遠征旅立ち編-14.メッセン防衛戦! その4
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「お待たせいたしました!お会いになられるとのことです。ですが、非常時ですので対策本部で話を伺いたいとのことですが、よろしいですか?」
「ああ。構わない。それと···、私はもうテーパーの王ではない。このように面会してもらえるだけでもありがたいのだ」
「いえ···、さすがにそれは。王ではなくても剣聖様であるのは変わりませんから」
「そうか···。お心遣い、感謝する」
「はっ!ではご案内いたします!」
ネボラに連れられて城にやって来た。話をすると、あっさりと中に案内されたんだ。
どうもアイツの昔の肩書きを使ったみたいだな。話を聞いた兵士の顔色がすぐに変わったからな。その兵士は血相変えて城の中へ走って行ったんだよ。
「クリートでは王って名乗ったら恥ずかしいって言ってたのに、ここでは使ったな」
「あんまり使いたくはないが、事情が事情だ。それに、どちらかといえば『剣聖』の方が知られてはいたみたいだからな」
「おかげで話を直接王様に言えるってわけだな。剣聖の肩書き、ありがたく使わせてもらうぜ」
「ああ。せっかくの特権だ。こういう時に役立つならありがたいさ」
案内の兵士に連れられて来たのは作戦本部とやらの大きい部屋だった。
多くの人が大声で言い合い、そして人の出入りも結構あった。ここが兵士たち全体を指揮してるんだな。ある意味ここも戦場だ。
そんな状況を険しい目で見ている女がいた。どうやらこの人が王様のようだ。
「王!剣聖ネボラ様がお越しになりました!」
「おお!あなたがウワサの剣聖だな!そして···、今は滅びてしまったテーパーの王か。初めまして。私はシメラー。この国の王を務めている」
「お初にお目にかかる。今はただのネボラだ。このような場を設けていただき、感謝する」
「活躍は兵より聞いている。此度はスタンピードの脅威から国を救っていただき、感謝する」
「たまたま通りがかっただけだ。それに、助太刀はしたがここまで耐えられたのは兵士たちの結果だ。兵士たちの労をねぎらってもらえればいい」
「ずいぶんと謙虚なのだな···。わかった。それで、急ぎ報告したいこととは何か?」
「夫が言うには、これはハイパースタンピードの前兆らしいのだ。さっきの数倍の魔獣が押し寄せてくる可能性が極めて高いそうだ」
「なんだと!?あ、あれの数倍!?」
「おそらくこのままではメッセンは滅んでしまう可能性が高い。それに隣国のトロリーやクリートにも被害が及ぶのも否定できなくなってしまう」
「そうか···。打つ手は···、ないのだな?いますぐ国を捨てて避難しろと···」
「いや、そうではない。我が一家全員でハイパースタンピードからこの国を守ってみようと考えているのだ」
「なに!?一家でだと!?子どもも戦うというのか!?」
「はい。この子たちはすでに私を超えている。だが実戦経験が足りなさすぎる。そこで、今回のハイパースタンピードで経験を積ませようと考えているのだ」
「とても賛同できる話ではないな···。言葉は悪いが、狂っているとしか言いようがないぞ?親として、その判断はいいのか?」
「ええ、普通に考えればおっしゃる通りだ。だが···、夫の戦闘能力は先ほど実証された。そして、その血を受け継ぐこの子たちも夫ほどではないがかなりの力がある。子どもたちもやる気は十分だ。壁の外は我が一家に任せてもらい、壁の内側についてはそちらでお願いしたい」
「にわかには信じがたいが···。確かにそちらの夫はあの大軍をたった1人で倒し切ってしまったのだな···。わかった。藁にもすがる思いではあるが、頼むとしよう。報酬は何を望む?」
「報酬···?あ~、ははは!まったく考えてなかったな!特にないな!」
「特にない···?剣聖は無欲なのだな?」
「いや?そうでもない。報酬は···、この戦闘経験というのでいかがかな?」
「···本気のようだな。わかった。報酬はこちらで検討しておこう。国を善意で救ってもらって何もないというのは沽券に関わる。ところで、そのハイパースタンピードはいつ起こるのだ?」
「レオ?どうなのだ?」
「ん?あ~、おそらく明日の早朝だろうな」
「そうなのか?」
「ああ。魔獣は危機察知能力が高い。今回はここらへんに元々いた魔獣だった。大量に発生した未知の魔獣の気配に気づいてパニックになったんだろうな。だから···、こっちに向かってきていると考えれば明日だと思うぜ」
「わかった。では、休息用の部屋をすぐに用意しよう。食事も提供する。何かあれば連絡する。これでいいか?」
「ああ。ご厚意に感謝する」
やっぱりネボラは王様なだけあったな。他国の王様に対してもまったく物怖じせずに普段通りに話して交渉を終えたんだ。
こういう時は本当に助かるぜ!オレだったら交渉なんてできずにいいように使われるだろうからな。
そう考えると···、オレが最初におっちゃんに出会えたのは幸運だったのかもな。
そして、このあとすぐに客室に案内された。『急でしたので清掃が行き届いてないかも』って言われたが、そんな事はなかったな。
そして、食事が運ばれてきた。オレとしては食堂でいいって思ってたんだが、どうもそれもマズいようだった。
「レオ、この判断は正しいぞ」
「そうなのか?さっさと食事済ませて寝ようって思ってたんだけど?」
「まず、食堂は一般の兵士や城の職員が使ってる。さっき戦場での兵士たちの反応を見ただろう?恐怖の対象が食堂にいたら、それこそパニックになりかねん」
「あんまりやり過ぎるとこうなっちまうんだなぁ〜」
「そうだな···。だからレオの遠征で国に関わらなかったのは、こういう意味でも大正解だ」
「今後も同様な事になるかもな」
「その時はその時だ。レオの無限収納リュックには食料もテントもあるから、休むには十分だ。···ちなみに、家は無限収納リュックに入るのか?」
「家?どうだろうなぁ〜?城から持ってきたお前用のベッドは入ったな」
「小屋でもいいが、家が入ればどこでも暮らせるな!」
「それはそれでどうなんだよ···?」
そんな話をしつつ、食事を済ませたオレたちはすぐに寝ることにしたんだ···。明日は今日以上に激戦になるだろうからな。
しかし···、オレの予想は外れてしまったんだ···。
それは深夜に起こった!
ドンドンッ!
「ネボラ様!大変です!魔獣の集団が!!」
その音を聞いたオレとネボラは飛び起きた!子どもたちはまだ寝ている。
オレは扉を開けた!そこには慌てた表情の兵士がいたんだ!
「状況は!?」
「国の西から来ました!今日は月が出て明るかったので襲撃が判明しましたが、総数は不明で···」
「わかった!ネボラ!オレが先に出る!子どもたちは起きたら、メシ食わせて万全の体制で加勢に来てくれたらいい!」
「いいのか!?レオの休息が十分でないぞ!?」
「大丈夫だ!3時間横になれただけでだいぶ身が軽いぜ!行ってくる!」
「···わかった。ムリはするなよ!···と言っても聞かんだろうがな。死ぬなよ!」
「ああ!言われるまでもねえよ!」
そしてオレが壁までやって来て、そこで見た光景は···。
見渡す限りが魔獣で埋め尽くされた大地だった···。
レオくんも言ってますが、ネボラさんがめっちゃ頼もしいですね~。
さすがにレオくんだけではこういった交渉は難しいです。後方サポートはネボラさんが全部やってくれますので、レオくんは戦闘に集中できるんですよ。いい夫婦の連携ですね。
さて次回予告ですが、深夜の襲撃で1人で出撃したレオくんですが、翌朝子どもたちが起きて戦場へ向かうと血まみれのレオくんがいました···。しかしこれは前座。そしてさらなる強敵が現れました!満身創痍のレオくんはどうなるのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




