遠征旅立ち編-13.メッセン防衛戦! その3
「うぉおおおおーーーー!疾狼剣!」
ネボラたちが壁の内側で魔獣退治やってる間、オレは壁の外の魔獣退治を行なっていた。こっちのほうが圧倒的に数が多いんだ。だからこそオレがやるんだ!本領発揮だぜ!
そうやって無双していると、視界内に兵士が見えてきた!オレは国の外から攻撃を始めたから、これで魔獣の包囲網を突破したってなるな!
というわけで、兵士を相手にしている魔獣に向けて攻撃したってわけだ。一応、オレが暴れてるって話だけはしとかないとな!
「大丈夫か!?助太刀に来たぜ」
「おお!本当に助かったぞ!さっきのどデカイ爆発はあんただったんだな!」
「おう!3割ぐらいは吹っ飛んだと思うぜ。あんまり長話できる状況じゃねえから、簡単に状況を教えてくれ!」
「ああ、そうだな!2日前に大雨が降ってから魔獣が森からどんどん出てきたんだ」
「2日か···。よく持ちこたえたな」
「防壁はそれなりに頑丈だったんだが、どんどん大きいのが現れてな···。防壁も魔獣の死体で山ができちまって侵入を許してしまったので、こうして壁の前で戦わざるを得なくなってるんだ」
「壁の内側はオレの妻と子どもたちがさっき入ったから大丈夫だ。オレは···、こいつらすべて潰すけどいいか?」
「···は?いや、この数を1人で···?本気か?」
「本気さ。さっきの爆発見ただろ?あれ、何発だって撃てるからな!そんじゃあ兵士さんたちの邪魔にならない場所で暴れてるからな!何かあったら呼んでくれ!じゃあな!」
「ちょっと!?」
さてと···、状況は把握できた。
どうやら『黒魔力嵐』があったようだ。
黒魔力嵐とは非常にまれに発生する災害だ。
黒魔力自体は大規模魔法の行使で人為的に発生し、ある程度は自然消滅するものの、一定以上の濃度があると異世界とのゲートがわずかな時間開いて、魔獣が発生するんだ。
ちなみに黒魔力は実は龍脈からもわずかだが発生している。というのも、この世界の維持にも龍脈の魔力で魔法が使われているからだ。
この自然発生的な黒魔力が何らかの理由で1箇所に溜まると黒魔力嵐が発生するんだ。
この黒魔力嵐由来のスタンピードは規模がデカい!黒魔力嵐以外の理由で発生するスタンピードの約5倍もの数にまで膨れ上がっちまうんだよ。いわゆる『ハイパースタンピード』ってヤツだな。
これ、よっぽどの悪条件がそろわない限りならないんだけどな。もしかして···、人為的に起こされたか···?
···ちょっとばかり厳しいかもな。おそらく魔獣のおかわりが発生してる可能性が高い。
とにかく、今目の前にいるのが第一陣ってところだろう。まずはこいつらを潰す!
ここからは体力が続く限り魔獣を倒しまくった!幸いな事に、ここには兵士とかがいねえ。大規模殲滅魔法を使っても巻き込む心配がねえのは気を遣わなくていいから非常にやりやすい!
そうして夕方になった。第一陣はほぼ壊滅···、というぐらいまで倒すことができた。
メッセンの国の外はとんでもない数の魔獣の亡骸が埋め尽くしてしまっていた···。
「はあっ!はあっ···。な、なんとかなったが···、こりゃキツいわ···」
体力的、魔力的には問題ねえんだよ···。真のトランス状態だと常時回復してるからな。
だけど、精神的にはかなりキツい!いったいいつ終わるんだよ!?ってなっちまうんだよなぁ〜。これが疲弊する理由だ。
とりあえず、オレは壁の外にいた兵士のところに戻ったんだ。
「なんとか···、片付いたぜ」
「あ···、ああ···」
兵士たちは呆然としていた。···まぁ、やり過ぎたってのはオレ自身もわかっちゃいるがな。でも、やらないとこの国は滅亡していたんだ。
そんな時だった。
「「「「パパ〜〜!!」」」」
オレのところに子どもたちが走ってやって来たんだ。無事だってのは分かっちゃいたが、こうして疲れてる時に子どもたちの笑顔は···、元気の活力になるな!
「パパ!これ、ぜんぶやったの!?」
「ああ、レグス。レグスも大きくなったらこれができるようになるからな!」
「パパ!すっご〜い!」
「ははは!フェア、これぐらいは楽勝···、って言いたいんだが、今回はキツかったぜ···」
「パパ!おいらもこんなにたおせるかなぁ〜?」
「ああ、アル!ただ、力の使い方を間違うと自分がやられちまうからな」
「パパ!おれたちもがんばったよ!」
「ああ、ルエル!こっちに来たって事は、殲滅できたんだな。よくやった!」
そうして子どもたちが抱きついてくると、ネボラがゆっくりとオレに近づいてきた。
「レオ、お疲れ様だったな。しかし···、この魔獣の数を倒し切るというのはさすがだな!」
「へへっ!これが神狼族の務めだからな。ただ···、これは前兆かもしれねえぞ」
「なに···?どういうことだ?」
「黒魔力嵐があったらしい。そうなると、これはここの近場にいた魔獣たちが逃げ出して、その先がここだったってわけのようだ」
「···となると、このあとにさらに?」
「···ああ。もっと手強い魔獣がわんさか出てくる可能性が高い」
「···わかった。とりあえず、ここの王に状況を説明した方がよさそうだな」
「ああ。兵士たちも引き揚げた方がよさそうだな」
「わかった。では、城に向かおう」
そう言って、ネボラはオレを城へ案内してくれた。この時、壁を守っていた兵士たちからは礼は一切なかった。
やっぱり···、オレの力を恐れてるようだ。
そりゃそうだろう。あんな数の魔獣を、オレ1人で壊滅させちまったんだ。その力を自分たちに向けられたら···?と恐怖で考えたらそうなるか···。
こりゃ、ネボラが言ってたことは正しかったな···。今はネイレに住んではいるが、ネイレでここみたいな激戦になった時に、おっちゃんたちのような理解者がいなかったら···。
そんな中、ネボラは堂々と一番前を歩いていた。その後ろ姿は、『文句があるならかかってこい!』って言ってるような雰囲気があったんだ。
そのおかげか、オレたちに声をあげようとするヤツはいなかったな···。ちょっと助けられたな。
「···ん?どうしたんだ、レオ?」
「···いや。お前のおかげで助かったなって思っただけだ」
「ほう?私の考えがわかっていたか」
「ああ。だてにもう8年付き合っちゃいねえよ。子どもたちにオレを迎えに行かせたのも作戦だろ?」
「ああ。···あのような雰囲気は、のちのちやっかいな事になるからな。レオは1人の『人』であると見せつけるために子どもたちにも協力してもらったってわけだ」
「えへへ!でも、パパにいったのはえんぎじゃないからね!」
「パパがかっこいいのはとうぜんだもん!」
「おいらもパパみたいになりたい!」
「おれも!」
「レグス···、フェア···、アル···、ルエル···。ありがとな!」
「「「「うん!」」」」
「さて、城での折衝は私に任せておけ。とりあえず、レオとしては兵士も避難ということでいいか?」
「ああ。おそらくさっきの3倍以上とやり合うのは確実だからな」
「わかった。ならば、私たちも出よう」
「たち···?お、おい!?ま、まさか!?」
オレがこの先の言葉を言おうとしたその時、子どもたちがオレに向けて振り向いた。
「うん!ぼくたちもでる!」
「レグス!?」
「パパほどできないけど、がんばる!」
「おいらだってすこしはできるんだ!」
「おれだって!パパばかりたいへんなのはダメだよ!」
子どもたちは真剣な目でオレを見つめていたんだ···。
「···本気、なんだな?」
「「「「はい!」」」」
「レオ。この子たちはさっきの戦いでも十分に力を発揮していた。まだまだ荒削りではあるが···、戦場に出しても問題ない。子どもたちの決意を···、汲んでやってくれ」
エレの知識の中には『親離れ・子離れ』という言葉があった。子どもたちが成長したら独立するために···、自分の力だけでも生きていけるようにするものだそうだ。
格好は子どもでも、もう1人でも十分に戦えるって言ってる。そして···、自分の力だけでやると言うんだ。
親だから心配ってのはもちろんある。だが···、ここは子どもたちに頼ってみるか!
「···わかった。ただし!対応できない魔獣が出たら、オレがやる!···手伝ってくれ!」
「「「「はいっ!」」」」
さて···、相手の規模はどんなものなんだろうな?
ネボラさんはレオくんの事を心配してちょっとした演出をしてみました。
レオくんの力は強大すぎます。そのために『自分たちにそのチカラが向いたら?』と考えてしまうと近づきたくない、またはなんとか追い出そう!としてしまします。
そのため、ネボラさんはその雰囲気を緩和させるために一芝居うちました。堂々と歩くネボラさんを想像しただけでめっちゃかっこいいですよ〜!
さて次回予告ですが、ネボラさんの昔の肩書のおかげでメッセンの王様に直接面会することができました。ハイパースタンピードは翌朝の予想なのでゆっくり休もうとすると···?
それではお楽しみに〜!




