遠征旅立ち編-16.子どもたち、真のトランスに覚醒する!!
「さて、今回の相手は6体。私が3体引き受けよう。お前たちで3体。それでいいか?」
「がんばる!」
「よし。相手は巨人だ。しかも大きな棍棒を持っている。当たれば即死だが、巨体ゆえに動きが大振りだ。対してこちらは体が小さく素早いから当たることはないと思うが油断するな。まずは足を狙え。機動力を奪ってしまえば一気に有利になる。遠距離攻撃をしかけて弱ったところで武器で攻撃だ。いいな?」
「「「「はいっ!」」」」
「では、思いっきり暴れてこい!」
ここからはオレがネボラから聞いた内容になるな。オレは気絶してたんでな。
この巨人の魔獣、一筋縄ではいかなかったんだ···。まずは子どもたちの戦闘から話すぜ。
「レー!1たいをしゅーちゅーこうげきするよ!」
「わかった!アル!ルエル!2たいのちゅういをひきつけて!」
「おう!」
「わかった!」
3体同時ではなくて1体に集中攻撃。この判断は正しいな。まずは数を減らす。でないと巨人側が連携攻撃を仕掛けてきかねないからな。
集中攻撃はレグスとフェアが担当し、ほか2体はアルとルエルが注意を引いて引き離す作戦だ。
アルとルエルは爆発魔法をそれぞれの巨人の顔にめがけて打ち込んだ!
「「グゥッ!?」」
「へへーん!こっちだ!デカブツ!」
「くやしかったらここまでお~いで!」
安易な挑発だがこれが見事に決まった!巨人2体がアルとルエルを別々に襲い掛かろうとしていたんだ!
「それじゃあぼくもいくよ!フェア!サポートおねがい!」
「ええ!ロックガトリング!」
フェアが巨人に向けてロックガトリングを打ち込んだ!ただ、巨人がデカ過ぎてダメージにまで至ってなさそうだった。だけど、これはおとりだ!巨人がロックガトリングに気を取られているそのスキに、レグスが巨人の足元まで突っ込んでいたんだ!
「うぉおおおおーーーー!!」
ガキーーーン!!
レグス渾身の横薙ぎだったが、巨人の足にはキズすらつかなかったんだ!
そして、この攻撃で巨人はレグスが足元にいると気づいてしまい、踏みつけようと足を上げた!
そのタイミングで、フェアが魔法を放つ!
「いま!スローボム!」
フェアが爆発魔法を巨人に向けて放った!そこまで大きな爆発ではなかったものの、片足立ちだった巨人はバランスを崩して後ろ向きに倒れ込んだんだ!
「レー!」
「フェア!」
レグスとフェアがここぞとばかりにトランス状態へ変身した!そして、巨人の顔まで一気に詰め寄って、目を狙った!!
「「やぁあああーーー」」
ズブッ!!
『ギャアーーーーーー!!』
「うわっ!?」
「きゃあっ!?」
足を狙った時に攻撃が通じないとレグスは気づいたので、目を狙った作戦は成功だった!だが、巨人が痛みで大暴れし始め、レグスとフェアは振り落とされてしまった!
「イタタタ···。へへっ!どんなもんだい!」
「でもレー?ここからどうやってたおす?」
「う〜ん···。こうげきりょくぶそくなんだよなぁ〜。パパみたいに『しんのトランス』ができたらなぁ〜」
「じゃあ···、いまためす?」
「えっ!?フェア!いまここで!?」
「うん!ここでやらないと、みんながあぶない!」
「···わかったよ!ぼくもがんばる!」
ちなみにオレは子どもたちに真のトランスは教えてなかったんだ。それでもレグスとフェアは···、ここでなっちまったんだ!
レグスとフェアは無意識にお互いの手をつないだ。そして、目をつぶって集中し始めた。
その直後!
「···あっ!?」
「これかな!?」
「うん!きんいろのながれがみえた!」
そう!この金色の流れってのがこの星を巡る魔力の流れである『龍脈』なんだ!それを、レグスとフェアは瞬時に感じ取った!
そして···、その龍脈の魔力の流れに自分の魔力を同調させた!
「来た!!」
「いけそう!!」
「フェア!!」
「うん!!一緒にやろう!!せーの!!」
「「はぁあああーーー!!」」
2人が叫ぶと、体に現れた紋様が淡く光り出した!そして目も金色に輝き始めたんだ!
「やった!成功だ!力があふれてきた!」
「これがパパがなってた真のトランス···!」
「すごく暴れそうだ···!でも!」
「お願い!言う事聞いて!この力!みんなを守るために!!」
すると、なんと制御することができたんだ!これも神狼族の本能なのかもな···。もしかすると、オレを超えるのもすぐかもしれないかもなって思ったな!
その間に巨人は立ち上がっていた!レグスとフェアがいる位置がわからないのにも関わらず、持っていた巨大な棍棒をがむしゃらに振り回し始めたんだ!
「フェア!今ならやれるぞ!」
「うん!いこう!レー!」
「うぉおおおおーーーー!!」
レグスとフェアが走る!二手に分かれてレグスは再び足を狙った!
ズバッ!!
今度は攻撃が通じた!レグスが持っていた魔力剣は、今は金色に光り輝いていたんだ!
『グァアアアアーーー!!』
巨人はバランスを崩してまた倒れた!そこにフェアが走り込んで、棍棒を持っていた右腕を斬りつけた!
その間にレグスは巨人ののどに張り付き、そして魔力剣を突き刺した!!
こうして1体を倒すことに成功したんだ···。
「フェア。この力、すごいね···」
「あっという間に倒せちゃったからびっくりだよ···」
「よし!次はアルとルエルが注意を引いてる巨人だ!」
「うん!レー!あたしはアルの巨人を倒す!」
「わかった!ぼくはルエルの巨人をやるよ!」
そう言って2人が別れようとしたその時!
『ガ···、ハ···』
巨人が2体とも倒れようとしていたんだ!そしてその足元にいたアルとルエルは···!?
「···えっ!?ま、まさか!?」
「え〜!?アルもルエルも〜!?」
「あ〜、あはは!レー兄!フェア姉!なれちゃったぜ!」
「おれも真のトランスできちゃったよ!これってすっご〜いね〜!」
···そう。アルとルエルも真のトランスに目覚めてしまったんだ。しかも手持ちの武器が変わってたんだ。
アルの魔力剣はは斧に、ルエルは槍になってたんだ···。
「おいらの魔力剣、こんな形になっちまったんだ。でも、これ結構使いやすいんだぜ!」
「おれは槍だね。うん!しっくりくるよ!」
こうして子どもたちはあっさりと巨人を倒してしまったんだ。真のトランスに覚醒するというオマケ付きでな···。
ちなみにネボラは3体ともあっさりと斬り捨ててたんだ···。この神剣ムラマサ、斬れ味すごすぎね?すでに人を辞めてねえだろうな?
「ははは!まさかこんなにあっさりと巨人を倒してしまうとはな!しかも···、みんな覚醒してしまったんだね?」
「「「「はいっ!」」」」
「いいかい?その力はすさまじい。制御を誤ったら、その場でドカンッ!だ。パパだって、さっきのようになってたのは見てただろう?あまり使いすぎるんじゃないよ。しばらくは『いざ!』という時だけにしておくんだ。いいね?」
「「「「はいっ!···えへへ」」」」
こうしてメッセンで起きたハイパースタンピードはかなりのの被害があったものの、滅亡を逃れることができたんだ···。
あっさりと子どもたちも真のトランスになってしまいました。というわけで能力に目覚めたのでセリフに漢字がここから入ります!
もともと能力自体は備わっていたので、いつ開花するか?という段階だったんですね。本当はもっと力の制御ができてないと危ないのですが、状況がそれを許してくれませんでした。
本作では結構子どもが大活躍するシーンが非常に多いです。まぁ、おっさんやおばはんが大活躍!なんて作品はそんなに多くないですし、世に出回ってる異世界ファンタジーものというジャンルは少年少女の活躍がほとんどです。
なぜなら小さい子が頑張ってる姿というのは応援したくなるからなんですね。ですが大体の作品はその理由は出されていません。
本作では本編の第9章で明かしましたが、このエーレタニアでは平均年齢が非常に低く10歳で成人して結婚と子作りができるという設定になっています。そしてその理由も『魔獣被害がすさまじいために成長が早くないと滅びるから』という過酷なものなんですね。野生動物が生まれて1時間もしないうちに歩けるようになるのはこれが理由です。
また栄養を魔法や体力へ割り振って、小柄で身を隠しやすくする方向へ進化したために身長が低めです。
ですので現代社会の常識はこの世界では通じません。地球人よりもエーレタニア人は同じ寿命でも成長が早くて強いんですよ。このあたりは環境に適応して生き延びるために進化したとも言えます。
レグスくんとフェアちゃんは6歳、アルくんとルエルくんに至っては5歳で実力はもう1人前になりました!ちょっと経験不足ではありますけどね。
さすがにこれは神狼族だからこそで、この世界でもちょっとチート過ぎますね。
ですがネボラさんの方がさらにチート過ぎました(笑)!ネボラさんは至って普通のエーレタニア人ですよ。鍛えたのがエマさんだったってだけですが。
さて次回予告ですが、レオくんが起きます。そして状況を知って思いっきりびっくりしますよ~!
そしてその日の夜、子どもたちがレオくんと一緒に寝たい!と言い出して一緒に寝ます。子どもたちの寝顔を見たレオくんは何を思うのでしょうか?
それではお楽しみに~!




