遠征旅立ち編-12.メッセン防衛戦! その2
オレたち一家は2手に分かれてスタンピードで襲撃されたメッセンを救うべく動いていた。
オレは壁の外の本隊を、ネボラと子どもたちが壁の中へ侵入してしまった魔獣を担当することにしたんだ。
ここからは引き続き壁の中でのネボラと子どもたちの活躍をお届けするぜ!
魔獣を倒しながら城の方へ進むネボラ。その後を子どもたちが必死についていっていた。
城の前では多くの兵士たちが魔獣相手に奮戦していた!その背後からネボラたちが加勢に入った!
「秘剣、菊」
ネボラは大きく飛び上がると、神剣ムラマサを大上段から振り下ろしながら着地した!着地した衝撃波で魔獣が大きく吹っ飛んだんだ!
「な!?何者だ!?」
「私かい?魔獣を倒す旅をしてる一家さ。旦那は今壁の外でスタンピードの本隊を薙ぎ払ってる最中さ。子どもたちも···、うむ。ちゃんとやって来たな」
「え···?」
ネボラが振り向いた先では魔獣がどんどん吹き飛ばされている様子が目に映った。それをやってるのが幼い子どもだという状況を、ネボラに尋ねた兵士はまったく理解できずに呆然としてしまった···。
「はあっ!はあっ!」
「マ、ママ···。はやすぎるよ···」
「やっとおいつけた···」
「きびしすぎる···」
「ははは!でも、ちゃんとやれたじゃないか。手助けが必要かと思っていたが、ちゃんと倒せていたから少しずつ速度を上げていたのだ。なのにちゃんとついてこれていたな!思っていた以上に成長していて、ママは嬉しいぞ〜!」
ここでまさかのカミングアウトされて、子どもたちはどっと疲れが出てしまったんだ。必死についていってたら、いつの間にか倒す負荷が増やされていた事を知ってしまったんだ···。
「ここはこの国のお城だ。防御が一番堅い。国外へ避難できなかった人たちがここにいるんだ。ここに魔獣が押し寄せてこないよう、私たちはこれからまた町中に戻って魔獣を倒すぞ。いいな?」
「「「「は、はい!」」」」
「ではそういうわけだ。この城以外の重要拠点があればそちらへ向かうが、優先して対処したほうがいい場所はあるか?」
「だったら···、ここを右に行った先にもう一つ避難所があるんだ。そこを頼めないか?」
「わかった。そちらが片付き次第、町中をうろつく魔獣の殲滅にかかるとしよう。それでいいかな?」
「ああ。すまない!もし終わったらまた城に寄ってもらえるか?」
「礼の事か?わかった。外で戦ってる旦那と一緒に訪問させてもらおう」
そしてネボラたちはもう1箇所ある避難所へ向かった!道中では多くの魔獣と兵士たち、そして···、逃げ遅れて犠牲となった人たちが倒れていた···。
ネボラは後ろを振り返ると、子どもたちは立ち止まってしまっていた。あまりの凄惨な光景を見てしまってショックを受けていたんだ。
「見ていてつらいのはわかる。だが、そう思うならこのように犠牲になってしまう人たちを少しでも減らすのが私たちの一番の仕事だ。だが、これだけはちゃんと理解しておかないといけない。それは、『自分たちはできるだけのことをするのであって、無理なものは無理だ』ということだ」
「むりなものはむり···?」
「そうだ、レグス。人によってはこういうことを平気で言う連中もいる。『もっと早く来てくれていれば助かったのに!』とかな」
「あ···」
「だが、それはそういうことを言う連中の勝手だ。そんな勝手な言動を恐れてはならない。私たちは義務で戦ってるんじゃないんだ。『こういった人たちを少しでも少なくしたい!』という思いで戦うんだ。それを忘れるんじゃないぞ」
「「「「はいっ!!」」」」
「よし!さあ!まだまだ仕事はたくさんあるぞ!思っていた以上に魔獣が入り込んでいるようだ。私一人だけだとできなくはないが、やはりお前たちの力が必要だ。やってくれるな?」
「「「「はいっ!!」」」」
「じゃあ行くぞ!」
そうしてたどりついた避難所では魔獣に囲まれていた!そこでは多くの兵士が傷つき倒れていたり、そして多くの魔獣も倒されていた。
そしてそこでは孤軍奮闘する男が1人いたんだ。
ただ、その男の武器は少々変わっていた。使っていた武器は大鎌だったんだ。
「おや?援軍ですか?それにしては少し出で立ちが違いますが···。話はあとにしましょう。手伝っていただけるのですね?」
「ああ。あんたは変わった武器を使うのだな」
「いろいろ使えますが、これが一番しっくりくるんですよ」
「そうか。あとでちょっと話を聞いてみたいね」
「ええ。どうぞご無事で」
「あんたもね」
ネボラは軽く会話を交わしてから魔獣に立ち向かった!そして、子どもたちも連携してネボラに負けないぐらい魔獣を倒していったんだ。
そして殲滅が完了したんだ。
「よく頑張ったな!ケガは···、レグスが回復魔法をかけたんだな?」
「うん!」
「やはり実戦に勝るものはないな。アルとルエルもいい戦いぶりだったぞ!」
「やったぜ!ママにほめられたのってはじめてかな?」
「やったね!ママにほめられた〜!」
そう言って頑張った子どもたちをネボラがほめていると、さっきの男がネボラに近づいてきたんだ。
「いや、助かりましたね。このような場所だと私1人だけでは時間がかかりすぎると思ってましたからね。おっと、失礼。自己紹介が遅れましたね。私はエマと申します。流れの者ですよ」
「私はネボラだ。···エマさん?ちょいと聞きたいことがあるんだが、いいかな?」
「ええ。魔獣は倒しましたから時間は十分にありますからね。何が聞きたいのでしょうか?」
ここで聞いたネボラの質問はとんでもなかったんだ!
「あんた···、私の師匠だね?」
「···ええ。驚きましたよ。よくわかりましたね?」
なんと!?このエマがネボラの師匠だったんだ!
ちなみにこの事はネボラから聞いちゃいたんだが、アキたちの孫がウェーバー大陸のビオで出場した闘技大会の時に出会った時は気づかなかったんだよなぁ〜。
というのも、オレはエマに会ったことがなかったからなんだ。まさか500年以上先で気づくとは思わなかったけどな。
「なぜ、私に教えたのだ?」
「簡単に言えば私が放った思念に最も適合していたからですね。あとは···、暇つぶしですね」
「旦那も言ってたが、あんたは異世界の神なんだね?」
「その通りですね。もっとも、今の私は侵略で連れて来られて、この世界の神に敗北して置いてきぼりにされて帰ることができなくなった、情けない神ではありますが」
「なるほどねぇ〜。神様の暇つぶしで、私は鍛えられたというわけか」
「表現がちょっと悪かったかもしれませんね。ですが···、あなたは見事に習得してしまいました。放った思念に適合したのでもしや···?とは思いましたがね」
「なんで侵略に来た異世界の神が、この世界の人に武術の理を教えたんだい?」
「『弱い側につけば面白い』と思ったからですね」
「···なるほど。『暇つぶし』とは言い得て妙だな」
「ちなみに適合者はあなただけでした。ですからほかに弟子はいませんから、あなたの命を狙ったりする者はいませんよ」
「そいつはありがたい情報だ。少なくとも私は感謝してるよ。おかげで旦那にも知り合えたし、このかわいい子たちもできたのだから」
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
「ところで、うちの旦那に会わないかい?旦那ならあんたを送還できるが?」
「···そういうことですか。あなたの夫は···、この世界の神が創り出した人なのですね?異物を排除するための···」
「似たようなもんだね。どうする?」
「遠慮しておきましょう。この世界はこんな状況ですが、とても居心地がいいんですよ。もちろん人を害することは···、まぁ命を狙われない限りはないのでご安心を」
「そうかい。あんたみたいな神もいるんだな」
「ははは!『神』と名乗っていますが、実際は人と大して変わりません。ただ、世界創世の能力を持っただけです。もちろんその力を使って大幅に自身の力を強めた神もいますが···」
「あんたはそれなりに力を持ってるってわけだ」
「ええ、多少は。ですので、こうして弱い側に立って行動しているのですよ」
「まったく···、とんでもない悪趣味だな」
「よく言われますよ」
「だろうね。だがさっきも言った通り、私は師匠に感謝するよ。ありがとう」
「ええ、どういたしまして。それでは私はこのへんで去りましょう。あまり人と関わるとロクな事がないですからね」
「ああ。達者でな!···って、あんたは十分すぎるほど強いから心配はないね」
「いえいえ。世の中、上には上がいるものです。どんなに力を持っても『地道にやっていくしかない』んですよ。また会うかもしれませんね。それでは失礼···」
そう言って消え去ったらしい。
「ふぅ〜。まさか師匠があのような人だったとはな···」
「へんなひとだとおもったけど、かみさまだったんだね。みためはひとだったけど、なかみがぜんぜんちがってた」
「ほう?見抜いたんだな?レグス。今後もああいった神がいるかもしれない。見た目で判断しないようにな」
「うんっ!」
「さて···、ここからは町中を見て回ろうか。魔獣がいればどんどん倒していくぞ!」
「「「「はいっ!」」」」
そしてネボラと子どもたちは引き続き魔獣退治に行くのだった···。
今回、スタンピードの惨状を子どもたち目にしてしまいました。ネイレではレオくんたちが活躍しているおかげでこういった惨状は過去のものになっていました。
ですからこういった人が死んでいる光景というのはトラウマ級です。しかし、ネボラさんは毅然と言いました。『無理なものは無理』とね。
そして平然と『もっと早く来てくれれば助かったのに!』。このセリフ、言う人がめっちゃいます。言いたい気持ちは分かるのですがこれを真に受けては絶対にいけません。
これははっきり言って無理な理想論です。
理想は確かにそうですが、それを叶えるリソース(人的などの資源)には限りがあるからです。だからこそ自衛がある程度できないといけないのです。
これは何もファンタジーの世界だけではありません。現実であれば自然災害などが該当しますよ。
まぁ、ある程度しかできませんが、してるとしてないとではもしもの時に雲泥の差が出ます。
そしてエマさん登場!本作の未来のお話であるライくんの物語でも登場しましたね。ネボラさんのお師匠さんでもありました。エマさんは理に至ってますがさらにもう一段階上の境地に立ってる神様ですから、そりゃネボラさんの理に至った剣術はものすごいんですよ。
これ、ネボラさんの師匠がエマさんだって、もしかしたら気づいていた人がいたかもしれませんね〜。
さて次回予告ですが、レオくんは最前線にいる兵士に状況確認して魔獣殲滅に動きます。しかし、聞いた情報だとこのあとさらに魔獣の襲撃があることが判明!どう対応するのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




