遠征旅立ち編-15.メッセン防衛戦! その5
本日はインテックス大阪にて開催されました文学フリマ大阪14にて出店しておりました〜。
「とんでもねえ数いやがるじゃねえかよ···」
翌日の早朝にスタンピードの本隊が来ると予想していたんだが、なんと深夜に襲撃してきやがったんだ!
しかも、今日は満月だ!夜なのにかなり明るいから黒い影が無数いるのが丸見えだった!
先頭はすでに壁に張り付いていた!こりゃ突破されるのは時間の問題だ!
「あんたらは壁を乗り越えた分だけ始末してくれ!オレが飛び出したら巨大な防壁を仮で作るから」
「は、はい!」
兵士の返事を聞いて、オレは壁から飛び降りた!その最中に真のトランスになり、着地と同時に大規模殲滅魔法を放った!!
「ブラッディサンドストーム!!」
オレを中心に暴風が吹き荒れる!地面にあった砂を巻き上げて、それが魔獣たちに向けて進み始めた!
すると、砂嵐が徐々に赤黒くなってきた!砂嵐で体が砂で削られていくんだ。巻き込まれれば命はない。
まぁ、今は月明かりがあっても夜だから色ははっきり見えねえけどな!これで壁に取り付いていた魔獣をすべて引き剥がしておいた。···若干壁もえぐれちまったが、補修できる範囲だろ!···そうであってほしいんだが。
そしてオレは前に出て、振り返ってから魔法で巨大な壁を作り上げた!土を盛っただけだから大した強度はないけどな。ついでに目隠しって意味もあるぞ!
「さてと···、そんじゃあ本番始めるぜーー!!」
魔獣はやっぱり大型化していた。にもかかわらず前兆の時と数が大して変わってねえ。これは相当しんどい戦いになりそうだな···。
そしてオレが戦闘開始してから4時間が経過した···。
「···ん?んーー」
「レー、おはよう」
「レーにいはあさねぼうだなぁ〜」
「レーにい、はやくきがえよ」
「ん〜?あれ?フェア?パパとママは···?」
「おきたらいないの···」
「···へ?どこいったんだ···?」
そうレグスが言った時に扉が開いた。そこには武装したネボラがいたんだ。
「みんな起きたな。すぐに朝飯にして出撃するぞ」
「···え?まじゅう、もうきてるの?」
「ああ。パパが···、深夜から戦ってる」
「なんだって!?」
「パパひとりで!?」
「なんでおこしてくれなかったんだ!?」
「ママはいかなかったの!?」
「落ち着け!!」
「「「「うっ···」」」」
「深夜の襲撃にお前たちを出せるわけないだろう?まだ戦闘に慣れてないんだ。全快の状態でないと、お前たちの命に関わる」
「············」
「パパは『万全の体制で加勢に来てくれたらいい』と言ったんだ。ここに魔獣が来ていないということは、パパはまだ大丈夫だ。心配ならすぐに準備して朝飯食べてから頑張るんだ!いいな!?」
「「「「はいっ!!」」」」
そうして···、ネボラと子どもたちが見た光景は驚くべきものだった···。
「これ···、パパがやったの···?」
「そのようだな···。まったく···、ここまで無茶をするとは···」
その光景は···、防壁以上に高い壁が目の前に立ちはだかり、その壁の向こうは···、昨日よりもさらに多くの魔獣たちの亡骸の山ができていたんだ···。周囲にはすさまじいニオイがし始めていた···。
そして、その頂上にオレは血まみれの状態で立っていた。
「「「「パパーー!!」」」」
「はあっ···、はあっ···。や、やっと···、来てくれたな···」
「ごめんなさい!パパ!」
「おそくなっちゃった···」
「パパ?だいじょうぶか···?」
「ぜんぶ、やっつけちゃったの···?」
「···いや、これはまだ始まりだ。ここからが···、本番だぞ」
「「「「えっ···?」」」」
「あれを見ろ」
オレが向けた視線の先には···、森の木よりも大きな魔獣が6体も立っていたんだ!
「あ···、あんなにおおきいの···?」
「あれをたおすの···?」
「で、できるか···?」
「で、でも···。おれたちがやらないと···」
「正直言ってお前たちには荷が重すぎる。ネボラと一緒に城に戻ってろ」
さすがにあれは子どもたちには厳しすぎた。一撃でも当たれば即死は避けられない。回復魔法すら間に合わない戦場は早すぎるとオレは判断したんだ。
けれども···。
「やる!」
「ひとりじゃむりかもしれないけど!」
「おいらたち4にんだったら!」
「うん!おれたちでやれる!」
子どもたちは最初は恐怖していたが、やる気になったんだ···。
「お、おい?本気かよ?」
「レオ。やらせてやれ」
「ネボラ?いいのかよ?」
「失敗なら私がフォローに入る。それよりもレオは満身創痍じゃないか···?少し休んでいろ」
「んな事、できるわけねえだろうが!?」
「はぁ~~~···。レオはまだまだだな···」
「なに!?」
「今のレオは、いわゆる『コンバットハイ』と呼ばれる状態だ。レオ自身は気づいてないが、緊張と疲労で極度の興奮状態になってるのだ。だからまだ戦えると思っているが、いくら真のトランス状態が無敵だとしてもこれ以上は今後のレオの人生に大きな傷になりかねん」
「そんなこと!」
「ほら、その言動が証拠だ。いいから休んでおけ。たまには私たちに任せてみるのもいいと思うぞ」
「だけど!」
「はぁ〜···。これは口で言ってもダメか···。なら仕方ない。レオにはしばらく無理やり眠ってもらうとしよう。秘剣、裏打ち」
「なっ!?がはっ···!?」
そう、この時のオレは長時間にわたる戦闘と、疲れが取れずに深夜からの連戦でおかしくなってたんだ。だからネボラから首筋に強烈な一撃を食らって、気を失ってしまったんだ···。こいつの剣術は真のトランスの防御をも無効化して効いてしまうんだよなぁ~。
「マ、ママ···?」
子どもたちはドン引きしていた···。ここまで無双状態で魔獣を倒しまくっていたオレを、ネボラはたったの一撃で倒してしまったからな。
「まったく···。子どもたちよりもワガママで手のかかる父親だ。まぁ、レグスとフェアとは2歳しか違わないという意味では子どもと変わらんか。レオひとりで激戦はすこしばかり危うすぎるな。子どもたちの心配よりもまずは自分の心配をするべきだ。さあみんな!ここからは手加減抜きで全力全開でやるんだよ。パパが起きた時にはすべて終わってて、パパがびっくりするマヌケな顔を見れるようにするぞ!」
「「「「はいっ!」」」」
そしてこれが現実になってしまい、オレはネボラが言った通りマヌケな顔をして子どもたちに笑われちまうんだよなぁ~。
単独でスタンピード殲滅が可能なのが神狼族の最大の特徴ではありますが、それは『物理的』に過ぎません。
あくまで『人』である以上肉体的ダメージは真のトランス状態で持ちこたえれるものの、『心』は疲労というダメージが目に見えず溜まっていきます。
レオくん達の場合は先に心のダメージが表に出やすいんですね。なのでネボラさんは物理的にレオくんを止めました(笑)。やはりこれができるからこそ、レオくんの奥さまなんですよね〜。ちょっと強烈な愛情表現ですけどね(笑)。
さて次回予告ですが、巨人6体を相手にネボラさんと子どもたちが挑みます!然し子どもたちはトランス状態では歯が立たず···。
その時、フェアちゃんがレグスくんにある提案をします。どんな提案なのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




