遠征旅立ち編-17.幸せとは···
「···ん?···あ、あれ?オレは···、どうしてたんだ?」
「あっ!?フェア〜!パパが起きたよ〜!」
「起きた〜!?じゃあママ呼んでくるね!」
目が覚めたら、オレは見たことのない場所でベッドに寝かされていた···。
服は薄手の服に着替えさせられていた。状況がよく分からんが、そばにレグスがいたから家族は一緒にいるようだな···。
「···レグス?ここは···?」
「ここはメッセンのお城だよ。もうハイパースタンピードは終わったんだよ」
「···は?···終わった?」
「うん!」
「あの巨人は?」
「ママが3体、ぼくたちが3体倒したんだよ〜!アルとルエルなんか、1人で1体倒しちゃったんだよ!」
「···はぁ!?待て待て!アイツが3体倒したってのはなんとか理解するが、レグスたちで倒しただってーー!?」
「うん!ぼくたち、全員が真のトランスに目覚めたんだ〜!」
「マジで!?」
「うん!トランスだったら倒せそうになかったから、『パパみたいになったら倒せる!』って思ったら、金色の流れが感じたんだ〜。その流れに合わせたらできちゃったんだ〜!」
「金色の流れ···。マジで龍脈じゃねえかよ···。本当に···、真のトランスに目覚めちまったんだな···」
「うん!えへへ···。これからはパパと同じようにぼくたちも戦うよ!パパを今度はみんなで助けるからね!···って!もう助けちゃったね〜!」
レグスは笑顔でそう言い切った。
オレは···、みんなまだまだ子どもだって思っていたんだ。戦闘はまだ早すぎる。もっといろんな経験をしてからでも遅くないって思っていたんだ···。
しかし、現実はそれを許さなかった···。トランスは自分の身を守るためにと思って教えたんだ。真のトランスは力が強すぎて制御がオレでも難しい時があるからだ。
オレがもっとしっかりしていれば、子どもたちに負担をかけさせずに済んだんじゃないか?レグスの話を聞いた最初はそう思った。
でも···、それはどうも違ったようだ。
レグスは笑顔で言った。『パパと一緒に戦える』と···。そして···、『パパを助ける』と···。
子どもの成長って速いんだなぁ〜。守る側から守る側になっちまったんだなぁ〜。嬉しいやら寂しいやら···。
オレはレグスの頭をなでてやった。レグスも嬉しそうだったな。
そんなやり取りをしていたら、ネボラとフェア、アルとルエルがやって来た。
「「「パパ〜!」」」
「やっと起きたか。まったく···。ここまで無茶をやるとは思わなかったぞ」
「仕方ねえだろうが···。って、お前!オレを気絶させただろ!?」
「そうしないとレオの命に関わりそうだったのでな。だが、そのおかげで子どもたちは真のトランスに目覚めたぞ」
「レグスから聞いた。まさか、こんな事で目覚めちまうとはな···」
「今のところは暴走の気配はないから、いざという時以外は使わぬよう言いつけておいた。というか、レオは暴走していたな。子どもたちよりも制御ができてないんじゃないか?」
「んなわけねえだろうが!?極度の疲労のせいだ!」
「ははは!悪い悪い!···だが、これで我が一家の戦力は大幅に強化できた。少なくとも数の暴力に対してはまず問題なく殲滅できるというのは大きいぞ」
「ああ。確かにな」
「あとは···、気をつけなくてはいけないのが出てきた」
「え?それって···?」
「今後、力を使わせずに制圧してくる手を使われる可能性が高い。だましたり、人質を取ったりとかが代表的か···」
「要するに、ほかの連中の思い通りにならなかった時って事か」
「そうだ。これからはそういった対策が必要になるな。これも子どもたちにこのあと教え込むとしよう」
力を得たってのはある意味いいんだが、こういった問題が出てくるんだとさ。まったく···、人ってのは難しいもんだな。
だからこそ、神狼族の隠れ里的なものが必要になってくるんだな···。ネボラは結構先の事を見ているってのがここでもわかっちまったんだ。
「さて、ここの王に話はつけておいた。一応報酬はいただいておいたが、今回の騒動については我が一家の活躍はなかった事にしてもらった」
「は?なかった事にって···?」
「あまりにも強大すぎる力を使う一家が救ったという話が広まると、我らが思いっきり警戒されてしまうのでな。まぁ兵士たちには見られてしまってるが、箝口令が敷かれた。多少の話が漏れるのは仕方ないが、『子連れの一家がハイパースタンピードを殲滅した』なんて話、誰しもバカバカしくて作り話だと思うぞ」
「あ〜、まぁ現実離れし過ぎてるか」
「だから、レオが十分に回復したらすぐに出発しようと思ってる。それまではゆっくり体を休めておけ。ほかのことは私に任せてくれ」
「···いや、今すぐ出発できるぞ。十分休ませてもらったからな」
「そうか···。では、明日出発しようか。今はもう昼を過ぎている。今出てしまうと、ここから離れない位置でのキャンプになってしまうからな」
「そっか···。じゃあ、今日1日はゆっくりするわ」
「そうしておけ。明日からはまたキャンプの日々が始まるからな」
今日はここで1泊することにしたんだ。部屋は大きく、ベッドも人数分ちゃんとあったんだ。
夕食はこの部屋でいただいた。結構な量だったが、子どもたちが全部食べきってしまったんだ。
育ち盛りだからだなぁ〜。レグスはオレの背丈にだいぶ近づいてきたんだ。···オレ、子どもたちよりも背が低いって事ねえよな?もしそうなるのだったらエレに言って背を高くしてもらうぞ!オレまで子ども扱いはイヤだからな!
そうして寝る時間になった。
「パパ?今日は一緒に寝ていい?」
「ん?レグス?いきなりどうしたんだ?」
「えへへ···。今日は一緒に寝たい気分なんだ」
「あたしもいいかな〜?」
「おいらも!」
「おれも!」
「おいおい···?フェア、アル、ルエルも···」
「レオ。いいじゃないか?それだけレオのことをみんな心配していたのだからな」
「そういう事か···。って、明日からキャンプだから、同じテントで一緒だってのに···」
まぁ、真のトランスができるようになったとはいえ、まだまだみんな子どもなんだなぁ〜。こうして甘えたい時もあるんだろう。
「よし!そんじゃあ一緒に寝るぞ〜!」
「「「「は〜い!おやすみなさ〜い!」」」」
今、オレは···、幸せなんだろうな···。
こうして家族が仲良く暮らせている···。何気なく、普段通りの当たり前。これこそが···、『幸せ』ってやつなんだろうな···。
創られた時には考えもしなかった状況だ。オレは死ぬまで戦い続ける。確かに今もやっちゃいるが、あの時はそれしか考えてなかったんだ···。
ところが、おっちゃんやネボラ、ティールたち仲間ができて···、そして子どもたちが生まれて···、オレの人生は変わったって思うんだ。
神によって創られた生物兵器ではなく、1人の人間として···。そして仲間として···。
オレは···、この世界を守る前に···、守りたいものができたんだ···。
意外とレオくんは親バカです(笑)!ですが子どもたちが著しい成長を遂げ、自分の背中を守ってくれるとなると嬉しいものだと思いますよ。
そしてレオくんが子どもたちの寝顔を見て思ったこと。作者は一生独身なのでこういった気持ちになることは絶対にありませんが、お子さんの成長を見るというのはこういう気持ちになるのかな~?と思いましたね。まぁ子育てという意味合いでは私の場合はこの作品たちってことになりますかね?
さて次回予告です。翌日、メッセンを出ますが、その時に思いもよらないことがありました!しかも2つ···。その事実を知ったレオくんはちょっと悩んでしまいました。いったい何があったのでしょうか?
それではお楽しみに~!




