でも白銀竜の集落でのバトルロイヤルが行われたんだよなぁ〜。
ティールさん、マジでロクなことやってませんでしたね(笑)!これ書いた時はブームになってませんでしたが、最近Twitterではやってるおばあちゃん主役のゲーム風動画っぽくやりたい放題だったんですよ。
そりゃねぇ〜。因縁つけられて魔法ぶっ放されたらたまったもんじゃありませんって(笑)!いくら防御力に優れた白銀竜でもね。
そしてカプ卜さんの奥さんはアキくんの時代のリオくんのお母さんとは真逆で、一言もしゃべらない竜でした。これはこれでコミュニケーションが取れないかと思いきや、表情で全部読み解いてしまいましたよ!これもすごいですね。
さて次回予告ですが、白銀竜の集落での恒例イベントであるバトルロイヤルが開催されることになりました!500年前も同じ事やってたんですね(笑)。
さて、レオくんたちはどう立ち回るのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




