遠征旅立ち編-8.謎の技術屋集団
市場を出たオレたちは、昨日通ってない道を歩いていた。さっきおばちゃんから聞いた外国人技術屋集団の事務所を探すためだ。
そこかしこに目新しい建物が建っていたり、見たことのない道路の舗装があったりしたんだ···。確かにこの技術はネイレでもねえなぁ〜。
そして歩いていると、オレたちはいつの間にか城の前にやって来た。
「一番手っ取り早いのは城に乗り込んで王に直接話を聞く事なのだが···」
「それはできねえってお前言ったじゃん」
「ああ。それに、王は代わってるのだ。仮に私が王として面会を要望しても通らないという可能性もあるな」
「そういや、交代前の王はどうしてるんだ?」
「そう言えばそうだな···。王位を降りた場合、隠居したりするものだ。ちょっと軽く聞いてみるかな?」
「大丈夫かよ?」
「聞くだけなら問題ないだろう。ちょっと待っててくれ」
「気をつけろよ?」
そう言ってネボラは門の衛兵のところへ向かい···、なんか話してるな?大丈夫か?
オレの心配をよそに、ネボラは普通に戻ってきた。コイツのコミュニケーション力はすさまじいわ···。
「待たせたな。やはり無理だったな」
「そりゃそうだろうが···」
「だが、おもしろい情報が入ったぞ」
「おもしろい情報?」
「ああ。例の技術屋集団だ」
「お?どんな情報だ?」
「この近くの工事現場にいるらしいぞ」
「本当か?」
「ああ。こっちだ」
そう言ってオレたちはネボラの後についていった。
向かっていると、明らかに『これはデカい!』と思えるような囲いがあった。どうやらここで間違いなさそうだな!
「そこの人たち〜!ここは工事中で危ないよ!そこの仕切りから入らないでくれ!」
囲いの近くにいたおっちゃんがオレらに注意してきた。ある意味きっちりしてるな。
すると、ネボラがそのおっちゃんに向けて叫んだ!
「すまない!ここに外国から来た凄腕の技術屋集団がいると聞いて来たんだ!」
「え?『アングル』に会いに来たのか?」
「『アングル』というのか···?」
「そうだよ。でも、打ち合わせの予約してるのかい?」
「いや···、してないな」
「だったら帰ってくれ。みんな仕事をいっぱい抱えてて忙しいし、引き抜きだの『金を積むから仕事やってくれ!』って連中がいっぱい来てて困ってるんだ」
「ああ、それは失礼した。話を聞きたくてな。場合によっては依頼しようかと思ってたんだが、悪いことをした」
「依頼ったって、3年先まで予定が埋まってるって話だぞ?」
「3年···?それは引っ張りだこなのだな」
「そういうことだから帰った帰った!」
接触はムリだったか···。そりゃ、向こうにしてみればこっちは身元を調べようとする不審人物にしか思われんよなぁ〜。
それに『外の理の者』だった場合、狙われてるってわかってるだろうからな。警戒して当たり前か。
「とりあえず直接会うのもムリか。どうするよ?」
「う〜む···。となると、ちょっとしたツテを頼ってみるか」
「ツテ?そんなのあんのかよ?」
「ああ。国の重要ポストについていた人だ。この人なら内情はわかるかもしれんな」
「どこにいるのか知ってんのかよ?」
「ああ。こっちだ」
そう言ってネボラについていくと、着いたのは···、憲兵の詰所···?
そしてネボラは入口にいた憲兵に声をかけた。
「すまない。ちょっと聞きたいのだが、ここにレーカー課長はいるだろうか?」
「レーカー課長···、ですか?」
「ああ。もう10年ほど前にお会いしたのだが···」
「もしかして···、署長ですかね?」
「署長···?出世されたのかな?」
「署長はもう7年ここで署長されてますね。失礼ですが、お名前とご用件をお聞かせ願えますか?」
「ああ!これは失礼!私はネボラと言う。『テーパーのネボラ』と言えば分かってもらえると思うので、お手数だがそう伝えてもらえるだろうか?」
「はあ···。確認しますので少々お待ちいただけますか?」
「ああ。悪いな」
どうやらここの署長を知ってるようだな。用件を聞いた憲兵が詰所の中に入って1分ぐらいか?中から誰かが走って出てきた!!
「はあっ!はあっ!ほ!本当にネボラ王ではありませんか!?ど、どうしてこちらに!?」
「ははは!久しいな!ちょっと用があってクリートにやって来たのでな。しかし署長になってたのだな?出世したものだな」
「あ、ありがとうございます···」
「おっと!?忘れるところだった。実は国のことについていくつか聞きたいことがあってな···。話を聞かせてもらうことはできるだろうか?」
「話···、ですか?ええ。大丈夫ですよ。案内しますね」
そう言ってレーカーさんの後についていくと、一番奥にある署長室へ案内された。
応接用のソファに座らせてもらった。ふかふかだったので子どもたちがはしゃごうとしてたのをたしなめておいた。
「おい?このレーカーさんってどこで知り合ったんだ?」
「城ではなく宿に泊まったと言っただろ?その時に国がこっそり私につけていた警備兵だよ」
「お前のワガママに振り回されて犠牲になった人なんだな···」
「結果的にはそうなってしまったな!ははは!」
「自分が悪いって思ってないんだな···」
ホント、コイツは昔からじゃじゃ馬だったんだな。レーカーさんが可哀想に思えてきたわ。
そんな話をしていたら、レーカーさんがお茶を持って入ってきた。
「まさかネボラ王がお越しになるとは思いもしませんでしたなぁ〜。しかも護衛ではなくお子さま連れとは···」
「ははは!護衛は王だった時から連れてはいないがな。それと、知ってはいると思うが、テーパーは『外の理の者』たちによって滅んでしまったので、私はもう王ではないぞ」
「···やはり真実でしたか。ですが、こうして生きておられて嬉しく思います」
「多大な犠牲が出てしまったがな···。今は夫のレオと共に魔獣退治や『外の理の者』対応で動いているのだ」
「そうでしたか···。とすると、この私に用件とは···、この国の『外の理の者』の事ですね?」
「···やはり、そうなのだな?」
「···はい。今の王がまさに『外の理の者』ですね」
「やはりか···」
予想通り乗っ取られてしまっていたのか···。でも、いったいなぜ···?
ネボラさんの被害者登場(笑)!
ちなみにレーカーさんは当時のネボラさんを尾行していたのですが、実はちゃんとバレてたんですね。
顔合わせは最初に当時のクリートの王様に面会した時にしてたのですが、ネボラさんは『護衛は必要ない』って断ってるんですよ。それじゃ困る!ってことでこっそり尾行してたんですね。
バレていましたが、それなりに腕は立つようで憲兵の署長さんになったんですよ。
さて次回予告ですが、レーカーさんから事のあらましの説明を受けます。どういった理由でこの国は外の理の者たちを受け入れたのでしょうか?
それではお楽しみに~!




